カウントダウン時の渋谷

年越しのタイミングで若者が大挙して訪れる東京・渋谷渋谷区は26日、大晦日から元旦にかけてスクランブル交差点周辺での「年越しカウントダウン」を中止すると発表し、トラブル防止のため大規模な警備体制を敷くことを明らかにした。

 

■年末年始の恒例イベント

かつて年越しの名物行事となっていた渋谷駅前での「カウントダウンイベント」。

最盛期にはスクランブル交差点周辺に約10万人もの若者が集まったと言われ、大型ビジョンに映し出された「3、2、1…Happy New Year!」の映像に合わせて、一同新たな年の到来に歓声を上げていた。

しかし、コロナ禍の影響で2020年の開催からカウントダウンイベントは中止に。今回で4年連続のイベント取り止めとなった。

 

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■ビジョンは年越し待たず「23時1分」で停止

渋谷ハロウィン

渋谷区は、12月31日18時から翌1月1日5時までの路上飲酒禁止、さらには周辺商店での酒類販売の自粛要請、待ち合わせ場所として使われる「忠犬ハチ公像」周辺の閉鎖、加えてスクランブル交差点周辺にある大型ビジョン6機の放映停止も明らかにした。

ビジョンは23時で一旦停止し、23時からの1分間、渋谷区が制作した「注意喚起」VTRが放映された後、翌7時まで沈黙する。

 

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■「渋谷ハロウィン」と同等レベルの対策

渋谷ハロウィン

とはいっても、年越しの喜びを分かち合いたいと多くの若者がこの地に訪れることが予想される。

現地の警備体制について渋谷区を取材すると、「警察に加え、委託した警備会社スタッフ約100名、さらに区職員30名を動員し、人流のコントロールを実施予定。雑踏事故防止のため昨年よりも警備を強化している。10月末に行われたハロウィン時と同等のレベルで臨む予定」(渋谷区安全対策課)という回答があった。

 

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■まずは「危険回避」

渋谷ハロウィン

2023年10月に行われた「渋谷ハロウィン」では、今まで以上に大規模で厳重な警備体制が敷かれており、機動隊だけでも約500人もの動員があったとされる。その背景には2022年10月、韓国・イテウォンで発生し約150名が亡くなった「将棋倒し」事故があり、同様の事故を防ぐため警察と地元企業が一丸となった。

駅周辺の道はほぼ規制され、中心地に向かうため迂回ルートには数メートルおきに警官、そして警備会社「BONDSボンズ)」の屈強なスタッフが配置されるという厳戒態勢。記者も現地を取材して回っていたが、例年に比べトラブルは軽減された印象だ。

今回の対策は渋谷区としても苦渋の決断だったようで、「『渋谷に来ないで』というアナウンスはしておらず、区としてもみなで新年をお祝いしたい気持ちがある。しかし、ハロウィン同様、多くの外国人観光客がこの光景を見ようと訪れる可能性があり、優先すべきは危険の回避。どうかご理解いただきたい」と担当者。数年前と現在で環境がガラリと変わったことも説明していた。

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