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(写真:時事通信

一年の世相を表す漢字一字に「税」が選ばれた2023年。10月にインボイス制度がスタートし、児童手当の拡充に伴う高校生の扶養控除縮小や、防衛力強化の財源確保を目的とした「たばこ税」の引き上げも検討されている。

24年度からは住民税に1000円上乗せする「森林環境税」の徴収も始まり、家計負担は増すばかり。かたや国の税収は膨らみ続け、24年度の消費税収は過去最高の約23兆8000億円の見通しだと報じられた。

いまや“増税メガネ”というニックネームが定着した岸田文雄首相(66)だが、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる“裏金疑惑”が政権を直撃。時事通信が実施した12月の世論調査では内閣支持率が17.1%に急落するなど、凄まじく政治不信が高まっている。

こんな時こそ、あの人が政界に戻ってくれたらーー。暗澹たる日本の状況を打破してくれそうな元政治家は誰だろうか。そこで本誌は政界復帰を望む元政治家について世論を知るため、全国20歳以上の男女500人を対象にアンケート調査を実施。なお調査方法は、クロス・マーケティングのセルフアンケートツール「QiQUMO」を使用した。

まず第3位に選ばれたのは、70票を集めた橋下徹氏(54)。

もとは弁護士兼タレントとして活動していたが、’08年大阪府知事に就任。府市を再編する「大阪都構想」を掲げ、’10年に地域政党「大阪維新の会」を立ち上げた。’11年に任期途中で知事を辞職し、大阪市長選にくら替え出馬。都構想に反対する現職市長との激戦を制し、力強い発信力で勝利を収めた。

そんな橋下氏は、政界引退も潔かった。’15年5月に都構想の賛否を問う住民投票が否決され、引退を表明。任期満了となった同年12月の会見では、「政治家は僕の人生からは終了です」と語っていた

現在はコメンテーターとしてメディア出演や、SNSを通じた発信にも力を入れている。自民党派閥の“裏金疑惑”に関する投稿も多く、Xでは《政治資金規正法で処罰できないにしても、脱税だと認定して欲しい》《日本の政治は、多くの脱税者で運営されているのか》などと猛批判。

アンケートでは、橋下氏のズバッとした物言いで悪政を一刀両断する姿勢が評価されたようだ。

《リーダーシップを発揮してくれそう》(51歳)
《一番真剣に政治取り組んでくれそう》(62歳)
《大阪を変えた男に日本を変えてほしいので》(63歳)
コメンテーターとして結構正しいことを言ってるので、政治に向いてそう》(35歳)

第2位に選ばれたのは、91票を集めた田中真紀子氏(79)。

田中角栄元首相(享年75)を父に持ち、幼い頃から外遊に同行するなど“ファーストレディ”の役割を務めたことも。’93年7月の衆院選に無所属で出馬し、トップで当選。’01年の小泉内閣では女性初となる外務大臣に、’12年の野田第3次改造内閣でも文部科学大臣に就任するなど華々しい経歴の持ち主だ。

そのいっぽうで、歯に衣を着せぬ“真紀子節”も炸裂させてきた。’98年自民党総裁選に立候補した小渕恵三氏、梶山静六氏、小泉純一郎氏を「どうせ在庫一掃、ガレージセール。小渕は凡人、梶山は軍人、小泉は変人」とバッサリ。「凡人・軍人・変人」の名文句は、この年の「流行語大賞」を受賞した。

現在は引退状態となっている田中氏だが、最近では11年ぶりに永田町を訪れ注目を浴びた。12月8日に国会で記者会見を開き、冒頭で「空気が相変わらず澱んでいるし、きな臭いし、暗い感じがするなというのが第一印象」とコメント。さらに“賞味期限切れの人が総理になっている”と、現政権を痛烈に批判した。

“裏金疑惑”を受けて辞任した松野博一前官房長官(61)が、「答弁を差し控えさせていただきます」と説明を避けていたことにも言及。田中氏は「国民はそんなバカじゃないですよ。差し控えちゃいけないの。じゃあ議員になるのを差し控えた方がいい」と、ぶった切っていた。

田中氏の会見はメディアでも報じられ、変わらない切れ味に魅力を感じた人も少なくなかったようだ。

《ずばずばものがいえるから》(41歳)
《自分の意見をはっきり持っている》(45歳)
《今の自民党は腐りきっているので、田中真紀子でないと、性根を入れ替えられないと思うから》(49歳)
《善悪のけじめをはっきりつけそうで思いきった事をやってくれそうに思うので》 (68歳)
《久しぶりに最近見ましたが、まだまだしっかりとしていて、これからの政権を引っ張っていけそうだから》(46歳)

そして第1位は、114票を集めた小泉純一郎氏(81)。

’01年4月の総裁選で「自民党をぶっ壊す」と威勢よく登場し、“小泉旋風”を巻き起こし圧勝。内閣支持率が7%に急落した森喜朗元首相(86)の退陣直後とあって、小泉氏の思い切った政策は国民の期待を高めた。

同年9月には、政治家として異例の写真集を発売。自民党本部では携帯ストラップやフィギュアなどの“小泉グッズ”も販売され、購入者の行列ができたほどだという。

小泉構造改革では「構造改革なくして景気回復なし」「民間にできることは民間に」「地方でできることは地方に」と掲げ、地方財政の三位一体改革や郵政民営化などに着手。バブル崩壊後に続いた「失われた10年」を打開すべく、「金融再生プログラム」によって不良債権処理にも目処をつけた。

なお通算の在職日数は1980日で、戦後4番目に長い。アンケート回答では、小泉氏のリーダーシップを評価する声が目立った。

《長く務められて、信頼感がある》(29歳)
《説得力とカリスマ性がある》(36歳)
《どんどん進めていった感じが気持ちよかったし、引っ張っていってくれる頼りがいのある人だと思う》(56歳)
《現首相に足りないカリスマ性と決断力を持っている》(41歳)
《「失われた10年」と呼ばれた日本経済の長期停滞を脱出することに成る政治が行われた》(68歳)

また小泉氏といえば、’02年9月に金正日キム・ジョンイル)総書記との日朝首脳会談を実現。互いに平壌宣言に署名し、拉致被害者のうち5名が帰国を果たした。小泉氏は’04年5月にも訪朝し、金正日氏と平壌宣言を再確認。のちに北朝鮮核ミサイル開発を進めるなど関係は悪化したが、アンケートでは小泉氏の日朝外交を称える声もあった。

《行動力があるから。拉致問題が前進したのは小泉さんの行動力だと思う》(62歳)
《当時は破天荒だと思っていたが、北朝鮮から拉致被害者を連れ帰って来た功績はやはりすごいと思うから》(47歳)

いまこそ圧倒的な指導力で、日本を改革してくれる政治家が求められているようだ。

【政界に復帰してほしい元政治家ランキング】

1位 小泉純一郎 114
2位 田中真紀子 91票
3位 橋下徹 70票
4位 岸信夫 35票
5位 菅直人 24票