WBCで苦楽をともにした大谷のいるドジャース移籍を決めた山本。その動向にNYメディアからは辛辣な意見が寄せられた。(C)Getty Images

「なんて惨めな人生だ」

 現地時間12月21日山本由伸が12年3億2500万ドル(約471億2500万円)の超大型契約をドジャースと結んだ翌日、ニューヨークの日刊紙『Daily News』は、笑みを浮かべる25歳の日本人右腕の写真を掲載した一面に大々的な見出しを打った。

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 悲観するのも無理はない。今オフにポスティングオリックスからメジャー移籍を狙っていた山本を巡っては、ヤンキースメッツが争奪戦に参戦。両球団は3億ドル(約435億円)を超えるオファーを提示するなど、獲得に向けてかなりの熱量でもって取り組んでいた。

 しかし、山本が選んだのはドジャースだった。今オフに大谷翔平と10年総額7億ドル(約1015億円)の超巨額契約を締結し、話題を振り撒いた西海岸の名門にまたも“獲物”を奪われた形となった。ゆえにヤンキースメッツに向けて「惨め」と嘆くのは、ニューヨーカーたちの率直な想いなのかもしれない。

 ドジャース移籍まで美辞麗句が並んでいた。しかし、今、ニューヨークメディアでは辛辣な意見が目立つ。ヤンキースの贔屓メディアとして知られるニュースサイト『NJ.com』は「ハル・スタインブレナー(ヤンキースオーナー)は何も謝る必要はない。彼はドジャースよりも高い年俸、つまり3000万ドルの年俸を支払う用意ができていた」と指摘。そのうえで「もっと高額オファーを出したとしても、ヤンキースも、そしてメッツも争奪戦には勝てなかった」と論じた。

ヤンキースは翻弄され、メッツは利用されたのだ。そもそもドジャースに対する勝ち目はなかった。ヤマモトがロサンゼルスを選んだのは、日本の国民的英雄であるショウヘイ・オオタニとチームメイトになりたかったからだ」

 山本を皮肉った同メディアだが、「勘違いしないでほしいのは、ヤマモトの才能は本物だということだ。ヤンキースも、あらゆるハイテクツールを駆使して彼を徹底的にスカウトした球団の一つだ」と強調。それでも贔屓球団による熱心な誘いが実らなかった悔しさからか、負け惜しみともとれる見解を列挙した。

「ただ、ヤマモトが初めてナショナルリーグプレーしてからの話をしよう。才能豊かな彼でさえも、あれほど熟練した打者たちと対戦した経験はない。そして、彼がニューヨークの厳しい観衆に耐えられたかもわからない。今回の失敗はヤンキースにとって慰めとなるかもしれない。なぜなら両リーグでサイ・ヤングを受賞したブレイク・スネルに3000万ドルを支払えるようになったからだ」

「かつてのスーパースターたちは、ヤンキースに賭けることを本気で重要視していた。彼らが言った『ヤンキースの一員になるのが夢だった』というのは、記者会見の決まり文句ではなく真実だった。実際、コールは2020年にそれを言い、本気度を感じさせた。しかし、ヤマモトはそうではなかった」

 いまだメジャーで未登板の山本。彼がドジャースで超高額契約に見合う活躍をした時、ニューヨークのメディアがどう反応するかは興味深いところだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

山本由伸の争奪戦敗北で“負け惜しみ”? NYメディアから手のひら返しの辛辣意見「惨め」「厳しい観衆に耐えられたか」