年末年始の休暇を使って、見逃してしまっている展覧会へ出かけてみては? ここでは、年末年始期間中無休、もしくは休館日が比較的少ない首都圏の展覧会をご紹介。休館日等は変更の可能性もあるので、最新情報を確認してから出かけよう。

『森美術館開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』 森美術館

会期:2023年10月18日(水)~2024年3月31日(日)
※会期中無休

六本木の森美術館は例年通り年末年始も無休で開館している。現在開催中の『私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』は、国内外のアーティスト34名が参加し、地球の生態系を取り巻く環境について、アートを通じてさまざまな視点から考えることを促す展覧会。12月22日からは家族で入館すると子ども料金(4歳~中学生)が無料となる「おやこでエコ割」もスタートしており、冬休みに親子でエコについて考えるまたとない機会にもなるだろう。

『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』 森アーツセンターギャラリー

会期:2023年12月9日(土)~2024年2月25日(日)
※会期中無休

キース・ヘリング展 アートをストリートへ』展示風景

美術館と同じ、六本木ヒルズ森タワー内の森アーツセンターギャラリーで開催中の『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』も無休でオープンしている。1980年代のNYを拠点に、明るくポップな作品でウォーホルやバスキアらとともにカルチャーシーンを牽引し、1990年エイズによる合併症で31歳の若さでこの世を去ったキース・へリング。今回の展覧会では、ヘリングが地下鉄駅でゲリラ的に描いた「サブウェイドローイング」をはじめ、アイコニックな作品や彫刻、ポスター、6メートルに及ぶ大型作品まで、約150点が展示されている。

『蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』 TOKYO NODE GALLERY

会期:2023年12月5日(火)〜2024年2月25日(日)
※2024年1月1日(月・祝)、2日(火) 休

蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』展示風景

虎ノ門の新スポット、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45階の「TOKYO NODE GALLERY」では、『蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』が開催中。写真家・映画監督の蜷川実花が、データサイエンティストの宮田裕章、セットデザイナーのEnzoらと結成したクリエイティブチーム「EiMエイム)」として挑む初の展覧会だ。地上200m超の場所にあり、東京の大パノラマをのぞむ特徴的な空間で、「桃源郷」をコンセプトに五感を使って楽しむ没入型の作品14点を展示。全て今回のために制作された新作となる。

『モネ 連作の情景』 上野の森美術館

会期:2023年10月20日(金)~2024年1月28日(日)
※2023年12月31日(日)、2024年1月1日(月・祝) 休

『モネ 連作の情景』展示風景

2024年は、1874年に第1回印象派展が開催されてから150年となる節目の年。上野の森美術館ではこれを記念し、印象派の巨匠、クロード・モネが繰り返し描いた「連作」に焦点をあてた『モネ 連作の情景』が開催されている。最初の本格的な連作といわれる「積みわら」やモネの代名詞ともいえる「睡蓮」をモチーフとした作品などから、同じ場所やテーマを異なる天候、異なる時間、異なる季節を通して描き、光や時間との対話を続けたモネの画業を展観。約60点の展示作品すべてがモネの作品という“100%モネ”の展覧会だ。

『正倉院宝物を受け継ぐ―明治天皇に始まる宝物模造の歴史』 明治神宮ミュージアム

会期:2023年10月20日(金)~2024年1月28日(日)
※2023年12月31日(日)、2024年1月1日(月・祝) 休

『正倉院宝物を受け継ぐ―明治天皇に始まる宝物模造の歴史』展示風景

初詣の際にぜひ立ち寄ってほしいのが、明治神宮の境内にある明治神宮ミュージアムで開催中の『正倉院宝物を受け継ぐ―明治天皇に始まる宝物模造の歴史』展だ。現在の正倉院宝物の修理や模造制作は、明治10年に明治天皇が正倉院を天覧した際、宝物の整理・修復を命じられたことが第一歩となり、現在も復元模造の制作が進められている。同展では、正倉院の代表的な宝物である《螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)》をはじめ、実物の素材や技術を踏襲し、精緻に再現された模造品の展示を通して、宝物を守り伝えることの意義や、最新の研究成果が紹介されている。

『みちのく いとしい仏たち』 東京ステーションギャラリー

会期:2023年12月2日(土)~2024年2月12日(月)
※月曜、2023年12月29日(金)~2024年1月1日(月・祝)、9日(火) 休、1月8日(月・祝) は開館

『みちのく いとしい仏たち』展示風景

東京駅構内にある東京ステーションギャラリーでは『みちのく いとしい仏たち』を開催中。江戸時代以降の北東北3県で、専門の仏師ではなく、地元の大工や木地師が彫った「民間仏」約130点が紹介されている。大きなお寺に祀られているお像とは異なり、地元のお堂や民家の神棚などに祀られてきた仏像や神像は、彫りが拙かったり、プロポーションがぎこちなかったりと、型にはまらない個性的な姿に心を掴まれるはず。厳しい風土に生きる人々に寄り添ってきたお像の数々から、日本列島の信仰のかたちについて考えていく。

『111年目の中原淳一』 そごう美術館

会期:2023年11月18日(土)〜2024年1月10日(水)
※会期中無休

そごう横浜店6階のそごう美術館では、戦前から戦後にかけて「新しい少女像」を表現し、当時の女性たちから圧倒的な支持を集めた中原淳一の展覧会が開催されている。同展では、雑誌『それいゆ』『ひまわり』など中原が手掛けた雑誌の仕事に焦点を当てながら、人形、洋服、きものなど、中原が表現した美の全貌を紹介。当時の少女たちを魅了し、後の少女漫画にも大きな影響を与えた中原の作品世界。今なお色あせないその魅力を紐解いていく。

『モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン』 ポーラ美術館

会期:2023年12月16日(土)~2024年5月19日(日)
※会期中無休

モダン・タイムス・イン・パリ 1925-機械時代のアートとデザイン』 第1章「機械と人間:近代性のユートピア」展示風景 Photo by Ooki JINGU

箱根・仙石原のポーラ美術館は今年も無休でオープン。開催中の『モダン・タイムス・イン・パリ 1925-機械時代のアートとデザイン』では、1920年代のパリを中心に、ヨーロッパやアメリカ、日本における当時の機械と人間との関係を約170点の多彩な作品や資料で紹介。急速に工業化が進むなかで花開いた「アール・デコ」の幾何学的なデザインや、そのアンチテーゼとしてうみだされた「ダダ」や「シュルレアリスム」、日本の美術やデザインにおける「アール・デコ」の影響など、機械への賛美と反発が現れた100年前の文化の様相を浮き彫りにする。

『金屏風の祭典 ―黄金の世界へようこそ―』 岡田美術館

会期:2023年12月17日(日)~2024年6月2日(日)
※2023年12月31日(日)、2024年1月1日(月・祝) 休

箱根の小涌谷にある岡田美術館では、お正月らしく絢爛豪華な金屏風の所蔵品を紹介する『金屏風の祭典 ―黄金の世界へようこそ―』が開催されている。同展では、「金雲」「金銀」「金地」という3つのテーマで、バラエティ豊かな金屏風の収蔵品約30件を紹介。狩野派が得意とした力強い「金雲」の表現や、銀箔や銀砂子を組み合わせた「金銀」からなる屏風、また、金箔におおわれた輝くばかりの総「金地」の屏風など、桃山時代から現代までの絢爛豪華かつ多様な金の表現を楽しむことができる。

モニラ・アルカディリ《恨み言》2023年 展示風景:「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」森美術館(東京)2023-2024 年 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館