12月23日に放送された「ゼイチョー~『払えない』にはワケがある~」(毎週土曜夜10:00-10:54、日本テレビ系Huluにて配信)最終話。これまでの相楽が取っていた行動の真意が明らかになったことで、手を取り合ってみゆきの市の巨大な不正に立ち向かうことに。見事なフィナーレを迎えた最終回に、SNSでは「マジで面白かった…」「今後も、きちんと収めさせていただきます」「饗庭のおふざけと百目鬼ちゃんのつっこみが好きだったな~!終わらないでくれ~」といった声が続出している。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】仮装クリスマスパーティーで楽しむ菊池風磨“饗庭”と山田杏奈“華子”

■「ゼイチョー~『払えない』にはワケがある~」とは

同ドラマは「BE・LOVE」(講談社)にて、2016年4号から2017年6号まで連載されていた「ゼイチョー!~‎納税課第三収納係~」が原作。“徴税吏員”が滞納されている税金を徴収するべく奮闘する物語で、著者である慎結が市役所で非正規職員として働いていた経験を基に描かれている。

ノリは軽いが優れたスキルを持った徴税吏員・饗庭蒼一郎を演じるのは菊池風磨。そして、蒼一郎と正反対、真面目に滞納者と向き合う猪突猛進タイプの新人徴税吏員・百目鬼華子役は山田杏奈が務める。

ツンデレすぎる相楽義実

前回9話のラストで、財務省時代に同期だった奥林礼二(結木滉星)が地方交付税の不正に関与させられていたことを突き止めた饗庭。同じく同期でありながら、みゆきの市の副市長という立場で不正の片棒を担いでいる様子の相楽義実(本郷奏多)に「お前が奥林にやらせてたのか?」と大喝していた。

しかし、相楽の返答は「俺は…奥林のためにも父の不正を正す。だから、みゆきの市に来たんだ」というもの。徴税禁止リストの存在も認めると、副市長になった本当の理由を打ち明け始める。

みゆきの市では徴税禁止リストの運用は長く続く慣習で、相楽グループ会長にして相楽の父である相楽耕史郎(板尾創路)が主導しているという。奥林は懲戒免職にすると脅され、地方交付税の資料改ざんに手を貸していたのだ。奥林が飛び降りる少し前に偶然資料を見た相楽は、彼を問い詰めて黒幕が自分の父であることを知った。

すぐに証拠を集めて不正を止めようと試みた相楽だったが、先に奥林の心が限界を迎えてしまう。屋上で「バカなまねはやめろ!約束する…父のことは、俺がなんとかするから!」と呼びかける相楽だったが、奥林は「俺はみんなを裏切ったんだ…この国で真面目に働いて、税金を納めている人を。俺はもう、そういう人たちと一緒には…」と固い意志を見せる。「相楽、ごめんな。饗庭にも謝っといてくれ」とほほ笑み、直後にやってきた饗庭の前で身を投げた。

相楽が饗庭に真相を伝えずに1人で動いていた理由は、不正に関与していた奥林と止められなかった相楽を恨むと思っていたから。その言葉を聞いた饗庭は、「俺に嫌われたくなかったってこと?ツンデレかよ」と笑顔を見せる。そして、改めて友人として徴税禁止リストの真相が明らかにし、巨大な不正を暴くべく動き始めることに。

場所は移って第三係事務所。第三係の全員が相楽の話に耳を傾ける。相楽によると、実はサガラトノサキ製作所への家宅捜索は相楽が仕組んだことだった。徴税禁止リストにある企業へ捜索を入れさせることで、不正の証拠を掴ませようとしたのだ。しかし、耕史郎が一手先を読み、同グループに税を納付させていた。そして、この一件で相楽の裏切りが発覚し、相楽は徴税禁止リストへのアクセスを禁じられてしまったという。

そこで相楽が考えた次の手は、徴税吏員が持つ“滞納者ではない相手”への捜査権限。「地方税法第22条の4」に則り、犯罪行為を調査するという名目で家宅捜査を行って、不正の証拠を差し押さえるのだ。

懸念点を挙げるとすれば、相手は大企業、かつ父である耕史郎には国側にも友人が多数いるという状況。相楽ホールディングスを敵に回すことで、みゆきの市にどのような影響が出てくるのか分からない。不安な表情を見せる相楽は、「それでも皆さんは協力してくれますか?」と真剣な表情で、第三係に問いかける。

「相手がどんなに大物だろうと、税金を滞納しているなら徴収するのが俺たち徴税吏員の仕事なんだよ。ねーみんなっ」と饗庭が第三係の意志を伝えた。そして、椅子から立ち上がると「相楽、公務員なめんなよ」と穏やかな笑顔で一言。ついに相楽と第三係が結束した瞬間だった。

日比野係長からも「公務員なめないでくださいね」

相楽グループの滞納額は、徴税禁止リストから推定しただけでも約45億円という巨額の数字に。法人住民税や固定資産税、都市計画税、従業員の個人住民税が、5年もの間見逃されていたからだ。

家宅捜索の流れを確認し終えた第三係のメンバーたち。「チャンスは1回。滞納しているはずの税金、きっちり納めてもらいましょう。行くぞぉ!」という饗庭の掛け声で気合い入れをして、家宅捜索へと向かった。

耕史郎の前に立った華子は、裁判所から発行された令状を手に「こちらの相楽ホールディングスには、本来納めるべき税を不正に免れているという犯罪行為がなされている疑いがあります。よって地方税法第22条の4に則り、先ほどからみゆきの市役所徴税第三係のものが社内を捜索中です」と説明。しかし、耕史郎は余裕の態度を崩さない。

「義実…私の息子だね」。相楽グループの不正を証言したのが相楽ということを勘付いている様子で、「社内を調べてもし何も出なかったら…あなたたちが善良な市民に何をしたのか知ったら、世間は何を思うでしょう」と強気に脅しをかける。そんな耕史郎の態度を裏付けるように、捜索中の浜村宰(白洲迅)から「資料が別の場所に移されている」という電話が。家宅捜索があるという情報が事前に察知されていたようで、不正に関する資料は別の場所に移されているようだ。

しかし、饗庭に電話をしている浜村の前で、1人の社員が怪しい動きを見せる。注意すると「すみません」と謝ったものの、そっと車のキーを持ち出して駐車場へと逃走。その後を追う浜村と増野環(松田元太)、加茂原健介(鈴木もぐら)、鷺沼宏樹(猪塚健太)ら。

駐車場についた社員は、車のロックが掛かっていることに気付くと一瞬諦めたような表情を見せる。しかし、それでも車に乗り込もうとするのだが、間一髪で加茂原が男の手を掴んだ。当然、車の中に証拠があると怪しんだ浜村らだったが、探しても車内に不審なものは見当たらず。「証拠は何も出なかったんだ。これ以上あなたたちが居座る理由がありますか?」と、耕史郎がいよいよダメ押しをしようとしたところで、浜村がやってくる。

浜村の話を聞いた饗庭は、社員がロックのかかっている、走行できる状態ではない社用車で逃げ出そうとしたという話を聞いてすぐに動き出した。動けない車に乗り込もうとしたということで、すぐに「車のナビ」が怪しいと踏んだ饗庭。調べたところ、最近の履歴の中に1件、相楽ホールディングスが所有する不動産としては未登録の別荘地を発見する。

すぐさま待機していた第一係が向かい、本社から移されていた不正の証拠となる資料をすべて差し押さえることに成功。市の財務部長から「第一係はこちら側につくはず」と聞いていた耕史郎は、第一係がまっとうに捜索へ協力していることへ戸惑いの表情を浮かべた。

しかし、徴税禁止リストのことを知った日比野みのり(石田ひかり)は、自分なりのやり方で不正を暴こうと水面下で動いていたのだ。第三係と対立するような動きや、相楽へ「お役に立てますよ」と接触していたのは、日比野なりの正義のため。日比野は財務部長に対して、「公務員なめないでください」と決めぜりふを言い放つ。

万事休すとなった耕史郎。「これであなたも滞納者です。税金、納めていただけますか」と饗庭に追い詰められたところ、ついに「ふざけるな!」と激情を見せる。相楽グループによって市が大きく発展したことを挙げ、税として徴収するより自分の方がよほどうまく社会貢献できると吠えた。

華子へ「本気で言っているのか。公正公平なんて、そんなきれいごと…」と嘲笑を浮かべる耕史郎に、「当然ですよ。我々は公務員なんですから」と声がかかる。冷たい目に静かな炎を浮かべて部屋に入ってきたのは相楽だ。

父さんは、『そんなことで』とあっさり切り捨てるかもしれません。ですが、公平であるべきだと信じ、それをできずに苦しんだ公務員を、私は知っています。だからこそ、私たちはこうしてあなたの前にいる」と突きつける。国税局も呼びつけていると告げ、包囲網が完璧であると示す。

ヤケになって「笑うがいい」と消沈する耕史郎に、「助けてほしいときは声を上げてください」と意外な言葉をかける饗庭。困惑する耕史郎だったが、「あなたはみゆきの市の市民です。あなたがどんなに俺たちのことを嫌っても、どんなに拒絶しても、助けるのは当然のことなんですよ。相楽会長…公務員、なめないでくださいね」と締めくくるのだった。

エピローグの奇跡とクリスマス

市長、財務部長と耕史郎など、徴税禁止リストに関わっていた面々の逮捕報道が連日取り沙汰される日々。饗庭と相楽は、奥林の病室で改めて今後のことを話し合っていた。相楽はまだ任期が残っているものの、父が不正に関わっていたという状況から財務省への帰還を予定しているという。父の不正を止める、という奥林との約束も果たせたことで、思い残しはないようだ。

「少しは俺を、赦してくれるか…?」と眠り続ける奥林へ語りかける相楽。「ヤダ、ユルサナーイ」と横から腹話術を入れる饗庭は、「これで終わったと思うなよって話。お前には、奥林ができなかったことをやり遂げる義務がある。それまでは俺がお前を許さなーい」と告げる。「で、いつか気が向いたらみゆきのに戻って来いよ」とじゃれあう姿から、2人の間にかつての友情が戻っているのが伝わってきた。

2人を見送った奥林の病室。奥林の母が「また2人で来てくれるかな…」と話していると、奥林の指がかすかにうごく。今は誰も気付かないが、それは確かな奇跡の兆しだ。

そのあとは、華子にサプライズプレゼントされたクリスマスパーティーを開催。華子は家庭状況のせいでクリスマスをまともに祝ったことがないという話を聞いた饗庭が、係長や課長まで巻き込んで第三係の事務所を飾り付けていたのだった。

全員が仮装する中には、クリスマスツリー着ぐるみを身につけた相楽の姿も。庁舎を私物化することに難色を示しつつも「うれしかったです」と漏らすツンデレ華子に、全員が大盛り上がり。

まさに大団円最終話には、SNSで「日比野係長!味方だった!!」「相楽副市長のコスプレかわいい!!!!!」「このドラマツンデレ多くない?最高なんだけど」「ハッピーエンドでよかった…」といった声が相次いでいた。

決めせりふのオンパレード 大団円を迎えた「ゼイチョー~『払えない』にはワケがある~」最終話で最高のツンデレ大発生/(C)日テレ