●外食しながらダイエットもアンチエイジングも叶えたい! そんな我儘な願いを叶えるべく、ボディメイクのプロ・石本哲郎さんが「若返りやせ飯」の選び方を伝授。今回のテーマは、クリスマスのチキン売り上げNo.1を誇る「ケンタッキー」のフライドチキンの食べ方です。

「オリジナルチキン」は想定外のカロリーになる危険も

 クリスマスの定番メニューと言えば、チキン。そこで今回はケンタッキーのメニューの中でもチキンに絞って解説します。ケンタッキーには、最もポピュラーなオリジナルチキンのほか、骨なしケンタッキーカーネルクリスピーなどがあります。

左から骨なしケンタッキー、オリジナルチキン、カーネルクリスピー
左から骨なしケンタッキー、オリジナルチキンカーネルクリスピー

 まずは、ケンタッキーの大定番である「オリジナルチキン」。ジューシーな衣がいかにも太りそうな感じですが、栄養成分を見てみると、たんぱく質16.5g、脂質12.8g、218kcalとそんなに悪くありません。意外ですよね。

 でも、この「意外」という感覚こそ、本質を捉えているとも言えます。栄養学の知識を持つボディメイクのプロから見ても「もっと脂質高そう」と感じられるので、おそらくこの数値を鵜呑みにして食べていると太ります。とはいえ、栄養成分は虚偽ではなく、ちょっとしたカラクリがあるんです。

 それは「オリジナルチキンには様々な部位が使われている」ということ。公式HPによると、ウイング(手羽)、ドラム(脚)、サイ(腰)、リブ(あばら)、キール(むね)の5種類の部位が使われています。

選ぶべき部位はキール!

大きさも脂質の量も異なる5種の部位
大きさも脂質の量も異なる5種の部位

 たんぱく質源であるお肉は、ダイエットやボディメイクに不可欠なものですが、部位によって性能が異なります。例えば同じ豚肉でも、豚バラと豚ヒレでは全然脂の量が違いますよね。鶏肉の場合も同じで、ささみや胸肉は高たんぱく・低脂質ですが、鶏皮やぼんじりなどは脂質が高くダイエットには向いていません。つまり、オリジナルチキンと一括りにされいてますが、部位によってどうしても栄養成分に差が出てきてしまうのです。オリジナルチキンの場合、もっとも脂身の多いのが“サイ”で、少ないのが“キール”になります。

 基本的には部位ごとの注文はできないので、何が当たるかは運次第。まさにロシアンルーレットみたいなものですね。もしクリスマスパーティーでオリジナルチキンがたくさん並んでいたら、胸肉のキールを確保しときましょう!

 ちなみに、僕が実食してみたところ、オリジナルチキンは油ギッシュ感がエグかったというのが正直な感想。キッチンペーパーで拭いただけでも結構な量の油が出てきたので、やはり脂質量は数値を上回っている可能性が高いと思われます。栄養成分の数値がどの部位を基に算出されているのかはわからないですが、自分の想定以上のカロリーを摂取してしまう危険性が高いことは自覚しておいたほうがいいでしょう。

失敗したくないなら「骨なしケンタッキー」

ロシアンルーレットみたいな賭けはできない!」という方には、「骨なしケンタッキー」がおすすめです。たんぱく質20.3g、脂質8.5gで191kcalとオリジナルチキンを上回る性能の高さ。骨なしケンタッキーには胸肉を使用したものしかないため、部位による誤差が生じる心配もありません。

脂身の少ない鶏胸肉を使用した骨なしケンタッキー
脂身の少ない鶏胸肉を使用した骨なしケンタッキー

 こちらもキッチンペーパーで拭いてみましたが、オリジナルチキンとは違い、ギューッと押しても全然油が出てきませんでした。食べた感じも油っぽくなかったので、骨なしケンタッキーは数値通りに信じていいと思われます。たんぱく質もしっかり摂れるし、かなり優秀と言えます。

「カーネルクリスピー」は数値以上に性能が高い?

カーネルクリスピー」はたんぱく質6.8g、脂質6.6gで119kcal。たんぱく質と脂質がほぼ同じくらいと、オリジナルチキンや骨なしケンタッキーに比べると、栄養バランス的には劣っています。でも実際に食べてみると、そこまで脂質が多くないという印象。衣はやたら多いんですが、カラッと揚がっているためか、あまり油を吸っていない気がします。

ザクザク食感で意外と脂っぽくないカーネルクリスピー
ザクザク食感で意外と脂っぽくないカーネルクリスピー

 実はカーネルクリスピーの衣は、天ぷらヒントに開発しているとのこと。以前「てんや」編でお伝えしたように、揚げ物の中でも天ぷらは意外と油切れが良いため、天ぷらの衣をヒントにしたカーネルクリスピーも油切れが良いのかもしれません。もちろん、商品によって個体差はあるかもしれませんが、実感として脂質はそこまで多くないため、数値よりもちょっと性能が高いと思って食べても大丈夫かも。また、使用されているお肉も高たんぱく・低脂質の胸肉オンリーなので、部位による違いに惑わされる心配もありません。

ダメージを最小限に抑える“老けない食べ方”とは?

 本連載のテーマでもある「若返りやせ」。老化に抗うには良い脂を摂る必要がありますが、残念ながらケンタッキーには良い脂質は存在しません。そのため、ケンタッキーに関しては「若返り」よりも「老化しない」ということが大事。

 では、最も老ける食事とはどんなもの?

 それは、たんぱく質が少なく、脂質と糖質の両方が多い食事です。脂質と糖質の両方が多いと、吹き出物など肌荒れも起こしやすくなるため、これを避けた食事をすることが重要になります。

 ケンタッキーの場合、糖質過多な食事にはなりませんが、脂質がどうしても多い。食事のバランスを1日単位で考えた場合、ケンタッキーを食べた日はそれ以外の食事で徹底的に脂質を減らしましょう。そのためには、若返りやせの味方でもあるサバや卵も敢えて避けたほうが無難。なぜなら、サバも卵も栄養価は高いのですが、そこそこ脂質も入っているから。「ケンタッキーで悪い脂質を摂っちゃったから、良い脂質も摂っとこう」とサバを食べちゃうと、脂質量がエグイことになりかねません。

 ケンタッキーを食べた日は、脂質の質が下がってしまうのは仕方のないこと。それよりも脂質量が突き抜けて多くなるほうがよっぽど大ダメージです。良い脂質は別日にしっかり摂るようにしましょうね。

クリスマスの鉄板。チキンとケーキはどう食べる?

 ケンタッキーを食べた日は、いかに脂質を削るかが勝負所。とはいえ、クリスマスにはケーキも食べたいですよね。年に一度のことだし、食べるなとは言いませんが、ケンタッキーにケーキを足すとマジで脂質量が跳ね上がります。だからこそ、先述したように、やはりこの日はサバや卵は摂るべきではないと言えるでしょう。

チキンとケーキはクリスマスの定番©ringonome/photoAC
チキンとケーキはクリスマスの定番 ©ringonome/photoAC

 脂質を減らすために、「ケンタッキーはやめてケーキだけにしとこう」なんて人がいたら、それは大間違い。ケーキ単品で食べるより、チキンも食べてたんぱく質を摂ったほうが、ダイエットやボディメイク的には上です。両方食べる、もしくはケンタッキーだけ食べるという2択になります。クリスマスはあくまでもチキンがメイン。ケーキはおまけくらいのスタンスで食べましょう。

 ケンタッキーのような脂が多く入った食事には、「黒烏龍茶」を一緒に飲むというのもひとつの手。黒烏龍茶には、脂質の吸収量を若干ですが下げる効果があり、脂ものを多く摂るときに効果を発揮しますよ。

脂ものには「黒烏龍茶」!
脂ものには「黒烏龍茶

マルチビタミン&ミネラルで不足分の栄養素を補給すべし

 ケンタッキーと一緒に摂りたいものを考えた時、たんぱく質は摂れてるし、脂質は摂り過ぎてるし、糖質を足すと脂質も糖質も多い最悪パターンの食事になっちゃいますよね。では何を足せばいいかというと、ケンタッキーに足りない要素である「ビタミン、ミネラル、食物繊維、発酵食品」など。ビタミンやミネラルはぶっちゃけサプリメント「マルチビタミン&ミネラル」が一番便利。これらをしっかり食品から摂るのは正直難しいし、あまりカロリーも上げたくないのでサプリメントが手っ取り早くておすすめです。

ケンタッキーで不足しがちなビタミンミネラルはサプリで補給 ©KAWAKAMI-Photo/photoAC
ケンタッキーで不足しがちなビタミンミネラルはサプリで補給 ©KAWAKAMI-Photo/photoAC

 サプリが苦手な方は、100%の野菜ジュースでもOK。野菜ジュースは糖質の量が増えるから嫌だという方もいますが、野菜ジュースの糖質量なんてほんの15g程度。おにぎりの半分以下です。それでケンタッキーに全然足りてないビタミンミネラルが補えるのなら、むちゃくちゃ飲む価値あり!

栄養強化型の100%野菜ジュース
栄養強化型の100%野菜ジュース

 食物繊維はサラダで補うのが手頃ですが、ケンタッキーコールスローはNG。マヨネーズで脂質が更に上乗せされてしまいます。海藻サラダにノンオイルドレッシングなど、必要以上にカロリーを摂らない工夫をしましょう。

結論

 胸肉を使用した「骨なしケンタッキー」や「カーネルクリスピー」は意外と優秀。「オリジナルチキン」は部位によって性能が異なるため、選べるなら胸肉のキールを。最も脂質の多い腰肉のサイは避けるのが賢明です。

 ケンタッキーを食べる際は脂質を多く摂ってしまいがち。食べた日限定でもいいので、他の食事で脂質を徹底的に減らしましょう! また、ケンタッキーで不足しがちな栄養素はサプリ「マルチビタミン&ミネラル」や野菜ジュースなどでプラス。1日単位で栄養バランスを考えれば、ケンタッキーもケーキも堪能しつつ、太らないクリスマスメニューを楽しめますよ。

(語り◎石本哲郎、インタビュー・撮影◎酒詰明子)

●プロフィール

石本哲郎

女性専門のパーソナルトレーナー。東京や神奈川にて、女性専門パーソナルジムリメイクや女性専門フィットネスショップリーンメイクを数店舗運営。女性のダイエットに関わる医学、栄養学、トレーニングメソッドについての豊富な知識と、自ら意図的に太ってやせる「減量」実験の成果から編み出した独自のメソッドで、のべ1万人以上の女性の体づくりを指導し、成功へと導く。ダイエットに悩む一般女性の指導をもっとも得意とし、「健康的かつきれいに女性の体を変える技術」には定評がある。代表作『神やせ7日間ダイエット』などを含め著書累計20万部を超える。

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