アウトドアテイストを加えるとあら不思議! いまSUVルックの派生車がバカ売れしていた

この記事をまとめると

SUVブームに乗ってクロスオーバー&SUVへ転身して人気モデルになった例が少なくない

■クロスオーバー&SUV化によって人気を得た国産車・輸入車を紹介

■ボディタイプを一新しクロスオーバー&SUVテイストで登場する例がしばらくは続きそうだ

SUV化が大当たりしたモデルが増えている

 いまや、空前のクロスオーバー&SUVブームだ。国産、輸入車を含め、新型車はクロスオーバー&SUVだらけ。あのクラウン、そして欧州の超高級ブランドでさえ、クロスオーバー&SUVモデルを登場させている。

 そんななか、それまでとは違うクロスオーバー&SUVにキャラ変した新型を登場させ、一躍大人気モデルになった例も少なくない。

 まずは、TVCMの「デリ丸。」くんでも注目され、2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤーのデザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞した三菱デリカミニだ。ご存じかも知れないが、デリカミニは完全な新型車ではなく、日産ルークスと兄弟車の三菱ekクロススペースをベースに「デリカ化」されたクロスオーバーモデル。

ブームに乗ってクロスオーバー化したのが大当たり

 4WDは最低地上高やタイヤも特別で、ちょっとした悪路をもろともしない、デリカの名に相応しい走破性まで備えた、三菱でしかできないキャラクターの持ち主であり、空前のヒットの要因(デリ丸。くんの力もある!?)にもなっている。もし、ekクロススペースのまま存続していたとしたらどうなっていただろうか……。

 トヨタコンパクトカーであるヴィッツの後継車となるヤリスはそもそも人気車種だが、そのヤリスをクロスオーバーモデル化したのが、2020年7ー8月期に乗用車販売台数No.1の座をライズから奪ったコンパクトカーヤリスクロスだ。

ブームに乗ってクロスオーバー化したのが大当たり

 ヤリスパワーユニットCVT、ホイールベースなどを共用するものの、リヤオーバーハングを延長し、アウトドアライフなどで不可欠な大きな荷物を積載可能とする大容量かつ使い勝手のいい荷室を実現。さらに、最低地上高170mmとともに、けっこう本格的な4WD機能さえ備えているのである。

 ヤリスの販売台数にはヤリスクロスも含まれるため、ヤリス単体の魅力に加え、ヤリスクロスの登場による躍進があるからこそ、ヤリスは常に上位の販売台数を誇るというわけだ。

 同じくトヨタのコンパクトミニバン、シエンタもいまでは超人気車種だ。とはいえ、新鮮だった初代はともかく、2代目の初期型はそれほど人気ではなかった。スニーカーをモチーフにしたデザインはなかなかだったが、都会を泳ぐ熱帯魚のような派手なカラーリングが足を引っ張り、モデル途中で大人しいボディカラーに変更したほど。

 そんなシエンタが一気に息を吹き返したのが、2022年に登場した3代目。ホンダ・フリードのクロスオーバーモデルのクロスター人気に触発されたのかどうかはわからないが、エクステリアデザインは、この新型で一転。ギア感あるクロスオーバーテイストに変身したのである。

ブームに乗ってクロスオーバー化したのが大当たり

 ボディカラーにしても、落ち着き感ある9色とし、ぶつけやすい前後フェンダー部分とボディサイドに黒い未塗装のプロテクションモールを配することでクロスオーバー感を強調するとともに、万一、そこをぶつけてしまっても、パーツ交換だけで済むメリットも生まれている。まさに、時代にあった3代目のフルモデルチェンジと言えたのだ。

 もっとも、インテリアにクロスオーバー&SUV感はなし。コンパクトモデルとは思えない洗練された上質さで勝負している。

追加グレードのSUVテイストなモデルが主役に躍り出る勢い

 フルモデルチェンジではなく、クロスオーバー&SUVテイストのグレード追加で成功した例が、ホンダのフィットとフリードだ。現行モデルの4代目フィットは、大人しすぎるエクステリアデザインから、たとえばヤリスやノートと比べ、見た目の商品性から、先代以前にあった勢いを失っている。

 しかし、筆者の個人的印象では、クロスターこそもっともカッコいい、商品力あるフィット、フリードだと思っている。極論すれば、クロスターをフィットの主役に据えれば、もっと売れているんじゃないか……ということだ。

ブームに乗ってクロスオーバー化したのが大当たり

 そうそう、軽自動車の世界でも、クロスオーバー&SUVテイストあるグレード追加が販売台数の押し上げにつながっている。

 たとえばスズキ・スペーシア。いまでは、見かけるスペーシアの多くがスペーシア・ギアと呼ばれるクロスオーバーグレード(と軽商用車のスペーシア ベース)。デリカミニ4WDのような本格的な走破性を備えているわけではないのだが、そのクロスオーバー感あるエクステリアデザインが、いまの時代によりマッチしているのだろう。

ブームに乗ってクロスオーバー化したのが大当たり

 輸入車も、フルモデルチェンジでクロスオーバー&SUV化し、その人気を高めているモデルが数多い。たとえばフランス車。シトロエンC3にしても、3代目のエクステリアはいきなりクロスオーバーテイストになって注目度を高めているし、プジョー5008は初代のワゴンタイプから、2代目の現行モデルではSUVスタイルに大変身。欧州ではもちろん、日本におけるプジョー人気に拍車をかけたモデルとなっている。

ブームに乗ってクロスオーバー化したのが大当たり

 2020年にはCROSSCITYという悪路走破性を高めた特別仕様車も発売されるなど、駆動方式はFFながら、都会からアウトドアフィールドまでが似合う1台として、プジョーブームをけん引している。

 フルモデルチェンジというより、グレード追加で車種全体の人気を高めた1台が、MINIクロスオーバーだ。本家のMINI、MINIクーパーの過去から現在に至る人気もさることながら、MINIの存在感を世界的にさらに高めたのがクロスオーバーモデルであり、MMINI全体に占める販売台数の割合は、いまや全世界で約30%、日本でも約25%を占めるほど。

ブームに乗ってクロスオーバー化したのが大当たり

 というわけで、クラウン・クロスオーバーやルノー・エスパス(以前はミニバン、新型は3列シートSUVに大変身)の例に漏れず、今後出てくる新型車が、それまでのボディタイプを一新し、クロスオーバー&SUVテイストで登場する例が、しばらくは続くかも知れない。

 アルファードにやられっぱなしの日エルグランドも、ジャパンモビリティショー2023に展示していたコンセプトモデルのハイパーアラーではなく、アルファードかぶらないハイパークロスオーバー3列シート×e-POWER×e-4ORCEモデルとして次期型を企画したらどうだろう。三菱デリカD:5が独壇場のジャンルに切り込めるし、一躍、エルグランド史上最大のヒット作になるかも知れない……。

ブームに乗ってクロスオーバー化したのが大当たり

ブームに乗ってクロスオーバー化したのが大当たり

アウトドアテイストを加えるとあら不思議! いまSUVルックの派生車がバカ売れしていた