代替テキスト
(撮影:稲垣純也)

体よく押し付けられた仕事、やっぱり断ればよかった。

周囲を気にして断れなかった。

一度断っても何度もお願いされると結局、引き受けてしまう。

断ろうとしてもなんだか言いくるめられる――。

「断る」ことにストレスを感じ、断れない人は少なくないだろう。そんなとき、「論破王」としても知られるひろゆきならどうするのか? 「人間関係にカドを立てずに断る方法」について、新刊『ひろゆきさん、そこまで強く出られない自分に 負けない話し方を教えてください』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。

■「自分ではどうにもならない」外的理由を作る

できない理由を、自分以外の人のせいにして断ってしまいましょう。

たとえば、「転勤」の要請について、

「うちの妻は今メンタルが不安定で、転勤なんて言ったら刺されかねないんで、マジで転勤は無理なんですよ」

といった話をします。要は「あなたが状況を変えてくれるんだったら行けますけど、さすがにこれは無理ですよね?」という話をして、判断のボールを相手に投げてしまう。そんな妻を説得するのは上司にも無理じゃないですか。これでたいていの話は終わると思います。

ほかにも、

「実家の親の介護をしなきゃいけないんです」
「土日は両親の世話をしに行かなきゃいけないので」
「兄弟にちょっと心の病があって、離れるとものすごい回数の電話が来るんです。深夜に呼び出されるんですよ」

みたいなことを言います。それを聞いたら、上司も何も言えません。

身内のネガティブな話をネタにすることには、抵抗を感じる人もいるかもしれません。その時は、家族以外の理由をつければよいでしょう。要は、「自分の一存では、なんともできません」ということが伝わればいいのです。

自分だけでなんとかできそうな事柄を理由にしてしまうと、相手は「それは頑張れるよね」「気持ちの問題だよね」と認識しかねません。当然、さらなる説得に入ってくる可能性があります。また理由が自分にあると「努力できない人だ」「自分勝手な人だ」とネガティブなイメージを持たれる恐れもあります。

なので、「自分自身で変えられることだったら、私だって最善の努力をしますよ。でも、これは外的要因なので、自分では変えられないんです」という態度に徹します。

■課長からの転勤要請に「警察沙汰になるかもしれなくて」

具体例をビフォーアフターで考えてみましょう。

【Before:ここがダメ】

上司:4月から転勤をお願いしたいと思っているんだけど。

A:え、困ります。

(※「困ります」だけだとただの自分の感情。説得できそうな理由を探そう)

上司:うちの会社は、だいたい君くらいの年で転勤するのが慣例なんだよ。

A:と言われましても……。

上司:赴任先の人にはよく言ってあるから。引き継ぎだけしっかりしてってくれる?

A:はい、わかりました……。(嫌とも言えないし……)

【After:こう変わった!】

上司:4月から転勤をお願いしたいと思っているんだけど。

A:なるほど。私はいいのですが、ちょっと家族が……。

(※理由を外的な要因にして「自分ではどうにもならない」ことを訴える)

上司:家族がどうしたの? 君、今一人暮らしでしょ?

A:いえ、今、近所にいる弟がね。不安定なところがあって大変なんです。

上司:そうなの?

A:ちょっとクレーマーっぽいところがあって、自分が転勤すると、毎日会社に電話してくるかも……。それに警察沙汰になるかもしれなくて……。課長、対応してくれますか?

(※絶対無理なことを話したうえで、課長に判断のボールを投げてしまう)

上司:どうにかならないの?

A:いやあ、どうにかしてほしいですよ。

■悪気なく赤ちゃんを触ってくる相手に「人見知りなんで」

最後にひろゆきさんに質問。もし相手に悪気がなかったら?

【Q】悪気がない相手も断りにくいんですよね。知り合いの話ですが、子どもをベビーカーに乗せて散歩していたら、年配のご婦人が近づいてきて、「あら、かわいい赤ちゃんね!抱かせて」と手を出されて困ったことがあったそうです。悪気がないのはわかるけど、インフルエンザみたいな感染症が流行っている時は、気になるじゃないですか。

ひろゆきさんの答えは?

【A】そういう時は、間髪入れずに「うちの子人見知りなんです」と強く言えばいいですね。よっぽど変な人でもない限り「人見知りなんで」という子どもを抱こうとは思わないはずです。なので、そのように言えば、急に抱かれる心配もないし、カドも立ちません。嘘も方便、というやつです。

PROFILE

ひろゆき(本名:西村博之

1976年生まれ。東京都北区赤羽で育つ。1996年中央大学に進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「相手の人格を否定すること」を禁じた新たなSNSサービス「ペンギン村」をリリース。2021年、自身のYouTubeチャンネル(登録者数160万人。2023年10月25日現在)での生配信を元にした「切り抜き動画」が話題になり、1か月の総再生回数は3億回を超えた。主な著書に、『論破力』(朝日新書)、『1%の努力』(ダイヤモンド社)、『自分は自分、バカはバカ。』(SBクリエイティブ)、『日本人でいるリスク』(マガジンハウス)などがある。