福引き・ガラガラ

「あと1,500円ですね」と店員さん。

「わかりました。もう少しお店を回ってみます」と私たち。

これは私の住む街にある昔ながらの薬局薬店での、顔馴染みの店員さんとの会話です。

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■年末恒例の「福引」

私と違い、うちの家内は大手チェーン店ではなくフェイストゥフェイスで接客してくれる温かみのあるお店の常連になる傾向があります。それはそれでひとつの生活哲学で、私もいいと思っています。今日お話ししたいのは、そんな昔ながらの商店街の福引の話です。

冒頭のやり取りが何かというと、ちょうど年末のこの時期、商店街の福引に加えてこのお店も独自の福引を実施していたのです。

商店街の福引は200円毎にもらえる補助券10枚集めればくじが引ける方式ですが、お店独自の場合は5,000円分のレシートで一回くじが引ける方式で、うちの家内の会計がその時点で13,500円だったというわけです。

 

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■くじ引きの権利ゲットまであと1,500円

「くじを引くだけの目的で無駄なものを買うのは無駄だよ」

という私に、

「わかってるって」

と家内はうなずいて店内を回ります。結局、必要なものを見つけてきて支払いは無事(?)1万5,000円を超えました。これでお店の福引券が3枚、商店街の福引券が7回分手にはいりました。

さて、こうやって福引券のために1,500円の追加の買い物をしたのは経済学的に正しい行動だったのでしょうか? 野暮なのでその場では口には出しませんでしたが、面白そうなので結果を計算してみました。

 

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■大手ショッピングモールよりも高い「還元率」

ちなみにこの計算を思い立ったのは、還元率が思っていたよりもずっと多いように思えたからです。私がよく行くような大手の経営する大規模商業施設でもクリスマスの福引が実施されています。

500円で一回くじが引けるのですが、もらえるのはだいたい5等の飴一個か、4等のポケットティッシュ。還元率にすれば1~2%程度でしょう。それをショッピングモールの常識だとすれば、地元密着の商店街は地元のお客さんにもっと喜んでもらおうと考えているものです。

では結果を見てみましょう。先にわかりやすい商店街の福引の結果から。結果は4等が4本、5等が3本で、地元商店街16店舗限定で使える商品券合計1,100円分がもらえました。支払額で割ってみると約7%超の還元率ですね。まずまずの結果です。

そしてそこにお店独自の福引3本の成果が加わります。実はこのお店、地域密着型だけあってそれなりに福引の景品は力を入れています。お客さんを喜ばせようと考えているのでしょう、当たりも多くて、結構みんな何かを当てています。

 

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■合計すると驚きの還元率…商店街っていいな

福引は景品が当たる方式で何等とかではないのですが、棚の上の方にいくほどいい景品が置いてあります。私が独自に判定すると我が家の場合は3本引いて2等、3等、4等がそれぞれ当たったと考えていいような結果でした。具体的には棚の上から二番目に置いてあった赤ワインを一本、三段目のクッキー缶を一缶、四段目のツナ缶2個をそれぞれゲットして帰ることになりました。

ここでズバリ、経済評論家の知識で価値をお金に換算してみましょう。ワインは1,500円、クッキー缶は400円、ツナ缶は200円といったところでしょう。

そこで全部合計してみましょう。お店の景品と商店街の商品券、合計すればその価値は3,200円分ですね。ざっくり言えばお店での買い物1万5,000円に対して約21%のリターンという感じです。

年末年始の風物詩であるこの商店街の福引、意外と消費者の立場で見ても「お得な行事」なのかもしれませんね。

 

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■著者プロフィール

鈴木貴博

Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。

今週は「地元商店街のくじ引きの還元率」をテーマにお届けしました。

【鈴木貴博連載】歳末大売り出しで行われる商店街の「福引」、その還元率を計算してみた