先日、政府と東京都がそれぞれ発表した「授業料無償化」に関する政策。実際に子育て中の親はどのように捉えているのだろうか。写真と食の力で子どもの幸せを創ることを目指す総合保育テックサービス「はいチーズ!」を提供する千(東京)は、未就学児、園・学校に通う子どもを持つ親541人を対象に「授業料無償化に関する保護者の意識調査」を実施した。
 
 東京都在住の保護者に、東京都の高校授業料無償化についてどう思うか質問したところ、「賛成」(71.03%)、「どちらかといえば賛成」(22.43%)、合わせて93.46%で、大多数が賛成寄りの考えであることが分かった。

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 一方、政府の子3人以上世帯の大学無償化についてどう思うかという質問には、「賛成」(22.00%)、「どちらかといえば賛成」(29.21%)、合わせて51.21%で、半数は賛成寄りの考えであることが分かった。どちらの政策に対しても半数以上が賛成寄りの意見だが、東京都の政策の方が「賛成」に票が集まっており、より肯定的であるという結果となった。

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 さらに、この政策により第2子、第3子以降を検討する可能性があるかという問いには、東京都の高校授業料無償化については「政策を受けて第2子以降を検討する」(2.86%)、政府の多子世帯の大学無償化については「政策を受けて第3子以降を検討する」(3.60%)で、いずれも、この政策により、さらに子どもを産みたいという意識の変化があった保護者はわずかであることが判明した。

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 また、東京都の授業料無償化についての意見を聞いたところ、「高校を諦めざるを得ない人が一定数いる中で、必要な政策だと思う。国全体でやるべき」「少子化対策としては不十分だと思うが、子育て支援としては素晴らしいと思う」など、子育て支援として国全体に広まってほしい政策であると評価されているものの、少子化対策には不十分ではないかという厳しい意見も上がった。

 政府の多子世帯の大学無償化についての意見は、「近々大学生になる子を持ち、子どもが3人以上いる家族にとっては金銭的に助かる政策だと思うが、これから子を産み育てていく可能性がある世代にとっては身近に感じられず、十数年後にも続いている政策なのか不明瞭過ぎて安易に喜べない」など、「多子世帯」という限定的な条件があることで、自分ごとと捉えられる対象者が少なく不公平感があるという意見、「子どもを産む」というところから大学進学までは何年も先の話で、少子化対策には有効性が薄いのではという意見が多く見られた。

 さらに、何が問題で少子化が進んでいると思うかを聞いたところ「経済的不安がある」(83.18%)が一番多い結果に。少子化の課題解決に向けて、政府や自治体によるどのような対策が必要だと思うかとの問いには、「育休だけでなく、職場復帰後の時短勤務の充実や、時短勤務でも子どもを養えるような賃金上げがほしい」など経済的不安の解消や働きやすい環境づくりに対する意見が。さらに、「子どもの養育は親だけでなく、社会全体で行うという考えがなくてはだめかもしれない」「子育ては幸せだと若い世代が認知することが必要だ」など、社会全体で子育てする意識づくりや、子育ては幸せなことだと感じられるように社会全体の意識を改革していくことが必要だという意見が上がった。

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「授業料無償化」に関する保護者の意識調査 東京都の高校授業料無償化 賛成71%、政府の多子世帯の大学無償化 賛成22%