高いライティング能力を誇る「ChatGPT」。レポート作成のようなビジネス利用にも役立ちますが、「ChatGPTを使う際には、その特徴をよく知った上で使うことが必要」と、AI活用コーチとしても活躍する谷口恵子氏はいいます。谷口氏の著書『AI仕事革命 ‐ChatGPTで仕事を10倍効率化‐』(リチェンジ)より、ChatGPTを使用する際の注意点をみていきましょう。
レポート作成もChatGPTで
ChatGPTはライティングがとても得意なので、業務において報告書やレポートを書く機会が多い方はぜひChatGPTを活用しましょう。
例えば、自分が消費財メーカーのマーケティング部署にいると仮定して、自社のブランディング強化の重要性を伝えるレポートを上司や関連する部署のメンバー向けに作成する手伝いをChatGPTにしてもらいましょう。
【プロンプトの型】
あなたは論理的思考力、文章力、コミュニケーション力が非常に高いビジネスパーソンです。(1)以下の内容を満たす、一貫性のある、わかりやすいレポートを作成してください。文字数は1000文字程度(2)にして、小見出しも付けてください。(3)
・文書の読み手:上司、関連する部署のメンバー(4)
・文書の目的:消費財マーケットにおける自社のブランディング強化の重要性を伝える(5)
・以下の内容を含める(6)
①当社はマーケットを少しずつ拡大しており、国内で業界4位
②海外メーカーのプレゼンスが上がっており、施策を打つ必要がある
③ブランディング強化のための具体的な施策の例をあげる
④特にVRによる顧客接点を増やすことに挑戦したい
(1)このように役割を設定して、ChatGPTになりきってもらうことで、質の高い文章を書いてくれる可能性が高まります。
(2)文字数の目安があれば書いておきましょう。厳密に守ってくれるわけではありませんが、目安になります。
(3)小見出しを付けてほしい、段落分けをしてほしいなど、文章の形式に指定があれば書いておきましょう。
(4)文書の読み手が誰かを具体的に記載しましょう。
(5)文書の目的を具体的に記載しましょう。
(6)必ず含めたい内容を記載しましょう。ここの内容が薄いと、ChatGPTは誰でも書ける一般的な文章を出力します。③のように、具体的な中身が決まっていなくても入れたい内容があれば入れておきましょう。ChatGPTが内容を考えて書いてくれます。
【ChatGPTとの会話例】
(依頼)あなたは論理的思考力、文章力、コミュニケーション力が非常に高いビジネスパーソンです。以下の内容を満たす、一貫性のある、わかりやすいレポートを作成してください。文字数は1000文字程度にして、小見出しも付けてください。・文書の読み手:上司、関連する部署のメンバー
・文書の目的:消費財マーケットにおける自社のブランディング強化の重要性を伝える
・以下の内容を含める
①当社はマーケットを少しずつ拡大しており、国内で業界4位
②海外メーカーのプレゼンスが上がっており、施策を打つ必要がある
③ブランディング強化のための具体的な施策の例をあげる
④特にVRによる顧客接点を増やすことに挑戦したい
(ChatGPTの回答)消費財マーケットにおける自社のブランディング強化の重要性について
1.はじめに
このレポートは、消費財マーケットにおける自社のブランディング強化の重要性について伝えることを目的としています。現在、当社は市場を少しずつ拡大し、国内では業界4位の位置にあります。しかし、海外メーカーのプレゼンスが高まっており、我々は今、施策を打つ必要があります。
2.当社の現状と課題
現在、当社は市場において成長を遂げており、国内では業界4位となりました。しかし、近年では海外メーカーのプレゼンスが増し、競争が激化しています。このような状況下で、自社のブランディングを強化することは不可欠です。消費財市場においてブランドは差別化の重要な要素となり、消費者に対して継続的な魅力を提供する必要があります
3.ブランディング強化の必要性
(中略)
5.VRを活用した顧客接点の拡大への挑戦
特にVRを活用した顧客接点の拡大に挑戦したいと考えています。VRは顧客により没入感のある体験を提供することができ、ブランドとの関わりを深める効果が期待できます。
5.1仮想店舗の構築:VRを使用して仮想店舗を構築し、顧客に商品やサービスを体験させます。商品のデモンストレーションや試着、購入までのプロセスを仮想空間で提供することで、顧客の関与度を高めます。
5.2ブランド体験の提供:VRを活用して、ブランドに関連する体験を提供します。例えば、ブランドの歴史や製品の製造過程を仮想的に体験できるコンテンツを作成し、顧客に提供することで、ブランドへの理解と共感を深めます。
(以下省略)
このようにChatGPTがレポートの形式にしてくれます。
さらにこのレポートに対して、「VRを活用した顧客接点の拡大を進める上での課題を提示してください」と追加のリクエストをすることもできます。
【ChatGPTとの会話例】
(依頼)VRを活用した顧客接点の拡大を進める上での課題を提示してください。
(ChatGPTの回答)【VRを活用した顧客接点の拡大における課題】
技術の進化と費用:VR技術は急速に進化していますが、最新のハードウェアやソフトウェアの導入には高額な投資が必要です。また、技術の追いつかない古いデバイスやシステムでは、顧客に快適な体験を提供することができません。
コンテンツの制作と品質管理:VRコンテンツの制作は独自のスキルや知識が必要であり、制作チームの組織化や専門知識の確保が必要です。また、顧客が没入感のある体験を得られるよう、コンテンツの品質管理やテストも重要です。
顧客への普及と教育:VR技術がまだ一般的ではないため、顧客に対してVR体験の普及と教育が必要です。一部の顧客はVRに慣れていないか、技術に抵抗を感じる場合もあります。そのため、顧客への啓蒙活動や使い方の簡易なガイドを提供することが求められます。
ユーザーエクスペリエンスの最適化:VR体験は顧客にとって直接的なインタラクションを提供するため、ユーザーエクスペリエンスの品質が重要です。快適な操作性、リアルな表現、没入感のある環境など、顧客が満足できる体験を実現するために、技術的な課題やデザインの改善が必要です。
データとプライバシーの管理:VRを活用する場合、顧客のデータの収集やプライバシーの保護についても注意が必要です。顧客の個人情報や体験データの適切な管理を行うことで、信頼性を確保し、プライバシーに関する懸念を払拭する必要があります。
革新的な競合他社への対応:VRを活用した顧客接点の拡大は競争の激しい市場で行われます。競合他社が革新的なVR技術やコンテンツを提供している場合、自社も効果的な差別化を図る必要があります。常に市場動向を把握し、競合他社との差異化を追求することが求められます。
これらの課題に対処するためには、適切なリソースの確保、技術の継続的なアップデート、顧客のフィードバックの収集など、綿密な計画と実行が必要です。
このように、まずChatGPTにレポートの骨子を書いてもらい、追加や修正を加えていって仕上げることで、自分の考えを反映しながら、非常に質の高い充実した内容のレポートにすることができます。
ChatGPTを使う際の注意点
ChatGPTを使う際には、その特徴をよく知った上で使うことが必要です。例えば、以下のような点に注意が必要です。
①入力したデータは学習に使われる
ChatGPTは大量の言語データを「学習」して、それを参考にして回答を生成しています。ChatGPTにユーザーが入力したデータは、今後ChatGPTの学習データとして使われる可能性がありますので、機密情報や個人情報は入力しないようにしましょう。気になる方は
Settings → Data Controls → Chat history & trainingの項目をオフにすることで、入力データを学習に使わせないようにすることができます。ただし、この場合には会話履歴が保存されません。
②事実に関しては間違えることも多い
ChatGPTは、あらゆる質問に答えてくれますが、事実に関するデータベースを持っているわけではありません。学習した大量の言語データをベースにして、一番確率的に繋がる可能性の高い言葉を出力しています。
そのため、ときには簡単な質問であっても、間違えることがあります。事実に関してはChatGPTの回答を鵜呑みにせず、他の情報から確認するようにしましょう。ただし、ChatGPTの有料版のWeb Browsing機能や、辞書的な機能を持つプラグインを併せて使うことで、回答の精度を上げることができます。
③最新情報には弱い
ChatGPTは基本的に2021年9月までの言語データを学習しているといわれています。そのため、それ以降の情報を聞いたときには「申し訳ありませんが、私の知識は2021年までの情報に限られています」のような回答が返ってきます。
ただし、有料版のWeb Browsing機能や、ウェブ検索を行うプラグインを併せて使うことで、最新のウェブサイトの情報を加味した出力結果が出てきます。
④生成された結果をそのまま使わないようにする
ChatGPTが学習したデータの中には、他者の著作権があるデータも含まれている可能性があります。それをもとに生成された結果が、誰かの著作物に似通ってしまう可能性は否定できません。それを利用したい場合には、誰かの著作物に似通っていないかどうかを必ず確認して使うようにしましょう。
以上のような注意点を知って使うことで、ChatGPTをビジネスで安全に活用することができます。
谷口 恵子
AI活用コミュニティ
代表
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