鹿島(社長:天野裕正)は、建設資材(以下、資材)の効率的かつ環境に配慮した運送を実現するために二つの取組みを開始しました。
 一つは、ヤマトシステム開発株式会社(社長:栗丸信昭、東京都江東区、以下「ヤマトシステム開発」)と連携し、現場で作業する協力会社と運送会社をマッチングすることで、資材の運送を効率化するアプリを開発、運用をスタートしました。
 二つめは、物流会社と連携し、資材を大型車両で物流センターまで運送して一時保管した後、工事のタイミングに合わせて小型車両で現場に運送する仕組みを構築、現場への導入を進めています。今回、センコー株式会社(社長:杉本健司、大阪市北区、以下「センコー社」)と連携し、本仕組みを横浜市内の集合住宅工事現場に導入、その効果を実証しました。導入現場では、CO2排出量を従来比約60%削減できたことを確認しています。
 鹿島は今後、物流会社との連携を拡大しつつ、これらの仕組みを各現場に導入し運送の効率化を進め「物流の2024年問題」の解決を図るとともに、運送に伴い排出されるCO2を削減することで、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

運送マッチングのイメージ
物流センターを中継する運送のイメージ

  • 開発の背景

 現場には、日々大量の資材が運送されます。その際、車両の可能積載量に対して実積載量が少ない「低積載」や、荷下ろし後の荷台が空となる「空荷」など、非効率な状態が度々発生します。また、一般的に、資材は遠方にある製造元から現場に大型車両で一括運送されます。ただし、現場の規模により荷受量などが制限される場合には、小型車両で何度も運送する必要が生じ、車両由来のCO2排出量が増えるといった課題がありました。
 一方、物流業界は、いわゆる「物流の2024年問題」を抱えています。2024年4月から適用される時間外労働の上限規制により、輸送能力が低下し、ドライバー不足と相まって、モノが運べなくなることが懸念されています。
 このため、建設、物流両業界にとって、これらの問題を解決する効率的かつ環境に優しい運送の実現が喫緊の課題でした。

  • 資材の効率的な運送の概要

■運送マッチングアプリ
 効率的な運送を実現するためには、車両の可能積載量を「空間」と「重量」の両面から無駄なくフル活用する必要があります。そのためには綿密な計画立案や連絡、調整などが不可欠です。鹿島とヤマトシステム開発は、これらをブラウザ上で行う運送マッチングアプリを共同開発しました。

運送マッチングアプリの操作画面イメージ

 本アプリでは、現場で作業する協力会社が「いつ、どの資材が欲しい」と入力した情報と、運送会社が「車両サイズ、どこからどこへの運送、合積みと帰り荷の状況」を入力した情報が同じ画面で共有されます。双方の情報を一元管理することで、これまでロスとなっていた部分が一目瞭然となり、無駄を無くすための諸調整を容易に行うことができます。
 さらに、運送後に空荷となる車両に、現場から搬出したい資材を、帰路上にある資材置場に運送するようマッチングすることで、効率をより一層高めることも可能です。

低積載を解消する取組みのイメージ

空荷を解消する取組みのイメージ


■物流センター中継システム
 一般的に、資材の製造元は現場から遠方にあることが多いため、資材の運送は大型車両を使って一括で運送する方が効率的です。一方、多くの現場では大量の資材を保管するスペースがありません。そこで鹿島は、センコー社の協力を得て、同社が保有する物流センターを中継して資材を運送する仕組みを導入しました。
 本仕組みでは、大量の資材を製造元から大型車両で同センターまで運送し、敷地内に一時保管します。現場で当該資材が必要となった際に、同センターから都度小型車両で運送します。
 さらに、例えば集合住宅の工事では、住戸ごとに様々な建設資材を搬入する必要がありますが、同センター内で住戸ごとにまとめて梱包してから現場へ運送することで、現場内での仕分け・運搬作業を効率化できます。同センター内での仕分け作業と建設現場への運送は、センコー社が担当します。

大型車両と小型車両の活用

物流センターに保管した資材を小分けにして運送


 当社が横浜市内で施工中の集合住宅工事では、この仕組みを2023年4月から導入することで、従来と比較して約60%のCO2排出量の削減効果を確認しました。

  • 今後の展開

 鹿島は今後、これらの取組みを全国の現場に展開することで、運送に伴い排出されるCO2の削減ならびに、「物流の2024年問題」の解決に向け、業界の枠を超えて取り組んでまいります。

配信元企業:鹿島建設株式会社

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