昌一金属(株)(大阪市港区)は12月27日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。
 申請代理人は髙木大地弁護士(弁護士法人関西法律特許事務所、同市中央区北浜2-5-23)ほか7名。
 監督委員には宮本圭子弁護士(弁護士法人第一法律事務所、同市北区中之島2-2-7)が選任された。
 負債総額は約40億円。

 1947年5月に創業した架線金物および同付属物の製造業者。電力会社向けの指定製品の製造に強みを持ち、大手電力会社などに販路を築いていた。1984年1月には大阪市港区に福崎工場を開設したほか、1992年には子会社の九州昌一金属(株)(福岡県大刀洗町)を設立するなど業容を拡大し、1994年9月期にはピークとなる売上高49億1981万円を計上した。
 その後は電柱関連のインフラ整備の一巡とともに売上規模が縮小したため、2009年9月期には分散していた生産拠点を堺市に新設した工場に集約。競争力を高めるため、各工程における出戻・配送経費負担を圧縮するとともに、実質的な内製率の向上を図っていた。

 しかし、2011年9月期中に発生した東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、電力会社の設備投資が失速し、業況が悪化。減収基調での推移が続き、採算面も苦戦を強いられてきた。

 こうしたなか、一部決算書を粉飾するなどして事業を維持していたが、近時の原材料価格高騰などもあり資金繰りが逼迫。2023年12月には金融機関に借入金返済のリスケジュールを要請したが、粉飾決算が露呈して信用が失墜し、民事再生法により再建を図ることとなった。

※昌一金属(株)(TSR企業コード:570087724、法人番号:1120001029810、大阪市港区市岡4-1-5、設立1955(昭和30)年10月、資本金2700万円)
※九州昌一金属(株)(TSR企業コード:872271854、法人番号:7290001050570、福岡県大刀洗町)