王者ナポリの低空飛行は必然なのだろうか。

昨シーズンのセリエA制覇が実に33年ぶりスクデットだったナポリルチアーノ・スパレッティ元監督(現:イタリア代表指揮官)が率いて抜群の一体感を誇った南イタリアの雄は、インテルミランといったライバルを次々と薙ぎ倒していった。

ところがスパレッティ監督は契約問題を巡って退任を選び、安定感ある最終ラインを支えたDFキム・ミンジェはバイエルンへ移籍…今季新任のルディ・ガルシア前監督は個性派集団を掌握できず、FWビクター・オシムヘンやMFクヴィチャ・クワラツヘリアら主軸アタッカーの低調が際立ち、気づけば首位インテルとは勝ち点「17」差の7位に沈んでいる。

では、昨季と今季で一体何が違うのか。

スパレッティ元監督の退任…お世辞にも評判が良いとは言えないガルシア前監督の招へい…ひいては契約を巡ってスパレッティ元監督に不信感を募らせたアウレリオ・デ・ラウレンティス会長の失策…キム・ミンジェの退団…要因は様々挙げられる。

だが、『フットボールイタリア』やイギリスBBC』など、欧州各国のメディアに寄稿するサッカージャーナリスト、スージー・カンパナーレ氏の見立てでは「どうあがいても今季のナポリは苦戦していた」という。

スパレッティ元監督は先日、インタビューで昨季のナポリ指揮を振り返り、「自分の全てを出し尽くし、空っぽの状態で走り、タイトルを獲得した。これ以上良くなることはないだろうと感じたんだ。実のところ、諦める(退任の決意)ことも難しくなかった」とコメントした。

カンパナーレ氏は「昨季は全てが順調過ぎた。スクデットをまぐれとは思わないが、30年以上優勝していなかったクラブに一度もタイトル獲得経験のない選手が多数…成功を持続させることは無理だと言わざるを得ない」と論じる。

ナポリのスクデットはレスター・シティプレミアリーグ優勝ほど奇跡的ではない。ただ、昨季以前のスクデットはディエゴ・マラドーナがいた時代だけ。昨季も3月ごろからすでに失速していた…クワラツヘリアと同じくだ」

「今季の低空飛行をルディ・ガルシアやデ・ラウレンティスのせいにするのは簡単だが、厳しいシーズンとなることは半年以上前から明らかだった。スクデットの美酒に酔いしれた二日酔いなのだ。スパレッティが最もこれを理解し、適切なタイミングで身を引いた…実に懸命な判断だったと言えるだろう」