最悪の未来を変えるため、タイムリープで過去を何度もやり直す主人公たちの奮闘を描いた、和久井健による漫画『東京卍リベンジャーズ』。累計発行部数7,000万部を突破し、アニメや実写映画、舞台、ミュージカル等としても作品化され大ヒットを記録中の通称「東リベ」の大規模展覧会『東京卍リベンジャーズ 描き下ろし新体験展 最後の世界線』が、2024年2月4日(日) まで、東京シティービュー(六本木ヒルズ森タワー52階)にて開催されている。

描き下ろしビジュアルに描かれた主人公、花垣武道と、マイキー(佐野万次郎)の実物衣装。背景の東京タワーエモい演出に (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会

週刊少年マガジン」(講談社)にて連載され、2022年11月発売の278話で最終回を迎えた「東リベ」。多くの謎を多く残しながら最終章を迎えたことから、ファンの間では「番外編があるのでは?」と囁かれていた。そんな本編で描かれなかった主人公たちの物語を、描き下ろしの未発表原画、映像と音声ドラマ、3Dフィギュアなどを通して、多角的に体感出来るのが今回の大規模展覧会となる。

あの名場面を原作そのままの世界観で立体化

エントランスに足を踏み入れると、本展のために描き下ろされた新ビジュアルによる主要キャラクター11体の等身大パネルが観客を出迎える (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会

会場に足を踏み入れると、真紅のバックドロップ(布製の垂れ幕)で彩られた窓面をバックに、描き下ろしビジュアルによる主要キャラクター11体の等身大パネルが観客を出迎える。その左手奥には主人公、花垣武道と、マイキー(佐野万次郎)の実物衣装が、六本木の景色をバックに展示されている。未来を救うために過去を変えた武道とマイキーの間に「東京タワー」がそびえ立つ光景は、ファンにはたまらなく感動的に映るだろう。

展示物には原作の一コマを使ったファン垂涎の注意書きパネルが (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会

ちなみに、通常の展覧会と同様、本展の展示物には「触らないでください」の注意書きが掲示されているのだが、原作の一コマの吹き出しを書き換えた注意書きになっており、原作ファンに対するキュレーターのサービス精神が嗅ぎ取れる。また、本展ではチケット申し込みの際、アニメ版で各キャラクターを担当した声優勢が案内をする「音声ガイド付きチケット」が選択出来る。「?」のマークがついた場所では、シークレットゲストの音声も楽しめる仕様だ。

「不良辞典」の異名を持つキャラクター、山岸一司による最後の戦い『卍天黒大決戦』の組織図「黒板人物相関図」。ファン垂涎のフォトスポットの一つだ (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会

そんな本展は、原作40話に描かれた「黒板」のシーンを彷彿させる展示……最後の戦い『卍天黒大決戦』の組織図「黒板人物相関図」のように、観客が原作の世界を追体感出来る演出も大きな魅力となっている。特に圧巻なのが、何度も殴られボロボロの武道が拳を突き上げマイキーに合図をする「天竺編」(原作では「関東事変」)の名場面が、等身大3Dフィギュアとして展示されたスペース。武道とマイキーの3Dフィギュアには、漫画をそのまま立体化したかのようなモノトーンの二次元彩色が施され、観客は原画の中に足を踏み入れたような感覚を味わうことが出来る。マイキー像の背後には、原作と同じ構図で撮影できる位置を知らせる足跡マークもあり、スマホの充電量には余裕を持って挑んでほしい。

武道(左)とマイキー(右)の等身大3Dフィギュア。漫画をそのまま立体化したかのようなモノトーンの二次元彩色も圧巻 (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会
マイキー像の背後、足元の「足跡」マークから撮影すると、原画と同じ構図で撮影出来る (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会
3Dフィギュア展示の注意書き。右の原画と同じ構図で撮影出来る (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会

アナログ原画の熱と美しさ、迫力の3面大スクリーンで体感する「卍天黒大シアター」

原画展示エリア (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会
アナログ原画には、和久井健先生の指示が書かれたポストイットが貼られたものも (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会

原画展示スペースでは、手に汗握る場面や号泣必至の名場面の原画の数々がズラリと並ぶ。デジタル入稿の漫画家が多い中、「少年マガジン」特製の漫画原稿用紙にペンとホワイト、トーン紙で描かれた和久井健先生のアナログ原画は、まるで絵画のような迫力だ。和久井先生の修正指示が書かれたポストイットが貼られた原画もあり、作業現場の熱を感じることが出来る。

編集部からの制作エピソードも (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会

原画のエリアの合間には、なんと、「ご自由にお触りください」という太っ腹な展示スペースも設置されている。メインキャラクターのドラケン(龍宮寺堅)の「腹筋」と、マイキーが幼い頃から握りしめて寝ているというマイキーの命「タオルケット」に併設された、「ご自由にお触りください」のお茶目な注意書きパネルも見逃し厳禁だ。

東卍の副総長、ドラケン(龍宮寺堅)の腹筋。原作23話で負った傷の跡もお触り自由! (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会
マイキーの命「使い古しのタオルケット」もお触り自由 (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会
六本木の光景をバックに展示された、六本木のカリスマ「灰谷兄弟」の等身大パネル。最後の世界線で「クラブ」を経営している2人のパネルは夜景をバックに撮影するのもおすすめ! (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会

また、本展における目玉のひとつが、アニメと連動した「東リベ」ならではのメディアミックスな展示が、3面の大スクリーンで堪能する『卍天黒シアター』だ。本編で描かれなかった最後の戦い「卍天黒大決戦」に至るまでのドラマが、原作を元にした映像と音楽、アニメ版でタケミチとマイキーの声を担当する声優、新祐樹と林勇による録り下ろしボイスで体感出来るスペシャルな空間になっている。

本編で描かれなかった最後の戦い「卍天黒大決戦」に至るまでのドラマを、3Dスクリーンで体感出来る3面の大スクリーン『卍天黒シアター』 (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会

未発表原画と音声ドラマで体感する
本編で描かれなかった「最後の世界線」

そして本展最大の見どころが、本編で描かれなかった「最後の世界線」を体感できるエリアだ。和久井健先生による未発表原画、アニメ版で各キャラクターを担当する声優たちによるエモーショナルな音声ドラマなどを通して、最後の世界線に至るまでのキャラクターたちの物語を多角的に展開されていく。ハッピーエンドとなった最終回の謎が視覚と聴覚を通して体感出来るという、まさに新体験な空間だ。

「卍天黒大決戦」の決戦シーンの巨大立体パネル (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会

本展最後のエリアに進むと、「最後の世界線」における「東京卍會」の主要メンバーの名前が記されたバックドロップが窓面一面に展示された空間が広がる。未公開原画を立体化した巨大パネル、最後の場面を描く和久井健先生の作業映像などの他、全31巻の単行本表紙の等身大アクリルジオラマも日替わりで展示されており、顔ハメならぬ表紙への飛び入り撮影が出来るのが楽しい。

前期・後期で一部展示内容が変更
特設ショップにはユニークな架空ポスターも

展示スペースを出ると、特設ショップ「マイキーマート」で「公式図録 Gold」などの原画グッズが購入出来る。ショップの内外には「マイキーマート 六本木ヒルズ店」の架空の求人広告やチケット告知、ATMパネルが設置されており、二次創作級のシャレの効いた演出も見逃せない。

バイクレーサーになったマイキーのレースと、YouTuberになった明司兄妹のイベントの架空の告知ポスター (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会
マイキーマート 六本木店」の架空の求人ポスター。時給に秘密が! (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会
金儲けの天才、九井一のATM風パネル (C)和久井健・講談社/東京リベンジャーズ展製作委員会

なお、本展は展示される原画や音声ガイドなど、2024年1月4日(木) までの前期と、後期の2024年1月5日(金)~2月4日(日) で一部展示内容が入れ替わる。また、公式グッズショップでは後期から新たに販売されるグッズも追加される。
展示物の背景を彩る昼間の六本木の光景も壮観だが、六本木の夜景をバックに見るキャラクターたちの等身大パネルも見応え満点。前期と後期、昼夜の時間帯を変えてリピート観覧するのもおすすめだ。

取材・文・撮影:早川加奈子

<開催概要>
東京卍リベンジャーズ 描き下ろし新体験展 最後の世界線

会期:2023年11月27日(月) ~ 2024年2月4日(日)
前期2023年11月27日(月) ~ 2024年1月4日(木)
後期2024年1月5日(金) ~ 2024年2月4日(日)
※前期と後期で一部展示内容が入れ替わります。
会場:東京シティビュー
時間:10:00~22:00 (最終入館21:00)
休館日:会期中無休

料金;一般2,200円(日時指定事前販売チケット)ほか

公式サイト:
https://tokyorevengers-ex.com/

※2024年3月1日(金)~6月30日(日) の期間、大阪展の開催も決定。

エントランス右の壁面に展示された『東京卍リベンジャーズ 描き下ろし新体験展 最後の世界線』ビジュアルの巨大フラッグ