豪華布陣のドジャースでは、大谷の活躍の幅も広がりそうだ(C)Getty Images

 300人ものメディアが集結したドジャースタジアムでの盛大な入団会見を終えても、全米のメディアやファンの注目は大谷翔平に注がれ続けている。右肘手術の影響で、来年は打者一本で勝負。とりわけ投手・大谷よりも、打者・大谷にその視線が向かっている印象だ。

【関連記事】大谷翔平のポルシェ提供に「ドジャースの他の妻は腹を立てる」? 仰天行動の反響に米紙が切り込む「オオタニは義務をこなす」

 メジャーリーグ公式サイトなど、主要サイトは大谷が来季目指すべき指標などを特集。数多くのスタッツが並ぶが、中でも最も注目なのはア・リーグからナ・リーグへ移籍したことによる、両リーグ制覇すべきタイトルが数多くあることだろう。

 最大の注目はレギュラーシーズンの最優秀選手MVP)。大谷はエンゼルス時代に2021、2023年と2度、しかも史上初の複数回満票選出で受賞した。

 過去に両リーグMVP受賞選手は、実は1人しかいない。1961年レッズ1966年オリオールズで受賞したフランク・ロビンソンただ1人。ナ・リーグでは今季史上初の「40―70」(41本塁打、73盗塁)でMVP受賞のロベルト・アクーニャJr.や両リーグ最多54本塁打マット・オルソンと強力なブレーブス打線の主軸2枚ら強力なライバルは多いが、打ち破れるか。

 近年では移籍が活発なメジャーリーグだが、フリーエージェント(FA)制導入は1970年代後半だったため、過去のレジェンドたちは同一球団でプレーし続ける選手が多かった。そのため両リーグMVPは過去に1人しかいない栄光となっている。

 ちなみに日本のプロ野球でも、両リーグMVPは過去に2人しかいない。1人目が1979年に広島、1981年日本ハムで受賞した江夏豊。もう1人が2006年に日本ハム、2007年に巨人で2年連続受賞となった小笠原道大である。

 「史上初」という冠を付けて期待したくなるのが、最強打者の称号となるハンク・アーロン賞だ。大谷は今季、日本人として初受賞。ここ2年は最終候補に残りながら逃していた王冠をようやく手にした。ハンク・アーロンが、ベーブ・ルースの通算本塁打記録を塗り替えてから25周年を記念して設立されたこの賞は、1999年からと比較的歴史が浅い。両リーグから1人ずつ選出されるのだが、これまで両リーグで受賞した打者は1人もいない。

 複数回という点では、レンジャーズ時代の2001~2003年まで3年連続受賞し、ヤンキース移籍後の2007年にも受賞したアレックス・ロドリゲスの4度が最多。次いでバリー・ボンズが3度、マイク・トラウトブライス・ハーパーポール・ゴールドシュミットクリスチャン・イエリチ、ジャンカルロ・スタントンデービッド・オルティス、ミゲル・カブレラホセ・バティスタデレク・ジーターアルバート・プホルスマニー・ラミレスらが2度など複数回受賞者は多い。それでも来季以降、大谷が受賞すれば史上初の快挙となる。

 大谷は今季44本塁打で日本人初の本塁打王に輝いた。両リーグ本塁打王も過去に3人しかいない金字塔。1900年代レッズタイガースで達成したサム・クロフォード1990年前後でブルージェイズパドレスで達成のフレッド・マグリフと、アスレチックスカージナルスで達成のマーク・マグワイアだけ。こちらも是非とも4人目に名乗りを上げてもらいたい部門だ。

 いずれのタイトルも難関には違いないが、ア・リーグアーロン・ジャッジ、ウラジーミル・ゲレロら強豪を相手にして、手にしてきた実績がある。両リーグでのダブル戴冠へ、たとえ打者一本だろうとも目を離せない魅力が大谷には詰まっている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

大谷翔平が両リーグ受賞を目指すべきもの 戴冠なら史上初のビッグタイトルも