国産より「格上」に見えるのは単なる「舶来モノ」への憧れ? エントリーモデルでも輸入車が高級に見える理由を考えてみた

この記事をまとめると

■廉価なエントリーモデルの輸入車でも国産車に比べ高級に立派にカッコよく見える

■エクステリアの洗練度の高さは欧州車が国産車をリードしている

■輸入車はオーバークオリティなクルマ作りが行われている

輸入車コンパクトカーが人気なのには理由があった

 円安で輸入車の価格が上昇傾向にあるとはいえ、輸入コンパクトカーなら200万円台から300万円台で手に入る新車は少なくない。

 たとえばフォルクスワーゲン・ポロ、フォルクスワーゲンTクロス、ルノー・ルーテシア、ルノー・トゥインゴ、プジョー208シトロエンC3、フィアット500、MINIなどがある。

輸入車ならエントリーモデルでもみすぼらしくならない理由を真面目に考えた

 しかし、そうした輸入車としては廉価なエントリーモデル、ベースグレードでも、どこか国産コンパクトカーと比べると、高級に立派にカッコよく見えるのはなぜだろうか。

 素人目には、欧州車のエンブレムが付いていて、上級車と変わらないブランド性があるから……と感じることもあるだろうけれど、決してそれだけじゃない。

輸入車ならエントリーモデルでもみすぼらしくならない理由を真面目に考えた

 まずはデザインだ。いまでは日本車も優れたデザイン性を持つクルマが少なくないものの、やはりエクステリアデザインの洗練度では、欧州車がリードしている。たとえばフォルクスワーゲン・ポロはどこから見てもクリーンかつ精密なデザインを貫いているし、たとえばルノー・ルーテシアなどのフランス車はどこから見ても日本車とは別の香り漂う粋なデザインでまとめられている。

 MINIに至っては、往年の歴史を漂わせる誰が見てもMINIな普遍的デザインというわけだ。

輸入車ならエントリーモデルでもみすぼらしくならない理由を真面目に考えた

 また、1社のなかでモデル数が少なく、1台のモデルライフも長めのため、持続的価値のあるデザインをデザイナーがまとめ上げる力も、やはり欧州自動車メーカーならではではないか。

モデル固有の顔ではなくブランドの顔が古さを感じさせない

 そのデザイン、とくに顔つきが、上級モデルと共通しているところも、廉価なコンパクトカーを立派に見せている要因だろう。フォルクスワーゲン・ポロもゴルフの顔と似ていて、正面からのパッと見、ポロかゴルフが判別できないことだってあったりする。ルノーもそうだ。

輸入車ならエントリーモデルでもみすぼらしくならない理由を真面目に考えた

 国産自動車メーカーの場合、中大型車と小型車の顔を、ヒエラルキーからしっかり区別できるように、意図的に別顔を与えていることもあるのだが、その違いもまた、輸入車のコンパクトモデル、廉価モデルを立派に見せているポイントではないだろうか。

 そして、これはとくにフォルクスワーゲン・ポロ、ゴルフに言えることだが、まさにオーバークオリティなクルマ作りが行われているのだ。それはクルマの製造から細部に至るまで、ボディのプレスラインやパネルの隙間の精密感、塗装品質の高さなどを含み、ベースモデルが273.9万円から手に入るポロでも、グレードを問わず、国産コンパクトカーとは一線を画すデザイン、見映えがあって高級感ある佇まいを見せてくれるのである。

 もっといえば、ガッチリとしたドアの開閉感の高さまで別次元なのである(細かい点ではゴルフ以上のモデルと違い、ポロ、ポロベースのTクロスは依然、電子パーキングブレーキ不採用だが……)。国産自動車メーカーの一部の軽自動車コンパクトカー、Mクラスボックス型ミニバンがベンチマークとしてフォルクスワーゲン・ポロやゴルフを挙げていることも事実で(自動車メーカーの開発陣曰く、いまでもポロは先代モデル、ゴルフは7.5世代がベンチマークとすべきモデルなのだとか)、追いつき追い越すことは難しいとも聞いている。

輸入車ならエントリーモデルでもみすぼらしくならない理由を真面目に考えた

 先ほど、輸入車は安価なモデルでも高級に見える理由としてエクステリアデザインを挙げたが、筆者が2014年春から乗っていたフォルクスワーゲン・ゴルフVIIヴァリアント・ハイラインは、おそらくデザイン検討段階からボディに塗られていたであろうシルバー系のボディカラーで、リフレックスシルバーという色だったのだが、長きに渡って乗っても、その全体的なシルエットやエッジの効いたプレスラインの精密さ、塗装品質を含め(もちろん走行性能や1.4リッターターボエンジンで高速走行なら20km/L近くはいく燃費性能も)満足できた。エクステリアデザインに古さなどまったく感じられなかったほど。

輸入車ならエントリーモデルでもみすぼらしくならない理由を真面目に考えた

 そして現在、ゴルフVII最終型2020年式ゴルフ7.5ヴァリアントマイスターに大満足のまま乗っている。ゴルフは、今回のテーマとはちょっとズレる車種とはいえ、輸入車は車種を問わず、長きに渡って乗っても、その持続可能なデザイン力の素晴らしさもあって、古さを感じにくいクルマであることも確かだと思っている。

輸入車ならエントリーモデルでもみすぼらしくならない理由を真面目に考えた

国産より「格上」に見えるのは単なる「舶来モノ」への憧れ? エントリーモデルでも輸入車が高級に見える理由を考えてみた