超特急に4名の新メンバーが加入し、新体制となってから1年。それぞれのメンバーの個人活動も活発になり、人気は日本だけではなく、アジア全域へ。それと同時に、ジャンルや事務所の枠を超えた多くのアーティストが参加するイベントに参加し、結成から13年という期間に培った圧倒的な実力と、新メンバーのフレッシュさが混在した今の彼らならではの存在感で新規ファンを次々と獲得。目に見えて追い風が吹いていることを感じることが出来ている。

 そんなさなか、横浜と大阪にて、アリーナツアー【BULLET TRAIN ARENA TOUR 2023 T.I.M.E -Truth Identity Making Era-】が開催された。今回のライブでは、新曲「Countdown」から始まり、11年前に発表された2ndシングルの『Shake body』に収録された「Secret Express」に繋がり、彼らの代表曲ともいえる楽曲、さらにこれまでの歴史に様々な想いが重なるデビュー当初の曲などが満遍なくセットリストにおさまり、過去を現在の超特急をしっかりと繋いでいくような構成で8号車(※ファンネーム)の胸を熱くさせた。ここでは熱狂に染まった横浜2日目となる12月10日の公演をレポートする。

 ライブが始まると同時にステージ上で光を浴び、力強いオーラを持ったまま9人が登場すると、会場からは割れんばかりの歓声が上がり「Countdown」がスタート。ボーカルの2人であるタカシとシューヤがステージ上の階段を降り、7人を牽引するように降りたあと、メンバーは赤い光を浴びてエネルギッシュで、妖艶なダンスで魅せていく。8号車の「チクタク」の声から始まった「Secret Express」では一気に会場が笑顔で染まっていく。客席ではそれぞれのメンバーカラーが光るペンライトが激しく揺れ、会場が一体に。ステージではユーキだけが残り、その後ダンサーを従え激しく力強いダンスで魅せていく。

 今回のセットリストでは、このようにメンバー全員がソロパフォーマンスする箇所を持ち、それぞれの個性を爆発。マサヒロは優しい笑みを浮かべながら気品漂うダンスで魅了し、アロハはグラフィティをバックにクールに、ときにセクシーにダンスを見せながら、バク転も披露。カイはタカシのボーカルをバックに、ムーディでセクシーなダンスでドラマティックな世界を作り、シューヤはギターの美しい音色に乗せて、「refrain」を語り掛けるように、優しく歌い上げた。タカシは「小さな光」を芯の強い歌声で歌うと、今の超特急と歌詞が重なり、会場からはすすり泣くような音が響き渡る。タクヤは黒いスーツに身を包み、魅力的なシルエットで演出したクールなソロパフォーマンスを見せると、ハルは飛び切り元気なパフォーマンスと煽りで“あざとさ”全開で会場をキュートな空気で包み込み、リョウガはバキバキなソロダンスで魅せようとするも照明やカメラマンにいじられるコミカルな展開にキャラクターを提示しアリーナを笑いで包んだ。

 本編では、現体制でリリースされた最新アルバム『B9』から、クールでテクニカルな「KNOCK U DOWN」「MORA MORA」を披露。メインステージとセンターステージを繋ぐ通路もうまく使用し、360度どこにいても楽しめるパフォーマンスにした演出力はさすが。ちなみに、今回のライブはメンバーのユーキが担当。アーティストとして、8号車がどう見えたら嬉しいのか、今の超特急をどう見せたいのか、その気持ちがしっかりとわかっているからこそのセットリストや演出はさすがのひと言。心から信頼ができる。

 さらにメッセージ性の強い「Billion Beats」では、横並びになり途中でリョウガとアロハが「流れ星!」と叫ぶ小芝居をいれつつ、横並びになり歌い上げるエモーショナルなパフォーマンスで心を奪いながら歌い上げる。さらに、8号車だけでこの曲を歌う声を聴いたタクヤは目にいっぱいの涙を浮かべ「ありがとう」と気持ちを言葉にして届けた。

 彼らの真骨頂であるコミカルでいながらも芯を喰った楽曲とパフォーマンスで魅せる「バッタマン」では、見ている人たちすべてが心配になるほど突き抜けた全力パフォーマンスでエネルギッシュに魅せていく。ほかのグループでは決して見ることが出来ないパフォーマンス中の白目が印象的な「Believe×Believe」では彼らの覚悟も感じ、「My Buddy」では、8号車の身体に沁みついたサビのダンスで一体感に包まれ、アンコールで披露された「Rail to Dream」では、8号車の大きな声でのコールが響き渡っていた。

 MCでは、カイが「僕たちがしているダンスは声を持たない言語だと思っていて。見てくださるあなたに悲しみ、喜び、みんな共有できたらいいなと思っています。ダンスに乗せて、いろんな感情を届けていけたらいいなと思います」と話し、タクヤは頭が真っ白になったことを告白し、大声で「楽しかった!!」と感情を爆発させた。ユーキはタイトルの「T.I.M.E.」を挙げ、「時間と人生は直結しているなと思っていて。いろんな過去、土岐が流れている中で8号車のみなさんと未来を一緒に築き上げていけたらいいなと思っています。皆さん楽しんでいただけましたか?」と問いかけると大きな声援が上がり、「もう、充分です」と最高の笑みを浮かべていた。

 続くタカシは「あらためて超特急のライブって最高やなと思いました!」と叫ぶと、シューヤはユーキが構成してくれたことを話し、「一人ひとりに個性が輝くパフォーマンス時間を与えてくれたんです。出せましたか!?」と問いかけると、ユーキが泣きながら「思い切り出せたと思います」と答えると、シューヤはその顔を確認した後、「僕たちは過去の楽曲も歌わせてもらったり、ハルは「バッタマン」をパフォーマンスしたり、マサヒロとアロハは僕たちが加入してからの曲をパフォーマンスして見せられました」「9人そろってからの楽曲も同じように愛していただきたいし、これからも届けていきたいので、過去の曲も今の曲も愛していただけたらいいなと思っております」と話した。マサヒロは「僕タイがこうやってパフォーマンスを楽しくできているのは僕たちメンバーだけじゃなくて、9号車(スタッフ)の方々のおかげだと思っています」と感謝を述べ、アロハは「セトリが神過ぎてすべてに置いて全力に尽くさせていただきました」「これからもいろんなアロハを見せていきたいと思います!」と話し、最年少のハルは「この景色がこの世で一番好きと言えるくらい輝いていて、墓場に持って帰りたいくらい」と話すとメンバーから「最年少のお前が言うな!」と総ツッコみされるなど、個性が溢れた挨拶となった。

 本当のラストの「Synchronism」では、それぞれのメンバーが広く、大きな客席を見つめ、“同じ夢を見よう”と叫び、伝える、彼らの意思表明ともいうべきメッセージソングを、また会える約束するように歌い、幕を閉じた。

 歴史は紡がれていく。そして、それぞれの想いを乗せて、走り続けていく。彼らは、自分たちのスピードで、ときに加速しながら、たまにゆっくり速度を落としながら。でも決して止まることなく、それぞれが抱く夢まで走り続けていくことを確信させてくれる素敵なライブだった。


Text:吉田可奈
Photo:米山三郎、小坂茂雄

◎公演情報
【BULLET TRAIN ARENA TOUR 2023 T.I.M.E -Truth Identity Making Era-】
2023年12月10日(日)神奈川ぴあアリーナMM ※公演終了

<ライブレポート>超特急、過去と現在を繋ぐ【BULLET TRAIN ARENA TOUR 2023 T.I.M.E -Truth Identity Making Era-】