2013年に設立されたFarmerlineは、ガーナを中心にアフリカの農家に先進的な農業関連サービスを提供するアグリテック企業。2023年の世界経済フォーラムで「テクノロジーパイオニアとなるスタートアップ」のひとつに選ばれた。

農家に持続可能な利益を

Farmerlineは、農業の企業、食品メーカー、NGO、政府などと組んで、各地の農家に持続可能な利益をもたらすための取り組みを行っている。

自ら「アフリカの農家にとってのアマゾン」として、生産者たちに、質の高い資材、教育トレーニング、融資などの金融サービス。さらには天気予報、市場情報の配信コンテンツに至るまで、農業に必要なもの全てを提供する。

代表的なサービスが「Mergdata」と呼ばれるプラットフォームだ。クラウドベースのウェブおよびモバイルのソフトウェアで農家、農場、農業コミュニティなどからのデータを収集分析し、発展途上地域の農家の作物生産向上を促すソリューションを提案する。現在は33カ国130以上の企業や開発パートナーを支援し、すでに100万人以上の農家が利用者だ。

これらの技術によりアフリカの零細農家が革新的な新農法を段階的に学び、世界市場にアクセスできる環境が整いつつある。またアフリカ各国の現地語による教育ツールなどは、言語の壁や識字率向上などの障壁を取り除く役割も果たしている。

テクノロジーで途上国の農業が変貌

FarmerlineのCEOであるAlloysius Attah氏は、大学時代にアグリテックによる起業を発案。2013年に600ドルの資金を元に「質の高い投入資材、公正な信用、継続的なトレーニング、市場へのアクセスなど永続的な富を生み出すためのツールテクノロジーによって農家に提供する」という使命を掲げ事業を開始した。

数十年前、ガーナの農業は古くからの技術に頼り、全て手作業で行っていた。技術の進歩がなかったため、効率性と生産性が阻害され、加えて予測不可能な天候は農家を常に悩ませていた。

Farmerline登場後のガーナ農業の変貌ぶりは目を見張るものがある。革新的な農業技術、持続可能な慣行、テクノロジー・ソリューションが状況を一変させ、人々は現在より賢い意思決定のためにテクノロジーを受け入れ活用している。

また輪作、総合的病害虫管理、有機農法といった持続可能な農法を取り入れ、収穫量を向上させるだけでなく、生態系を保護し次世代の農業の未来を守る試みも始まっている。

彼らの事業はガーナのみならず、隣国のコモロコートジボワールなどにも拡大しつつある。西アフリカには、何千万軒という零細農家が存在しておりFarmerlineは「2050年までに現在の生産を倍増することでアフリカ地域の食料自給率を高めること」と「将来のために食料を増やし、地域社会のために永続的な富を築くこと」をヴィジョンに掲げている。

参考・引用元:
Farmerline 公式サイト
Farmerline ニュース

(文・DDC101)