コードギアス」シリーズや『ONE PIECE FILM RED』(22)の谷口悟朗が、原案、脚本、監督を務めるバイオレンスアクション映画『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』(2024年1月5日公開)のトークイベント付き試写会が開催され、映画監督の阪元裕吾、タレントの倉持明日香、芸人のジャガモンド斉藤が登壇。このイベントの様子を、MOVIE WALKER PRESSで実施したアンケート結果と共にたっぷりと紹介する。

【写真を見る】誰もが好きになる要素たっぷり!主人公のキサラギのアクションシーン

魔改造された「東京」を舞台に、改造人間となった男キサラギ(声:小野友樹)の逃走劇が描かれる本作。キサラギを追うのは分断された「東京」の制覇を目論む不死身の吸血鬼集団「不滅騎士団」。さらに殺された親分の敵討ちを誓うヤクザたちも追っ手に加わり、壮絶で血みどろな三つ巴の戦いが幕を開ける。阪元、倉持、斉藤という顔合わせが実現した経緯について斉藤が「映画監督、映画好きタレント、映画紹介芸人として活動しているということで、本作同様“三つ巴”となりました」と説明。業種の違う3人が集まり、鑑賞後の観客の前で本作の見どころやおすすめポイントを話し、大いに盛り上がった。

■荒廃した世界…ありそうな未来に共感の声!

MOVIE WALKER PRESSが本試写会で実施したアンケートでは、本作が「衝撃的」や「予測不能だった」との印象を受けた多い結果となった。「好きなやつでした!」と本作が好みのジャンルであったことを明かした阪元は「まず荒廃している東京というのが一番おもしろいです。知っている街がディストピア化しているのはおもしろいし、”2”では福岡、その後、熊本編、宮崎編と九州に行って、北海道編までやってほしいくらい。いくつでもいけるなと思いました」と早くも続編に期待しているようで、この後の物語の広げ方がいくらでも可能な設定だと興味津々といった様子だった。

さらにディストピア系の映画に憧れがあるという阪元は「実写でやるとなるとCGやグリーンバックで制限がある。アニメは自由度が高くていい。(作るのは)大変だろうけれど、(表現の幅が広いことが)うらやましいです。こういうのやりたなって思います」と作り手としての気持ちも語った。アンケートでも魔改造された「東京」について、「荒廃した新宿がありそうな未来だなと思いました」といった声が寄せられていた。

「アクションシーンがすごかった!」と興奮気味の倉持は、「カーアクションが大好きなんです。ビルの上を飛んで行ったりするのが大好きでした」と目を輝かせる。すると斉藤も「実写だと『ワイルド・スピード』ならビルの上を走ったりしますね」と本作の迫力がわかりやすい例に挙げていた。「『レディ・プレイヤー1』あたりからフルCGで描くカーアクションが始まったような気がします」とコメントした阪元は、「僕もありえない挙動をする車が好きです。カーアクションは実写でもCGでやる方が好きなくらい。あの軽い感じが好きで、CGカーアクションの未来を感じました」とワクワクの様子で話した。

「劇場で音圧、風圧を感じて観たい!」と力を込める倉持。試写上映中に隣の控室で打ち合わせをしていたという3人は、「打ち合わせの部屋まで音漏れがすごかった!」と声を揃え、鑑賞済みにも関わらず内容が気になって仕方なかったともコメント。「4DXとかで観たらおもしろいかも!」という倉持の意見に斉藤も「ライド感がありますよね」と共感。そんな斉藤は本作を最初に観た時に、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)を思い出したと話し、「あの作品は実写でやりきる凄さがありましたが、この作品はアニメーションでここまで振り切っているというのが、観ていてワクワクしました。走り続けるっていいですよね」とどの時代にも通じる“走り続ける映画”に魅力を感じると話した。

■死に方の描き方がリアル!逃走劇を繰り広げる主人公の言葉に思わず納得

阪元は本作の尺も気に入った様子。長尺の映画が増えている最近の映画界にも触れ「長い映画が多い。(尺の数字を見て)絶望することがあります」とグッタリした表情で語る。「本作は97分。盛りすぎずに想像にまかせるという描き方もいい。“盛り”の時代はこれ以上やめて!」と懇願し、この映画のヒットによりちょうどいい尺の映画が増えることに阪元流のコメントで期待を込め、会場は笑い声でいっぱいになった。近しいキャラクターが死んでも止まらずに走り続ける、物語が進むところも良いと声を揃えた3人。アンケートでも、キサラギの「葬式は余裕がある人がする」といったセリフに納得したというコメントもあり、逃走劇を繰り広げている状況でのリアルさを感じる表現だと共感した人が多かったようだ。

死に方にリアルさを感じたという斉藤は、「目を開いたまま静止する。すごく不思議な感覚にとらわれました。アニメーションでこの感覚はとても残酷だなって。目に光がなくなる感じが残酷でした」と話す。また、アニメーションではキャラクターが死んでいる芝居をしているのではないことに触れ、「本当に動かなくなったと言う感じがすごく怖かったです」と語ると、阪元も「アニメでは(実写と違い)ほんまに殺せるから」と大きく頷きながら補足していた。

■個性的なキャラクターが勢ぞろい!倉持がハマってしまうキサラギの魅力とは?

壮絶な逃走劇を繰り広げる主人公キサラギと共に脱出を目指す少女ルナルゥ(声:上田麗奈)、ルナルゥの兄クルス(声:斉藤壮馬)、「不滅騎士団」の戦闘員ジャミ(声:内田雄馬)など個性的なキャラクターが登場する本作。好きなキャラクターについて話が及ぶと、倉持は「キサラギがたまらなかったです!」と前のめりに。「誰もが好きになる主人公だと思います」と倉持が断言するように、アンケートでも人気が高かったのはキサラギだった。「最後まで真実を言わないところに+1ポイント。無口なのに聞き上手なのも+1ポイント。つまらない約束と言いながらちゃんと約束を守るところに1ポイント」と、加点方式で魅力を解説。

また「ちょっと不器用な感じもすごくいい」と語る倉持に、斉藤は「時代劇、西部劇の主人公のような感じもかっこいい。トラブルだけ解決して去る、みたいな」と付け加え、楽屋裏でも倉持がキサラギの話しばかりしていたことを暴露。主人公を好きになるタイプでないと話す倉持は、主人公を好きになるのはちょっと恥ずかしいとしながらも、「キサラギが好きになったら沼にハマってしまうかも…」と心配顔を見せる。これに阪元と斉藤が「もうしっかりハマってます」と鋭いツッコミを入れ、笑いを誘う場面もあった。

キサラギに関しては「『RRR』の冒頭を彷彿とさせるシーンなんかもありましたよね。だから感情が乗っかるというか…」と主人公に魅了されるのがわかると理解を示しながらも、一番惹かれたのはララック(声:ゆきのさつき)だという阪元。「まさに”敵の女幹部”で、いいなあと。二重人格で強くて、彼女が辿っていく運命もよかった」としみじみ。斉藤は東京制覇をもくろむ「不滅騎士団」の長、転法輪(声:山寺宏一)がお気に入りのキャラクターだと挙げ、「もはや気持ちよくて好きだった。キサラギと転法輪の殴り合いが愛情表現にも見える。2人の関係性が見えるところがよかった」と惹かれた理由を説明した。また、阪元はルナルゥに思わず感情移入したとし「分かるよ、分かるってなりました」と笑顔。アンケートでもキサラギと転法輪の戦いに触れるコメントが多く見られ、転法論が「ありがとう」と言いながらパンチをするシーンにグッときたという声もあった。

■時代と共に変化する”怒り”の描かれ方

お気に入りキャラクターの話が盛り上がるなか、話題は本作で描かれる“怒り”へ。阪元が「『RRR』も『ジョン・ウィック』も主人公がブチ切れる。そういう作品が近年増えてきていると感じます」とコメント。「みんなフラストレーションが溜まっているのかな…」と話した斉藤は、「『スター・ウォーズ』をはじめ、以前はもっと”怒りをコントロールしなさい”というのがスタンダードな教えでしたよね」と、時代と共に変化する怒りの表現を指摘していた。

最後の挨拶で阪元は「この”地獄東京シリーズ”が流行っていくことを祈ってます!ぜひ観てください!」と呼びかけ、倉持は「仮想の世界でありながら実在する地名が出てきたり、リアリティを感じながら楽しめる作品です」とアピール。斉藤は「世界観やキャラクターが深い、これは本当にすごいことだなと今日のトークを通して改めて思いました。良い音が鳴る大きなスクリーンで観ていただけたら」と締めくくり、「続編があったら僕達3人に声優をやらせてください!」とお願いすると、会場は拍手と笑い声に包まれた。

アンケートでは「アクション好き」には「音がよくて大画面の環境で」「アクションシーンが多いかつ迫力がある」とおすすめしたいという回答も。3人も大興奮で語っていた迫力のアクションシーンは一見の価値あり。劇場で仮想の世界でありながら、リアルを感じる世界観で繰り広げられるバトルアクションをぜひスクリーンで堪能してほしい。

取材・文/タナカシノブ

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