人間の心の暗部を描くイヤミスの名手・真梨幸子の小説『坂の上の赤い屋根』が、WOWOWにて桐谷健太を主演に迎えて連続ドラマ化され、2024年3月3日22時より放送・配信されることが決定。特報映像、キャストと原作者のコメントも解禁された。

【動画】桐谷健太がダークな新境地!『連続ドラマW 坂の上の赤い屋根』特報

 本作は、新人作家が18年前の“女子高生両親殺害事件”をモチーフにした小説企画を、出版社の編集者に持ち込んだことから始まるダーク・ミステリー。やがて登場人物たちが抱える嫉妬、劣等感、孤独、過去など“黒い感情”の正体と事件の真実が明らかになっていく。原作者の真梨幸子の小説は映像化不可能と言われる衝撃作が多く、尾野真千子主演で話題を呼んだドラマ『フジコ』(原作『殺人鬼フジコの衝動』)、同じくWOWOWで映像化した同じ名前の女性が悪の渦に巻き込まれる『連続ドラマW 5人のジュンコ』に続いて、本作は3作品目の映像化となる。

 閑静な住宅街にある赤い屋根の家。18年前、この家で開業医の両親を殺害し遺体を切り刻んだのは、実の娘の青田彩也子と、その恋人・大渕秀行だった。世間を震撼させたこの事件では、大渕が裁判中に「早すぎた自叙伝」を出版し、過去に女子児童に手を掛けたことを告白。裁判では彼に洗脳された彩也子が凶行に及んだとされ、主犯の秀行は死刑、彩也子には無期懲役が確定した。

 それから数年後。「早すぎた自叙伝」を担当した轟書房の編集者・橋本涼のもとに、新人作家・小椋沙奈から事件をモチーフにした小説の企画が持ち込まれる。橋本と沙奈の2人は小説の連載を実現すべく、大渕死刑囚と獄中結婚した大渕礼子や、大渕のかつての愛人で元敏腕編集者・市川聖子ら関係者たちの取材を進めていくうちに、黒い感情に引きずり込まれていく。その先には、誰も知らない衝撃の真実が待ち受けていた。

 主人公の轟書房編集者・橋本涼役を演じるのは、ドラマ、映画、CMに加え、歌手としても活躍し続ける桐谷健太。2023年より『インフォーマ』(カンテレ)、『院内警察』(フジテレビ系)と主演ドラマが続く桐谷が、今回は見る者を闇に引きずり込むようなダーク作品でさらなる新境地に挑む。

 新人作家・小椋沙奈役に、ドラマや映画のほか、近年は舞台での活躍も目立つ倉科カナ。「女子高生両親殺害事件」の主犯格とされる死刑囚・大渕秀行役に、主演の舞台作品が毎年続き、その美声と演技力に磨きがかかるA.B.C-Zの橋本良亮。大渕と獄中結婚した法廷画家・礼子役に、故・大林宣彦監督から「20年に一人の逸材」と称された、繊細な演技で幅広い役柄をこなす蓮佛美沙子。大渕に破滅させられた、パトロンでもあった元編集者・市川聖子役には、女優・歌手として活躍し続ける斉藤由貴がふんする。

 特報映像は、「人格者と言われていた開業医の夫婦。二人を殺害したのは、血を分けた娘とその恋人」というセリフから始まり、物語の軸となる「女子高生両親殺害事件」や、登場人物たちがそれぞれ抱える“闇”が垣間見えてくる内容。事件の現場で、タイトルにもある「赤い屋根の家」は何を意味するのか。事件を小説にする意味、そして衝撃の真相が気になる、ダークな映像美が際立つ特報となっている。

 登場人物たちの心理が交錯する中毒性のあるストーリーに加え、ドラマ版オリジナルの展開も加わった本作。今後は、追加キャストも発表される予定。なお、徳間文庫より発売中の原作本とドラマでは、主人公が異なる設定となっており、ドラマと原作本のそれぞれで“2度楽しめる”、メディアミックス・エンターテインメント作となっている。

 主演の桐谷は、主人公の橋本について「他人から見ると得体の知れない、何を考えているか分からない男ですが、そこにはやはりタネがありました。そのタネを辿りながら、橋本という木を育てました」と説明し、「このミステリーは、登場人物の業や欲望、彼らの宿命の渦が、覆い被さり、ぶつかり合い、消え、更に大きくなる。もしかしたらそこには、あなたの心の奥深くの何かと重なり合うかもしれません」と語っている。

 『連続ドラマW 坂の上の赤い屋根』は、WOWOWにて2024年3月3日22時より放送・配信スタート(全5話)。第1話無料放送。

※キャストと原作者のコメント全文は以下の通り

<コメント全文>


桐谷健太(橋本涼役)

初めに企画書を読ませて頂いた瞬間からこれは面白い作品になりそうだなと思い、即決しました。そしてこの橋本という人物は他人から見ると得体の知れない、何を考えているか分からない男ですが、そこにはやはりタネがありました。そのタネを辿りながら、橋本という木を育てました。

このミステリーは、登場人物の業や欲望、彼らの宿命の渦が、覆い被さり、ぶつかり合い、消え、更に大きくなる。もしかしたらそこには、あなたの心の奥深くの何かと重なり合うかもしれません。ぜひ楽しんで観て頂けたら幸いです。

倉科カナ(小椋沙奈役)

脚本を読んだとき、最後まで結末の気になるストーリーに魅了されました。私が演じる小椋沙奈という役の誰かに認められたいが故の焦燥感や抑圧、そこから生まれる爆発、自分の力を誇示したい気持ちは多少なりともわかるので、その部分を増幅させて役に挑みました。本当に大変な役だったのでエネルギーを使いましたが、主演の桐谷さんの人柄に何度も救われ演じ切ることができたと思います。ぜひたくさんの方にこの作品を楽しんでいただけたら嬉しいです。

■橋本良亮(大渕秀行役)

死刑囚という役柄は初挑戦で 12、3キロ減量して、外見と内面の役作りをしました。小説では大渕はものすごく「爽やかイケメン」と強調されていたので、ドラマを撮影するにあたってハードルが高かったです。一作品で高校生から30代後半まで年齢の振り幅が広い役を演じ、さらに大渕という人物には色々な面があり、撮影もすごく楽しんでやることが出来ました。

30歳を迎えての節目の作品でもあり、これまでにない「橋本良亮」をご期待いただけたらと思います。是非、大渕秀行に惚れてみませんか?

■蓮佛美沙子(礼子役)

孤独、抑圧、侮蔑。彼女の周りに浮遊するワードはどれもハードなものなのに、誰もがどこかで共鳴してしまうような、不思議な“何か”を内包した役でした。卑屈な感情に支配されて相手の台詞が聞こえなくなったり、役を通して出会った初めての感覚はとても苦しく、同時に役者としてとても幸せな時間でした。

謎が解き明かされていく面白さはもちろん、登場人物のいろんな“欲”が、歪な形で画面いっぱいに漂っていると思います。楽しんでいただけますように。

斉藤由貴(市川聖子役)

この作品は、登場人物が皆、様々な過去を十字架のように背負い、生身の人間の裏の部分、憎しみ、裏切り、強欲などを抱えながら生きている、残酷だけれどある意味とても血の通った物語であると感じました。私が演じた市川聖子という人も、編集者としての栄誉、名誉、お金、そして美しい若い男、それらにしがみつきながらも運命に振り払われてゆく女の悲しさや醜さが描かれていて、演じていてとても魅力的な人物でした。

栄華を極めていた時代、落ちぶれた現在、若い女盛りの時代、老いて諦めてしまった現在。演技者として、何か、託されたと思えて、とても嬉しい経験でした。

真梨幸子(原作)

――ドラマ化について

お話をいただいたのは原作の単行本が発売してすぐのことだと記憶しています。もちろん、快諾です。なにしろ「5人のジュンコ」のWOWOWさんですから、間違いはない。しかも、監督さんは「殺人鬼フジコの衝動」の村上正典さん!素晴らしい組み合わせです。期待しかありません。一視聴者として、完成がひたすら待ち遠しいです。

――視聴者へのメッセージ

物語の舞台は、坂の街です。坂は、「土」に「反」(土にかえる)と書き、「死」を意味するという一説があります。坂の向こう側には黄泉の国が広がっていると、昔の人は考えたかもしれません。坂は、高台と低地を隔てる「境」も意味するそうです。つまり結界です。「死と結界。ドラマチックじゃないか。いつか必ず、小説にしてみよう」と坂の街を散歩しながら作り上げた物語です。坂道をのぼるときの、あの息が切れる感覚を思い出しながらご覧いただけたら幸いです。

『連続ドラマW 坂の上の赤い屋根』に出演する(上段左から)倉科カナ、桐谷健太、斉藤由貴、(下段左から)蓮佛美沙子、橋本良亮 (C)WOWOW