2010年に映画化もされた「エドガー賞」受賞作家リック・リオーダンの小説を新たにドラマ化したオリジナルドラマシリーズ「パーシージャクソンとオリンポスの神々」の第1話と第2話が、12月20日に配信された。同作では主人公のパーシー役をウォーカー・スコーベルが演じるほか、冒険の仲間・アナベス役をリア・サヴァ・ジェフリーズ、グローバー役をアーリアン・シムハドリ、オリンポス十二神の一人であるヘルメス役をリン=マニュエル・ミランダ、そして全知全能の神ゼウス役を3月に急逝したランスレディックさんが演じている。製作総指揮にはジョナサン・E・スタインバーグに加え、原作者のリオーダンも参加しており、第1話から骨太なシーンが展開している。そこで今回、幅広いエンタメに精通するフリージャーナリスト・原田和典氏が本作を視聴し、独自の視点で見どころを紹介する。(以下、第2話までのネタバレを含みます)

【写真】“半神”のパーシー・ジャクソンが神々による全面戦争勃発を阻止するため動き出す

■エドガー賞作家の小説をドラマ化

人間と神のミックスに生まれついてしまった少年が、神々の全面戦争を止めるため、アメリカ中を旅する冒険に出る――。「俺は人間と神のミックスでもないし、この国では戦争も起こっていないし、アメリカの土地勘があるわけでもないし、遠い世界の話かもなあ」と思いつつ、第1話の視聴後にはなんだか妙にエキサイティングな胸騒ぎを覚えてしまった。「なんだ、この発想の面白さは!」「すげえ特撮エンターテインメントなのではないか」「これぞまさに“神ってる”シーンばかり!」と圧倒され、すっかり「12の神々」や「西洋の神話」について関心を深めている。

そんな第1話は、ニューヨーク・マンハッタンの「全部見ようと思ったら1週間はかかる」との声もある巨大な「メトロポリタン博物館」前での衝撃的なシーンから大きく物語が動き出す。

パーシーは父についてよく知らず、母は彼に惜しみない愛情を注いでくれているが、いろんな事柄を経て、自分が「普通ではない」「何か特殊な能力を持っている」ことに薄々気付いてくる。そして母親が言っていた「ハーフブラッドが、この世で生きていくことは大変だ」的なフレーズを反すうする。この「ハーフブラッド」(字幕では「ハーフ」と略)が、物語のキーワードだ。「ハリー・ポッター」シリーズのファンなら、この言葉を何かの作品で聞いたことがあるかもしれない。

■物語の序盤からパーシーに悲劇が

想像を絶する、ましてや「世界有数の大都会ニューヨークでこんなことが起こるとは」と言いたくなる出来事によって、パーシーは母を失う。彼が、自分がハーフブラッドであると確信する瞬間もまた、物語のピークの1つであると思うが、とにもかくにも、パーシーは半神の子どもたちの聖地であるキャンプに参加することになり、自身も仲間(=半神)であることを知る。ということは彼の父親が十二神の1人ということになるわけだ。

第2話ではそろいのTシャツを着た半神の少年たちの合宿や、2つに分かれて行われる格闘の場面もクローズアップされる。戦いに勝ち抜いたパーシーの並外れた実力を認めた大人の半神たちは、彼に「神々による全面戦争勃発を阻止」という任務を与えるのだが…。

半神であるとはいえ、いきなり少年が「自分よりもはるかに年上で地位のある人たちの争いを止める役」にさせられたのだから、その戸惑いは想像を絶するものだろう。が、想像を超える物語が「パーシージャクソンとオリンポスの神々」である。どうなるか、こちらのありきたりな予想を上回る展開を期待したい。

全8話で各ストーリーが30~40分程度あるので、すべてがそろった暁には4~5時間の内容となる。作者が製作総指揮としても参加しているのだから、原作の流れに沿って丁寧に、じっくりと描かれているはずなのだ。これはもう、画面にくぎ付けになるしかないではないか。

パーシージャクソンとオリンポスの神々」は、毎週水曜に新エピソードをディズニープラスで独占配信中。

「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」は、ディズニープラスで独占配信中/(C) 20TH Television