群馬県立館林美術館では、2024年1月27日(土)より、『ヒューマンビーイング 藤野天光、北村西望から三輪途道のさわれる彫刻まで』が開催される。美術作品の基本といえる人物像に焦点を当て、近代以降の美術家たちが、人の姿に託して何を表現しようとしたのかを探っていく。

同館に所蔵・寄託された絵画や彫刻作品の人物表現に、「肖像」や「人の営み」など5つの切り口で迫る展覧会でぜひ注目してほしいのは、藤野天光(ふじの・てんこう/1903-1974)と北村西望(きたむら・せいぼう/1884-1987)、三輪途道(みわ・みちよ/1966-)の特集展示だ。

まず地元、館林出身の藤野天光は、2023年に生誕120年を迎えた彫刻家で、東京美術学校卒業後、1929(昭和4)年の第10回帝展で初入選を果たした。壮健な男性像や優美な女性像で知られる彼の作品は、現在も館林市内の各所で見ることができる。

そんな彼が美術学校時代に師事し、生涯慕い続けた芸術家が北村西望だ。北村の代表作といえば、なんといっても長崎平和公園に設置されている《平和祈念像》である。北村が考案した「直付け技法」によるこの巨大像の制作には、藤野天光が筆頭助手を務めた。同展では、西洋に影響を受けながら写実表現をアカデミックに追求した師弟の作品を、同じ特集内で紹介する。

もうひとりの三輪途道は、群馬県下仁田町の出身で、2021(令和3)年に病気で目が見えなくなったことをきっかけに、木彫から粘土と漆による方法で制作するようになった。同展では、失明後に彼が生み出した凸凹の激しい作品を、実際に手で触れて鑑賞する展示も行われる。

関連イベントは、クイズに答えるとオリジナルグッズがもらえるクイズラリー「藤野天光の野外彫刻を見つけよう!」や、三輪途道の彫刻に触れ、対話しながら鑑賞するプログラム他、様々なイベントが予定されている。興味のある人は美術館ホームページで詳細の確認を。

<開催概要>
『ヒューマンビーイング-藤野天光、北村西望から三輪途道のさわれる彫刻まで』

会期:2024年1月27日(土)~4月7日(日)
会場:群馬県立館林美術館 展示室 1~4
休館日:月曜 (2月12日は開館)、2月13日(火)
時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
料金:一般620円、大高生310
公式サイト:
https://gmat.pref.gunma.jp/

藤野天光《ベレー帽》1926年 館林市蔵