乃木坂46櫻坂46日向坂46からなる坂道グループは、アイドル界の一大勢力だ。今なお、ステージを中心にメンバー個々が活躍している。一方、グループでの経験を糧に、アイドルから次のキャリアへと進むメンバーも注目される。2023年は、坂道グループ全体で8人が卒業、1人がラストステージを飾った。本稿では、彼女たちの去就をたどる。

【写真】2023年に乃木坂46・櫻坂46・日向坂46「坂道グループ」を卒業したメンバーたち

■最後の1期生、2期生の卒業で乃木坂46は新体制に

 2月、神奈川県横浜アリーナで開催のデビュー11周年を記念した5日間に及ぶ「乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE」で、3期生の梅澤美波が3代目キャプテンに就任。1期生と2期生が全員卒業したグループは、3〜5期生による新体制へと移行した。

 梅澤に大役を引き継いだ2代目キャプテン、グループ“最後の1期生”となった秋元真夏は「11th YEAR〜」の最終日にあたる2月26日に卒業。2011年8月グループの1期生として加入した直後に学業優先のため活動休止、2012年10月に選抜メンバーとなった4thシングル「制服のマネキン」の活動からグループへ復帰し、在籍期間は歴代最長の11年6ヵ月となった。在籍中は「真夏さんリスペクト軍団」を結成するなど、メンバーやファンから厚い信頼を獲得。卒業後は、バラエティ番組を中心に活動し、『アイ・アム・冒険少年』(TBS系/毎週月曜19時)のレギュラーなどで持ち前の愛きょうを生かして活躍の幅を広げている。

 秋元が卒業した翌月、3月28日にはグループ“最後の2期生”となった鈴木絢音が卒業した。同日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催の「卒業セレモニー」でラストステージを飾った鈴木は、2013年3月にグループの2期生として加入。読書家で辞書を愛する一面も知られ、在籍中に辞書編さん者へのインタビューなどを収録した著書『言葉の海をさまよう』(幻冬舎)も出版した。卒業後、10月からは芸能プロダクションのA.M.Entertainmentに所属。11月には故郷・秋田県出身者として出演した『秘密のケンミンSHOW極』(日本テレビ系/毎週木曜21時)が注目されるなど、タレント活動を続けている。

 グループ初期を支えた1〜2期生の卒業が続いた一方、2018年12月から活動を続ける4期生初の卒業生も話題を集めた。5月に卒業発表した4期生の北川悠理は、6月末をもってグループでの活動を終了。アメリカ・カリフォルニア州出身の帰国子女で、慶應義塾大学在学の“才女”としての経歴を生かして、在籍中はクイズ番組でも活躍した。卒業時、グループでの「ラストプロジェクト」として、自身が脚本を務める4期生出演(休業メンバーを除く)の映画製作を発表。公開を待ちわびる声も多い。

 4期生では、早川聖来もグループでの活動を終了した。8月24日、23歳の誕生日で卒業した早川は、7〜8月開催で全国7都市16公演を巡った「乃木坂46 真夏の全国ツアー2023」の大阪公演がラストステージに。故郷・大阪で、有終の美を飾った。芸能界を引退したが、卒業後も自身のインスタグラムを更新。10月には「ご無沙汰しています。お元気でしたか?」と卒業後初の投稿をして反響を集めた。

 なお、2023年には、2022年内でグループ活動を終了した1期生の齋藤飛鳥も、メンバーとしてのラストステージに立った。5月に、東京ドームで新体制を支える3〜5期生のメンバーと共に、2日間に及んだ「卒業コンサート」を開催。本番では、自身の活動終了後の3月にリリースした、3期生の久保史緒里山下美月がWセンターを務める「人は夢を二度見る」を後輩メンバーと共に披露するなど、エモーショナルなステージを展開した。

■前身の欅坂46からを知るメンバー卒業が続いた櫻坂46

 世代交代もささやかれる櫻坂46の2023年は、海外展開が目立った。7月には、フランスで開催の「Japan Expo Paris 2023」でグループ初の海外公演を達成。以降、アジア圏のマレーシアクアラルンプールフィリピン・マニラでのステージも実現し、日本から海外へと可能性を広げた。

 一方、新境地を開拓するグループからの卒業を決断したメンバーもいた。2018年11月、前身の欅坂46時代に二期生として加入した関有美子は2022年12月に卒業を発表、4〜6月開催の全国5都市11公演を巡った「3rd TOUR 2023」の福岡公演(4月30日)で行われた「卒業セレモニー」をもってグループの活動を終了した。卒業後は、バラエティ番組などに出演。裕福な家庭で育ったエピソードから“会長”と愛された姿はなおも健在だ。

 8月には、欅坂46の結成当時からを知る一期生の土生瑞穂が卒業を発表。11月に千葉・ZOZOマリンスタジアムで2日間に及び開催した、1stシングル「Nobody's fault」リリースから3周年の公演「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」の初日、自身の「卒業セレモニー」(11月25日)をもってグループから卒業した。在籍中から続く女性ファッション誌「JJ」の専属モデル、「CLASSY.」(ともに光文社)のレギュラーモデルとして活躍。卒業発表時には「新境地を表現者として自ら切り開いていきたい」と述べ、活動の広がりも期待される。

 なお、11月には、土生らと共に欅坂46の結成から歴史を支えてきた小林由依も卒業を発表。2024年1月31日2月1日に開催の「小林由依 卒業コンサート」をもって卒業する。

■全員野球で一丸となる日向坂46からは一期生が卒業

 4月、グループの“新たな聖地”とした神奈川県横浜スタジアムで、2日間に及ぶデビュー4周年公演「4回目のひな誕祭」を達成した日向坂46。2024年4月には、再び“聖地“で2日間に及ぶ「5回目のひな誕祭」の開催が決定した。

 一期生〜四期生が一丸となってステージを作り上げた2023年。一期生の影山優佳は、7月に東京国際フォーラムで開催した「卒業セレモニー」をもって卒業した。前身のけやき坂46時代に受験のため活動休止し、日向坂46への改名後、2020年5月にグループ活動を再開。サッカー好きと知られ、在籍中に開催の「2022 FIFAワールドカップ カタール」では、関連番組出演の多忙ぶりから、SNSでハッシュタグ「#影山寝ろ」がトレンド入りするほど、話題を集めた。10月には芸能事務所・プロダクション尾木への移籍を発表し、スポーツ番組をはじめ精力的に活動。“上位2%のIQを持つ”という「JAPAN MENSA」の会員も公言、才女としてクイズ番組でも活躍する。

 影山らと共にけやき坂46の一期生として加入した潮紗理菜は、11月リリースの2ndアルバム『脈打つ感情』の活動をもっての卒業を発表。8〜10月に全国5都市10公演を巡った「Happy Train Tour 2023」後の追加公演として、神奈川県Kアリーナ横浜で12月に開催した2公演の初日には、自身の「卒業セレモニー」が行われた。活動では、グループの“聖母”として愛された一方、幼少期を過ごしたインドネシアの伝統的な楽器”ガムランボール”をグループのレギュラー番組でネタにするなど、個性的なキャラクターを確立。卒業後の進路は「ゆっくり考えたい」と公言している。

(左から)土生瑞穂、秋元真夏、影山優佳  クランクイン!