駅伝に高校の各種全国大会、サッカーラグビー、格闘技などなど年末年始を彩る恒例スポーツ。特に人気を誇るのが『箱根駅伝』である。7時間超という長時間の放送時間ながら、関東地区では毎年30%前後という驚異的な視聴率を叩き出しているのだ。100回目の記念となる今大会では駒澤大が2年連続大学駅伝三冠の偉業にチャレンジ。1月2日(火)・3日(水)に行われる『第100回東京箱根間往復大学駅伝競走』は駒澤×その他の構図に。それだけ、駒澤の力が抜きんでているのだ。

駒澤は10月の『第35回出雲全日本大学選抜駅伝競走』も、11月の『秩父宮賜杯 第55回全日本大学駅伝対校選手権大会』も、1区で先頭に立つと一度もトップを譲らず、完全優勝を飾った。『全日本駅伝』では2位青山学院に3分34秒もの大差を付けたのだった。主将の鈴木芽吹(4年)、篠原倖太朗(3年)、佐藤圭汰(2年)の3本柱は強烈。赤津勇進(4年)、赤星雄斗(4年)、安原太陽(4年)と実力者が揃い、山上り・山川拓馬(2年)、山下り・伊藤蒼唯(2年)と特殊区間の人材も揃う。

藤田敦史監督は「『出雲』『全日本』とずっと先頭で戦ってきて、『箱根』の往路は混戦になると言われているが、自分たちでそう仕向けている部分はある。『駒澤を逃がしたら、もう追い付けない』というのもあると思うので、そう見ていただけるのはありがたいし、そういうプレッシャーを跳ね除けた上で勝っていきたい」とキッパリ。

さらに「2年連続三冠という目標が選手の中から自然と出てきたところがある。昨年の最強チームに対しての挑戦というテーマを掲げて今のチームは挑んでいるので、昨年と同じように優勝を目指して取り組んでいる」と選手たちに育まれた自覚と覚悟に目を細めた。

駒澤を追う一番手と目される青山学院・原晋監督も駒澤の強さに脱帽した。
「今の駒澤は100回の歴史を誇る『箱根駅伝』史上で最強軍団だと思う。速さと強さ、両方ある。速さは27分台のランナーが3人いる。強さは昨年からの区間上位ですべての選手が走れている。さらに山は昨年上りも下りも1年を起用してバッチリ。隙はない。そうは言っても同じ学生が戦うスポーツ。30秒以内にレースを進めていきたい。ポジティブには1分前でレースを進めるのが優勝するために必要ではないかと思う。青山学院だけではなく、中央、國學院、順天堂、それこそ早稲田、創価、城西、色んなチームが束になって駒澤にかかっていきたい」

もちろん、負ける気はさらさらない。
「今年は各世代にエース級のランナーがいる。4年生の佐藤(一世)、3年生の太田(蒼生)、2年生の黒田(朝日)。キーマンはこの3人、プラス箱根は山上り、山下りだと思っている。データ的にも何とか対抗できるのではという思いはある」

前回2位、『出雲駅伝』7位、『全日本駅伝』4位の中央は大砲・吉居大和(4年)を筆頭に中野翔太(4年)や主将・湯浅仁(4年)、溜池一太(2年)、吉居駿恭(2年)、吉中祐太(2年)など好ランナーを並べる。『箱根』4位、『出雲』4位、『全日本』3位の國學院、『箱根』8位、『出雲』2位、『全日本』6位の創価、『箱根』9位、『出雲』3位、『全日本』5位の城西も上位を窺う。

もうひとつの駅伝、1月1日(月・祝)にスタートする『第68回全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)』は新たな区間割となる。従来の2区(8.3km)と3区(13.6km)を合算して21.9kmの新2区となり、22.4kmだった従来の4区を分割して新しい中継所が設置されて15.8kmの新3区、7.8kmの新4区に。これまで2区だった外国人選手を起用できるインターナショナル区間は新4区に変更となった。7区間100kmにわたる戦いは3連覇を目指すHonda、タレント揃いの富士通トヨタ自動車の三つ巴の様相を呈している。さらに戦力を整えた旭化成GMOインターネットグループも虎視眈々。

上田綺世(フェイエノールト) (C)スエイシナオヨシ

元日と言えば、サッカーである。2024年は元日・国立競技場サッカーが帰って来る。『天皇杯』決勝ではなく、史上初の代表戦がキックオフを迎えるのだ。SAMURAI BLUEが『TOYO TIRES CUP 2024』でタイ代表と対峙。1月14日(日)に初戦となる『AFC アジアカップ カタール 2023』に向けて蹴り始めを行う。

11月にスタートした『FIFA ワールドカップ 2026』アジア2次予選は直前に三笘薫が離脱するアクシデントに見舞われたものの、日本代表は慌てず騒がず。ミャンマーを相手に5-0で白星発進すると、サウジアラビアでのシリア戦も危なげなく5-0。上田綺世が合計5ゴールの大爆発を披露した。

充実の2023年を過ごした森保一監督は、勝負の2024年へ向けて、このように意気込みを語った。
「今回の『TOYO TIRES CUP 2024』でも勝利を目指しつつ、チームの戦術、個の経験値を上げるチャレンジをしたいと思う。勝って、選手たちのがんばりを見てもらい、一年のいいスタートになったと思ってもらえるような試合をできればと思っている。この元日の試合が『アジアカップ』、『W杯』2次予選、そして本大会につながる貴重な試合だと思うので、大事に戦いたい」

(写真左より)シャノン・フリゼル(東芝ブレイブルーパス東京)、リッチー・モウンガ(同) (C)JRLO

ラグビーやバスケットボール、バレーボールはリーグ戦真っ只中である。『ラグビーワールドカップ2023』に出場した各国の代表選手がズラリと揃う『NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24』も、『FIBA バスケットボール ワールドカップ 2023』の熱を持続した『2023-24 B1リーグ』も、16年ぶりに自力でオリンピックの出場権を獲得した日本代表の勢いを経た『2023-24 V.LEAGUE DIVISION1 MEN』も、例年以上の盛り上がりを見せている。

『B1リーグ』は大晦日に7試合、元日にも沖縄アリーナで琉球ゴールデンキングス×仙台89ERSがラインナップ。『V1男子』は12月30日(土)に年内最後の試合が組まれ、1月5日(金)に新年初年を迎える。『V1女子』も1月6日(土)・7日(日)にV・レギュラーラウンドが組まれ、サッカーも女子の『2023-24 WEリーグ』第7節は12月30日(土)・1月6日(土)・7日(日)・8日(月・祝)に分散されている。

NTTリーグワン2023-24』第4節では1月6日(土)に埼玉ワイルドナイツ×トヨタヴェルブリッツ、東京サンゴリアス×コベルコ神戸スティーラーズ、7日(日)に東芝ブレイブルーパス東京×クボタスピアーズ船橋・東京ベイなど好カードが並ぶ。中でもBL東京×S東京ベイは今季を占う試金石と言えよう。ニュージーランド代表FLシャノン・フリゼルとSOリッチー・モウンガが加入し、アタックにぐっと厚みが増したBL東京の快進撃が続くのか、すでに2敗を喫して後がなくなってきた王者・S東京ベイが巻き返すのか。

山口泰輝(帝京大) (C)JRFU

一方、大学ラグビーは佳境を迎える。『第60回全国大学ラグビーフットボール選手権大会』も残すは国立競技場での3試合のみ。1月2日(火)の準決勝・帝京大×天理大、京都産業大×明治大を経て、13日(土)・決勝となる。3連覇へ突き進む帝京に天理がどこまで食らい付くのか。準決勝で早稲田に完勝した京産大と『関東大学対抗戦A』2位・明治のどちらが決勝に勝ち残るのか。残り3つの興味は尽きない。

年末年始は高校生による戦いも熱い。『SoftBank ウインターカップ2023(第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会)』は12月29日(金)に決勝戦を実施。12月28日(木)~1月8日(月・祝)の『第102回全国高校サッカー選手権大会』は絶対的な本命なしと言われる中、青森山田(青森県)、尚志(福島県)、明秀日立(茨城県)、市立船橋(千葉)、静岡学園(静岡県)、大津(熊本)、神村学園(鹿児島県)など有力校がひしめく。12月27日(水)~1月7日(日)『第103回全国高校ラグビー大会』では『第24回全国選抜大会』優勝の桐蔭学園、前年覇者・東福岡、夏の7人制を制した佐賀工が中心となって覇権を争うことになるだろう。

1月4日(木)~8日(月・祝)・東京体育館で開催される『第76回全日本バレーボール高等学校選手権大会』では男子は駿台学園(東京)が連覇、女子は下北沢成徳(東京)が三冠達成へ突き進む。男子・高川学園(山口)、洛南(京都)、女子・金蘭会(大阪)、就実(岡山)は覇権阻止を誓う。

年末年始はリングの戦いも熱い。大晦日恒例行事と言えるボクシングの井岡一翔。12月31日(日)・大田区総合体育館でWBA世界スーパーフライ級王者の井岡が同級8位ジョスベル・ぺレスを迎え撃つ。果たして、6年連続12度目となる大晦日のリングで勝利を飾り、WBC世界スーパーフライ級王者フアンフランシスコ・エストラーダとの統一戦へつなぐことができるのか。

また同日はさいたまスーパーアリーナではこちらもすっかり風物詩となった『RIZIN.45』が開催。フライ級タイトルマッチ・堀口恭司×神龍誠、バンタム級タイトルマッチ・フアンアーチュレッタ×朝倉海、クレベル・コイケ×斎藤裕など好カードがズラリ。

プロレスリング・ノア1月2日(火)・有明アリーナではスペシャルシングルマッチ・丸藤正道×飯伏幸太、GHCヘビー級選手権試合・拳王×征矢学がゴング新日本プロレス恒例の東京ドーム大会“イッテンヨン”ではIWGP世界ヘビー級選手権試合・SANADA×内藤哲也、スペシャルシングルマッチ・オカダ・カズチカ×ブライアン・ダニエルソン、IWGPジュニアヘビー級選手権試合・高橋ヒロム×エル・デスペラードが実現する。

駅伝に高校生の各種全国大会、サッカー代表戦にリーグワン、BリーグVリーグボクシングプロレスとイベントが盛りだくさんの年末年始スポーツ。高めの気温が予想される年末年始を恒例スポーツがより熱くする。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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佐藤圭汰(駒澤大学)