『グリーン・インフェルノ』『ノックノック』などホラー・スリラー映画の旗手となったイーライ・ロス監督の最新作『サンクスギビング』が公開になる。本作は、ロス監督がついにホラーの王道“マスクをかぶった殺人鬼”を描いた作品だ。

映画の登場以来、スクリーンでは様々な恐怖表現が試されてきた。不気味なモンスター、部屋の隅でじっと立っている霊、物陰から突然襲ってくる悪役……中でも最も恐ろしいのは“正体の分からない敵”ではないだろうか。そこで多用されるのが“マスク”だ。覆面をかぶった相手は年齢や性別が分からないだけでなく、表情も変化しない。自分を襲ってくる相手が何者なのか分からない。表情が読み取れないので相手が何を考えているのかも分からない。こんなに恐ろしいことがあるだろうか。

映画の登場以来、顔の一部、または全体を隠した恐ろしい存在は次々に登場したが、その決定打になったのは1974年製作の名作『悪魔のいけにえ』だろう。テキサスにある屋敷で暮らす謎の覆面男レザーフェイスが男女を次々に襲うさまを容赦なく描いた本作の恐怖と得体の知れなさは観客に衝撃を与えた。続いて1978年には巨匠ジョン・カーペンター監督の『ハロウィン』が登場。白いマスクをかぶったマイケル・マイヤーズは多くの映画ファンから人気を集めた。

その後も『13日の金曜日』シリーズでは麻袋やホッケーマスクをかぶった殺人鬼ジェイソンが、『スクリーム』シリーズではハロウィンマスクをかぶった殺人鬼ゴーストフェイスが登場。近年はマスクが“正体を隠すためのアイテム”になるだけでなく、ジェイソンホッケーマスクのように“キャラクターのアイコン”として機能することも増えている。殺人鬼とマスクの相性は抜群。マスクをかぶった殺人鬼は、ホラー映画の“王道”になった。

サンクスギビング』を監督したイーライ・ロス

そして、イーライ・ロス監督がついに最新作『サンクスギビング』でマスクをかぶった殺人鬼を描く。本作は、2007年製作の『グラインドハウス』に登場したフェイク予告編を長編映画化した作品で、“感謝祭(サンクスギビング)”発祥の地とされる米マサチューセッツ州プリマスを舞台に、清教徒の指導者“ジョン・カーヴァー”のお面をかぶった謎の殺人鬼が次々と街の人を襲い、想像を絶する方法で“調理”していく様が描かれる。

その手法はどれもショッキングで、観客の想像・予想を軽く超えるものばかり。“マスクをかぶった殺人鬼”が登場する名作ホラーのリストに本作も加わることになりそうだ。

サンクスギビング』海外ポスター

<作品情報>
サンクスギビング

12月29日(金) 公開

『サンクスギビング』