「若手人材の離職防止に関する調査」~大企業の6割が「若手人材の離職」に課題あり、離職防止に効果があるポイントとは?~

人事のプロを支援するポータルサイト「HRプロ」を運営するProFuture株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長CEO:寺澤 康介)の研究機関であるHR総研は、「若手人材の離職防止に関する」に関する調査を行いましたので、結果を報告いたします。

若手人材は昨今の採用市場において売り手市場である上、キャリア自律の意識が高まる中、若手社員のリテンションを課題とする企業が多くなっています。若手社員の早期離職を防止するために、人事はどのような対策をして、どのような取り組みに効果が出ているのでしょうか。

本レポートでは、若手人材の早期離職に関する状況や、離職率低下に向けた人事の取組みなどの実態について、フリーコメントも含め結果をご報告いたします。

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】「若手人材の離職防止」に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2023年10月25~11月1日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:222件

【調査結果サマリー

大企業と中堅企業の4割で「若手人材の離職率が高い」と認識

●若手人材の離職率に対する課題感、中堅企業で8割

●若手人材の離職の要因に「待遇」が最多、上司や同僚等との人間関係も

●効果が出ている若手人材の離職防止策で「社内コミュニケーションの活性化」が最多で7割

●オンボーディングができている企業では「入社後ミスマッチ防止策」にも特徴あり

●「成長実感できる取組み」が最多で3割、早期離職の低減に効果的なポイントは?

●離職リスクの早期把握手法は「評価時の面談」「エンゲージメントサーベイ」「1on1」など

●課題の多くが「効果の分かりづらさ」、効果検証に活用しやすい指標とは?

<<<調査データより一部抜粋してご紹介いたします>>>

▼若手人材の離職率に対する認識

大企業と中堅企業の4割で「若手人材の離職率が高い」と認識

まず、自社の若手人材の離職についてどのように認識しているかを確認したところ、「高い」は9%、「やや高い」が26%で、これらを合計した「高い/やや高い」(以下同じ)は35%と4割近くに上っている。一方、「低い」は14%、「やや低い」が13%で、これらを合計した「低い/やや低い」(以下同じ)は27%と3割近くとなっている。「高い/やや高い」と「低い/やや低い」の割合の差異は8ポイントで、若手人材の離職率が高いと感じる企業の方が多い状況となっている。


若手人材の離職率に対する認識

▼企業規模別 若手人材の離職率に対する課題感

若手人材の離職率に対する課題感、中堅企業で8割

若手人材の離職率に対する課題感については、企業規模別に見ると、「課題感がある」と「やや課題感がある」を合計した「課題感がある派」(以下同じ)の割合が大企業では63%、中堅企業では81%にも上っており、「課題感がある派」が顕著な多数派となっている。一方、中小企業では「課題感がある派」は46%と半数を下回っており、大・中堅企業よりは割合が低い。大企業や中堅企業は毎年新卒採用を行っており、採用数自体も中小企業より多いため、早期離職者の課題も浮き彫りになりやすいという実情もあるだろう。


企業規模別 若手人材の離職率に対する課題感

若手人材の離職率に対する課題感の内容

課題感がある企業において、課題の内容を見てみると、「次世代リーダー育成の停滞」が最多で71%、次いで「採用・教育コストの損失」が64%、「既存社員の負担の増加」が61%などとなっている。

「次世代リーダーの育成」については、人事戦略全体の最重要課題として挙げられることが多い中、その候補者として期待される若手人材の離職は、企業の将来にも関わる深刻な課題として受け止める企業も少なくないだろう。


若手人材の離職率に対する課題感の内容

▼若手人材の離職の要因となっている要素

若手人材の離職の要因に「待遇」が最多、上司や同僚等との人間関係

若手人材の離職の要因となっている要素として多く挙がっているものを見ると、「待遇(給与・福利厚生)」が最多で41%、次いで「上司との人間関係」が31%、「業務内容のミスマッチ」が29%などとなっている。

待遇については会社の体力による部分が大きいため改善に限界があるが、職場の人間関係や職務のミスマッチなど職場環境に関する要素は、優先順位を付けながら改善を図ることが比較的可能といえる。まずは、若手人材が何を求めて何に不満を抱えているのかを可視化して適切に把握することで、離職防止に向けた優先課題をあぶり出す必要があるだろう。


若手人材の離職の要因となっている要素

▼若手人材の離職防止を意識して実施している取組み

離職の要因として上司や同僚との人間関係が上位に挙がる中、若手人材の離職防止策として最も多く挙がるのは「社内コミュニケーションの活性化」で46%と半数近くに上っている。これに次いで、「待遇改善」が34%、「職場環境の向上」が32%などとなっている。この他、育成制度や評価制度の強化・見直しや、上司と部下の対話機会にもなる「1on1の実施」などが上位に挙がっている。


若手人材の離職防止を意識して実施している取組み

▼若手人材の「成長実感」「貢献実感」「成長予測」の取組みに関する自由意見


若手人材の「成長実感」に関する取組みの内容(一部抜粋)

若手人材の「貢献実感」に関する取組みの内容(一部抜粋)

若手人材の「成長予測」に関する取組みの内容(一部抜粋)
  • 【HR総研 客員研究員からの分析コメント】


曽和 利光氏
待遇要望の最低限を満たさず動機付けしても「やりがい搾取」になる可能性

曽和 利光氏
株式会社人材研究所 代表取締役社長 /日本採用力検定協会理事 /日本ビジネス心理学会理事 /情報経営イノベーション専門職大学 客員教授/HR総研 客員研究員

2023年10月に厚生労働省から発表された最新の「新規学卒就職者の離職状況」によると、就職後3年以内の離職率は新規大卒就職者で32.3%と前年度比では0.8ポイント上昇している。ただ、この30年間において、35%を超える年も5年ほどあり、特に直近で大きく増加しているわけではない。

それなのに、4割前後の大企業・中堅企業が「若手人材の離職率が高い」と感じ、6割の大企業、8割の中堅企業が「課題感がある派」であるのはなぜか。課題感の中身については、「次世代リーダー育成の停滞」が7割超でトップであることから考えると、離職者の率はそれほど変わらずとも、将来を嘱望している優秀な人材が離職しているのかもしれない。

離職理由は本調査では「4割」の企業が待遇(給与・福利厚生)としているが、これを裏付ける調査もある。マイナビ「大学生意識調査」の最新版を見ると「企業選択のポイント」は「安定している」がダントツのトップで48.8%、そして2位「自分のやりたい仕事(職種)ができる」(30.5%)に続き、3位「給料の良い会社」(21.4%)が追い上げている。「安定」や「給与」は20年前には低位だったが、近年右肩上がりに増えている。

ところが、対策としては、「待遇改善」は34%の企業しかしておらず、「社内コミュニケーションの活性化」(46%が実施)、「職場環境の向上」(32%)、「1on1の実施」(28%)など、待遇以外の手法でなんとかつなぎとめようとしているという、企業側の苦しい事情が透けて見える。有名なハーズバーグの2要因理論で言えば、「衛生要因」(ないと不満)である待遇が満たされていないのに、「動機付け要因」(あると意欲)、すなわち「やりがい」でなんとかしようということか。

しかし、基本的な待遇面での不足を感じているのに、仕事の意欲だけを高めても離職率は減らないのではないか。まずは若手人材が求める最低限の待遇を整えた上で、動機付けをするのでなければ、結局は「やりがい搾取」と揶揄されるように、「やりがいを利用して自分は損をさせられている」となり、離職は止まらないのではないだろうか。そのために経営者は生産性を高めて高待遇ができる状況を作ることこそが肝要なのではないだろうか。

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▶【HR総研】「若手人材離職防止」に関する調査レポート
https://www.hrpro.co.jp/bc.php?id=65425


▶過去のHR総研のレポート一覧はこちら
https://www.hrpro.co.jp/bc.php?id=52994

▶HR総研の各調査のマンスリーレポートなどホワイトペーパーはこちら
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■お問い合わせ先
HR総研(ProFuture株式会社内)
担当 : HR総研 久木田・高槻
E-mail: souken@hrpro.co.jp
HR総研サイト:https://www.hrpro.co.jp/hr_research_institute.php
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■会社概要
企業名 : ProFuture株式会社
代表者 : 代表取締役社長CEO 寺澤 康介
所在地 : 〒100-0014東京都千代田区永田町2-14-2 山王グランドビル5階
設立 : 2007年7月
事業内容 : 人事ポータルサイト『HRプロ』、CMS・MA一体型ツールSwitch Plus』、
人事担当者・経営者向けイベント『HRサミット』の開催などメディア事業、
イベント事業、ソリューション事業、人事関連の研究
URL : https://profuture.co.jp/
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