プレミアリーグ第19節、マンチェスター・ユナイテッドvsアストン・ビラが26日にオールド・トラッフォードで行われ、ホームのユナイテッドが3-2で逆転勝利した。

8位のユナイテッドは前節、ウェストハムに0-2で完敗。これで公式戦4試合連続無得点での4戦未勝利とピッチ内では苦境が続く。一方で、ピッチ外ではサー・ジム・ラトクリフ率いる『INEOS』への株式25%の譲渡がようやく確定し、今後の補強に向けてポジティブな報せとなった。その体制変更発表後初めてのホームゲームに向けては前節から先発4人を変更。カンブワラと軽傷でベンチ外のショーに代わってヴァランとダロト、マクトミネイとアントニーに代わってエリクセン、ラッシュフォードを起用した。

対する3位のアストン・ビラは前節、伏兵シェフィールド・ユナイテッド相手にホーム連勝記録が「15」でストップ。今節では不振続く名門チームとのアウェイゲームで2試合ぶりの勝ち点3奪取を目指した。エメリ監督は終始圧倒しながらも1-1のドローに終わったブレイズ戦から先発2人を変更。キャッシュとディアビに代えてジエゴ・カルロス、デンドンケルを起用した。

中盤に3人のボールプレーヤーガルナチョを右、ラッシュフォードを左と得点力不足解消へ変化を見せたユナイテッド。拮抗した立ち上がりのなかで11分にはエリクセンが鋭いミドルシュートでGKマルティネスを脅かす。

以降はボール支配を含めてほぼイーブンな状況のまま時間が進んでいくが、アウェイチームが得意のセットプレーで続けざまにゴールをこじ開ける。

まずは22分、相手陣内右サイドで得たFKの場面でキッカーのマッギンが左足インスウィングのボールをゴール前に入れると、誰にも触れることなくバウンドしたボールがゴール左隅に決まった。

さらに、直後の26分には右CKの場面でキッカーのマッギンが左足インスウィングで滞空時間の長いボールをファーに蹴り込むと、完璧にマークを外してフリーとなったラングレのヘディングでの折り返しを中央で待ち構えていたデンドンケルが右の足裏で蹴り込んだ。

アストン・ビラ得意のデザインされたセットプレーになすすべなく失点を重ねたホームチーム。得点力不足の状況において最悪な展開を強いられたなか、ここからリスクを冒して前に出ていく。

相手のハイラインに対してサイドバックや3列目からの飛び出しで入れ替わりを狙い、幾度かその形からブルーノ・フェルナンデス、ラッシュフォードとボックス付近で足を振っていく。だが、シュートストップに無類の強さを誇るGKマルティネスの好守に阻まれる。

何とか前半のうちに1点でも返そうと、以降も攻勢を続けたユナイテッドだったが、再三のオフサイドに加え、肝心のシュートも枠を捉えることができず。ホームサポーターのブーイングに晒されたなかでドレッシングルームに帰ることになった。

互いに選手交代なしで臨んだ後半、ホームでこれ以上の体たらくは見せられないユナイテッドは開始直後に決定機を創出。48分、カウンターから左サイドに抜け出したラッシュフォードが右を並走するガルナチョへラストパスを供給。そのままボックス内へ持ち込んだガルナチョがGKをかわして無人のゴールへ蹴り込むが、これは際どいオフサイド判定で認められず。

一方、VARで失点を回避したアストン・ビラだが、一連の守備対応の際に足を痛めたディーニュがプレー続行不可能となり、アレックス・モレノのスクランブル投入を余儀なくされる。

以降も攻勢を続けるホームチームは相手のミスを突いて待望のゴールを奪う。59分、ジエゴ・カルロスからドウグラス・ルイスへの縦パスを狙っていたB・フェルナンデスが引っかけて左サイドのラッシュフォードに繋がると、ラッシュフォードオフサイドとなった数分前の反省を活かして早いタイミングで逆サイドガルナチョへ折り返す。これをアルゼンチン代表FWが再びゴールネットに突き刺すと、今度はオンサイドでのゴールが支持された。

これで公式戦5試合ぶりのゴールを挙げたユナイテッドだが、直後には反撃に出たアストン・ビラの攻撃を受けてモレノの左クロスをゴール前のベイリーにダイレクトボレーで合わされるが、これはGKオナナの好守で事なきを得た。

後半半ばを迎えて試合はやや膠着状態に入ったが、ここで再び赤い悪魔が底力を見せる。71分、中盤で圧力を受けたメイヌーの縦パスがうまくガルナチョに繋がると、右サイドに流れたB・フェルナンデスから鋭いグラウンダークロスが供給される。これはDFにブロックされたが、中央でこぼれに反応したガルナチョの左足シュートがDFジエゴ・カルロスにディフレクトしてコースが変わってゴールネットに突き刺さった。

ガルナチョの2ゴールで試合が振り出しに戻ると、ここから両ベンチが動く。このまま逆転まで持っていきたいユナイテッドはメイヌーとラッシュフォードを下げてマクトミネイ、アントニーを同時投入。対するアストン・ビラはベイリー、ラムジーの両ウイングを下げてザニオーロ、ディアビをピッチに送り出す。

すると、この交代直後に試合が動く。82分、ユナイテッドの右CKの場面でニアで競り勝ったエバンスがフリックしたボールが中央のマッギンの太ももに当たって浮き球のルーズボールになると、これに反応したホイルンドが左足ボレーで左隅に流し込んだ。

ホイルンド待望のプレミアリーグ初ゴールでついに試合を引っくり返したユナイテッド。オールド・トラッフォードに久々の熱狂が渦巻くなか、テン・ハグ監督はアタッカーを投入してきた相手の動きを受けてDFカンブワラや生え抜きの若手をピッチに送り込み、後ろの枚数を増やして逃げ切り態勢に。

9分が加えられた後半アディショナルタイムも緩みを見せることなくアウェイチームの反撃を冷静に撥ね返し続けたユナイテッドは、このまま3-2で試合をクローズした。

この結果、難敵アストン・ビラに2点差を引っくり返す劇的勝利を飾ったユナイテッドが公式戦5試合ぶりのゴールと共に5試合ぶりの白星を手にした。一方、アストン・ビラはショックが残るリーグ8試合ぶりの黒星となった。