不動産投資において、「リフォーム費用」で赤字になり失敗するケースが見受けられます。管理会社を挟んでリフォーム工事を行う場合、「管理会社はどのように儲けているのか」を考慮しておく必要があると、株式会社ピカいちの代表取締役・柳田将禎氏は言います。リフォーム投資のプロである柳田氏の著書『ピカいちのリフォーム投資 改訂版』から、「リフォーム」について大切な考え方を見ていきましょう。

管理会社に言われるがままリフォームして赤字に

不動産投資の代表的な失敗例として、「リフォーム費用で赤字になってしまう」というものがあります。

不動産投資では、大半の大家さんは本業があるので、管理会社に管理業務を委託しています。何か問題があれば管理会社から連絡が来て、そこから発注に移ります。

しかし管理会社が提案するリフォームは、割高になっていることがよくあります。ある程度の経験を積んだ大家さんなら、管理会社に自分で発注していいか聞くものですが、そうしたことができることを知らなかったり、あるいは地方だと選択肢がないので、多少高くても地元で頼まないといけなかったりするケースもあります。

管理会社の提案してくるリフォームが割高なのは、リフォーム会社と大家さんをつなぐための手配料としてマージンが発生しているからです。これは不当利益ではなく、ビジネス上では当たり前の利益といえます。

「管理会社はどのように儲けているのか」を考える

また、よくあるのが過剰なリフォームです。「あれもやりましょう。これもやりましょう」と次々と提案をされてリフォームをしたものの、空室は埋まらない。よくよく調べてみたら物件に問題があったのではなく、十分に周知ができていなかっただけだった……こうしたケースもあります。

ここで考えてほしいのは、「管理会社はどのように儲けているのか」ということです。

もちろん管理業務が主体となるわけですが、売買の仲介手数料と比較すると、1件あたりの単価は微々たるものです。

そこで、保険の代行業務をしたり、リフォーム発注でマージンをとったりと、さまざまなところから少しずつお金を稼ごうとしているわけです。特にリフォーム費は、管理費と比べると高額になりやすいので、管理会社としても力が入るわけです。

そうした観点でいえば管理会社にとって、末永く満室稼働するよりは、入退去の頻度が増えるほど儲かります。それは仲介手数料や広告費、その他の代理店として手数料を稼げるからです。

何事も疑ってかかったほうがよいのが「不動産業界」

このようにサラリーマン投資家から見た利益と、管理会社から見た利益は相反する部分があり、管理会社が儲かるような状況は、サラリーマン投資家からすれば儲かりません。

ですから管理会社の言われるままに発注をすると、必要のないリフォームが含まれていることもあります。もしくは原状回復工事であれば清掃だけで済むところを、毎回クロスを張り替えられたり、まだキレイなのにウォシュレットを毎回交換されたりします。

普通であれば、リフォーム前後の写真を送付するのは当たり前のことだと思うのですが、管理会社によってはそうした報告を怠るケースもあります。いずれにせよ、不動産業界は外から見ただけではわからないことも多く、何事も疑ってかかったほうが良いでしょう。

「信用できる」管理会社の選び方

管理会社の選び方としては「自分でリフォーム工事を発注していいですか?」と質問してみてください。

「それはできません」という答えが返ってきたら、その管理会社は不誠実である可能性が高いです。

普通の管理会社は、物件のクオリティが良くなれば入居が決まりやすくなるためリフォーム工事を歓迎しますが、そうでないということは何らかの裏事情があると考えられます。

柳田 将禎

株式会社ピカいち

代表取締役

(※写真はイメージです/PIXTA)