給料が上がらない状況でもお金を稼ぐには、どうすればよいのでしょうか。本記事では、経営者として2つの企業を上場させた実績をもつ経営コンサルタント・池本克之氏の著書『「それでも稼ぐ人」33のルール』(三笠書房)から一部抜粋してお届けします。

時間を味方につけてお金を増やす

◆私の資産運用はここからはじまった

特殊な例を除いて、若いころはみんな、お金がなくて生活費に苦しむものです。私もその例に漏れませんでした。

社会人になって大阪で一人暮らしをはじめたばかりのときは、150円とか200円のクリーニング代も惜しんで、自分でワイシャツを洗濯し、アイロンがけもしていたくらいです。

でも、どんなに頑張って節約しても、生活費をゼロにすることはできません。それで、あるとき、ふと気づいたのです。

「節約には限界があるけど、稼ぐことは青天井じゃないか。1,000円稼ぐ方法を見つけたら、それを2,000円稼ぐ方法に発展させていけばいい」と。

そんな私がまず手がけたのは、運用をするための「種銭づくり」です。ある程度お金を貯めないことには何もはじまらないので、まず銀行の口座から給料日に自動的に天引きして積み立てる方法を選びました。

というのも、私は「本業専心タイプ」で、相場を研究したり、こまめに売り買いしたりする暇などなく、そういう運用は向いていないからです。天引き型なら、何も気にせず、知らないうちに貯まります。

積み立てには、積立預金や財形貯蓄、るいとう(株式累積投資)、純金積立など、いろいろあります。どれでもいいのですが、私は、るいとうを選びました。

るいとうとは、単元未満株式(銘柄ごとに決められている最低売買単位である一単元の株数に満たない株式)を購入する投資方法の一つです。証券会社が提示する銘柄のなかから好きなものを選び、毎月一定の金額で購入するものです。毎月1万円程度と、少額で株式投資をはじめられるのが一番のメリットです。

また一定の金額を投資するので、価格が高いときには少なく、下がっているときには多く購入できるのもいいところです。これは「ドルコスト平均法」といって、自分で投資のタイミングをはかる必要がなく、自動的にリスクを低減することが可能です。

このほか、継続して購入し、保有株数が増えると、その比率に応じて配当金を受け取ることができます。

◆「お金を残す」ための鉄則

どうですか、この投資方法なら、本業にかける時間を差し引いてまで投資の勉強をすることはありませんよね。投資初心者の若い人向きの手法だと思います。

じつはいまも私は、この種の運用が好きで、20年ほど純金投資を続けています。毎月、金とプラチナを一定額買っていて、ここのところの相場が上向いているので、いま換金すれば、おそらく投資額の6倍くらいに増えていると思います。

このように、初心者のうちはとくに、投資したことすら忘れるくらいでちょうどいいと思います。なぜなら、運用の結果をいちいち気にせず、思い切り本業に取り組めますからね。

前述の天引き方式を使い、積み立てをしたなら、単純計算で、月2万円で年間24万円、4年2ヵ月で100万円貯まります。「4年経って気づいたら100万円貯まっていた」という感じでしょうか。おそらく天引きを利用していなければ、100万円は残らなかったでしょう。

月に2万円というお金は、残すのは難しいけれど使うのは簡単な金額です。「とりたてて何に使ったわけでもないのにいつの間にかなくなっている」のがほとんどでしょう。

お金持ちになりたければ、投資信託を買って「忘れる」べき

また、100万円なりの、まとまったお金を運用するにしても、「忘れる」という人間の習性を大いに利用するといいでしょう。

たとえば100万円あったとして、それを普通預金に置いておくのはもったいないですよね。利子なんかほとんどつかないし、普通預金にあれば「いつの間にか使っちゃった」となるのがオチですから。

それから、同じ「自動的」でも、銀行の総合口座で提供している「自動借り入れ」のサービスは、利用してはいけません。これは、普通預金の残高が不足した場合、定期預金を担保に不足している分を自動で借り入れすることができるものです。普通預金に入金すれば、自動的に返済が行なわれます。

一見便利なようですが、自分のお金を借りるのに利子を払う、という妙な話になります。仮に年利1%で定期預金を運用しているとして、そこから借りると、返済するときに「担保定期預金の約定利率+0.5%」だったりを取られるのです。結果、定期預金のほうは当然、マイナス運用になってしまいます。

そんなことをするくらいなら、100万円を普通預金に置いたままにしておくほうがよっぽどマシです。いつの間にか使ってしまったとしても、少なくとも余計な金利は払わずにすみます。

普通預金の通帳に赤い数字をズラリと並べて、「定期預金があると、9割まで借りられるから、便利だぜ」などといっている人を見ると、バカバカしいにもほどがあると思いますね。

ですから、10万円でも50万円、100万円でも、ちょっとまとまったお金ができたら、手堅い運用をする投資信託の一つでも買って、そのまま「忘れる」のがベストです。「10年経って、どうなったかなと見たら、100万円が200万円になっていました」というようなことはザラにあります。

いずれにせよ、人間の「忘れる」という習性を使うこと。そうして、時間を味方につけて、「知らないうちにお金が増えている」状況をつくると、意外なほどいい結果が出ます。

とくに時間がある若い人には、このことを覚えておいて損はないと思います。「時間」があなたを金持ちにしてくれるということです。

池本 克之

株式会社パジャ・ポス

代表取締役

(※写真はイメージです/PIXTA)