鮮烈な人体損壊描写が満載のショッキングな作品を世に送りだしてきた現代ホラー界の残虐帝王、イーライ・ロス。彼の監督最新作となる『サンクスギビング』が、12月29日(金)より公開される。これまでも記憶に残るような数多くの殺戮シーンを生みだしてきたロス監督だが、アメリカの感謝祭での惨劇を描いた本作でも、首チョンパなんて朝飯前の超不謹慎な描写のオンパレードとなっている。

【写真を見る】仮面男による人間クッキングが繰り広げられていく(『サンクスギビング』)

■恐怖の感謝祭が幕を開ける『サンクスギビング』は人間が食材に!

もともとクエンティン・タランティーノロバートロドリゲスの『グラインドハウス』(07)のフェイク予告編として作られたものの長編化であり、次々と住人が謎のマスク姿の殺人鬼に襲われていく様を描く『サンクスギビング』。

感謝祭(=サンクスギビング)発祥の地、マサチューセッツ州プリマス。年に一度の祝祭を控え、人々は浮き足立っていたが、突如ダイナーで働く女性が見るも無惨な姿で殺され、恐怖のドン底に突き落とされる。さらに1人、また1人と被害者が増えていくなか、地元の高校生5人組もまた、かつてこの地に入植した清教徒の指導者”ジョン・カーヴァー”のマスクを被った謎の男に命をねらわれることに…。

冷え切った冷凍庫の扉に水で濡れた顔を押しつけられて、頬の皮膚が貼り付いてしまう痛々しい描写などアイデアが光る残酷描写が満載の本作。ユニークなのが調理器具を凶器に人々が食材のように殺されていく点で、電動肉切りナイフで体を裂かれたり、肉ハンマーで脳天をぐっちゃぐちゃに叩き潰されたりも…。

さらには、パレード中に七面鳥の被りものをした学生が斧で豪快に首を切り落とされるフェイク予告編からのシーンをはじめ、女性が身体中に調味料を振られてそのままオーブンで丸焼きにされたりと、サンクスギビング定番料理にちなんだ殺しもてんこ盛り。目を背けたくなると同時に目が離せない殺しの数々には、もはや感心させられてしまうかも?

■『グリーン・インフェルノ』で描いたグルメ先住民たちの人間クッキング

サンクスギビング』で人間を食材に見立てているロス監督は、『グリーン・インフェルノ(13)でも人間を“食べもの”として描いている。本作は意識高い系の学生活動家たちが、アマゾンの環境保全活動をしていたところ、食人の風習がある先住民ヤハ族に襲われてしまうというもの。

人間を美味しく食べたいグルメなヤハ族により“調理”されていく活動家たち。目を直接くり抜かれ、四肢を石斧で切断された状態で、じっくり時間をかけて燻製にされたかと思えば、ワイルドに生きたまま踊り食いにされるなど、バリエーション豊富な食人描写はインパクト抜群だ。

また『食人族』(80)をオマージュした串刺し刑や、体に放たれた大蟻が穴という穴から体内に入り込んでくるという地獄のような描写まで、残虐すぎるシーンの数々は観客を震撼させた。

バックパッカーが金持ちのおもちゃに…拷問満載の「ホステル」シリーズ

ロス監督のブレイク作『ホステル』(05)ももちろん、人間をおもちゃにした極悪な“お遊び”が満載。本作はヨーロッパを旅行中のアメリカ若者3人組が、旅先の怪しげなホステルに泊まったことをきっかけに、想像を絶する恐怖に見舞われるというストーリー。

スロバキアのとある街に流れ着き美女の誘惑に誘われた3人だったが、金持ちたちによる秘密クラブの獲物として拷問を行われてしまう…という意表を突く展開へと突入する。ゴア描写も容赦なく、ドリルで脚に穴を開け、メスでアキレス腱を切るというものから、チェーンソーで体をザックリ切断したり、顔面をバーナーで焼かれたりとまさに拷問のバーゲンセール状態だった。

その続編となる『ホステル2』(07)でも、やはりヨーロッパ旅行を楽しむアメリカ人女性3人が拷問を楽しむ金持ちクラブの餌食に。吊るされて喉を掻っ切られて“血のシャワー”にされたりと極悪な方法で次々と殺されていく。

さらにある金持ちが獲物を調理し、その場で食べるというロス監督おなじみの食人描写はこの作品でも登場。人食い老人を『食人族』のルッジェロ・デオダート監督が演じており、すでに『グリーン・インフェルノ』の片鱗を見せていた。

ホステル2』の極めつけとして登場する、子どもたちが生首をサッカーボール代わりにして遊ぶというもはや笑ってしまうシーンまで、観客に見たことのない世界を見せてきたイーライ・ロス。『サンクスギビング』でも映画でしか観られない刺激的かつ不謹慎な描写を楽しんでみてほしい。

文/サンクレイオ翼

イーライ・ロス監督による極悪なシーンを振り返る!(『サンクスギビング』)