1年を締めくくる歌番組といえば、やっぱりいつの時代も『NHK紅白歌合戦』だろう。その年を象徴するアーティストたちが勢ぞろいする歌の祭典だからこそ、毎年“新顔”の出場。今回は、『紅白』を前に今年の初出場アーティストを総ざらい。当日「あれ? この人誰だっけ」とならないために、ぜひ参考にしていただきたい。

【写真】Stray Kids、MISAMOら人気アーティストも初登場

■SNSから火が付いた! 令和のニュースター

 近年、流行の原点となりがちなのがSNS。今年の『紅白』にも、SNSでバズったことから売れたアーティストが登場する。セーラー服姿の4人組ダンスボーカルグループ・新しい学校のリーダーズは、2020年に発表した「オトナブルー」を今年YouTubeの企画「THE FIRST TAKE」で再配信。どことなく昭和っぽいメロディと“首振りダンス”がTikTok等で流行した。

 同じく、FIRST TAKEやTikTokから火が付いたのがano。「あのちゃん」と親しまれ、その独特なキャラクターで現在バラエティ番組でも引っ張りだこの彼女だが、アーティストとしては2022年にアニメ『チェンソーマン』のエンディングテーマとして発表した「ちゅ、多様性。」のダンスがTikTokで流行。初の『紅白』でのパフォーマンスにも期待が集まる。

■これぞ多様性? “顔出しNG”アーティスト

 今年の『紅白』には、素顔を見せないアーティストが3組も参戦する。顔出しNGアーティストとして近年すさまじい活躍を見せているのがAdo。昨年の『紅白』では、劇場版アニメONE PIECE FILM RED』にて歌姫・ウタの歌唱キャストを担当したことで、ウタの3Dモデル姿を借りて出場、史上初のアニメキャラクターの『紅白』出場が話題となった。そんなAdoが今年は紅組歌手として出場。どんな形でパフォーマンスを行うのか注目だ。

 YouTubeやツイキャスで楽曲配信等を行う6人組エンターテイメントグループ・すとぷりも、イラストキャラクターの姿で活動する“顔出しNG”アーティスト。公式YouTubeチャンネルの登録者数は、230万人を超える。2021年にはフジテレビ系やNHKの歌番組にてバーチャルライブを行ったこともあり、『紅白』でも次世代の華やかなステージを見せてくれることだろう。

 イラストでもバーチャルでもない“顔出しNG”アーティストも。2010年から活動する5人組ロックバンド・MAN WITH A MISSIONは、全員が頭はオオカミ、体は人間といういで立ち。ロックフェスなどでファンにはすっかりおなじみの彼らだが、実はギター・ボーカル担当のJean‐Ken Johnnyしか日本語は話せないという設定。司会の面々や他アーティストの“絡み”がどうなるのかも気になるところだ。

今年大人気だったアニメ主題歌アーティストに韓国からの新星も

■今年話題になったアニメの主題歌アーティストたち

 2023年に大きな話題となったアニメ作品の主題歌を担当したアーティストからも、初出場組が。現在27歳のシンガーソングライター・キタニタツヤは、大人気アニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」のオープニングテーマ「青のすみか」を歌っている。メジャーデビューから約3年で、『紅白』への切符をつかんだ。

 昨年12月に公開され、今年8月までロングラン上映され社会現象にもなったアニメ映画THE FIRST SLAM DUNK』のエンディングテーマ「第ゼロ感」を歌ったのが10‐FEET。全員が京都在住で、2007年から開催されているロックフェス京都大作戦」の主催としても知られるバンドだ。結成26周年のベテランだが、今年満を持して初の『紅白』の舞台に立つ。

■世界で活躍中! 韓国からの新星も見逃せない

 毎年、その高いパフォーマンス力で『紅白』を盛り上げるK‐POPグループ。今年も新たな顔が日本の大みそかに上陸する。8人組アイドルグループ・Stray Kidsは、ほぼ全ての楽曲をメンバー自らが作詞・作曲・プロデュースを手がけるセルフプロデュースグループ。今年発売した3rdアルバム『5‐STAR』は、世界8ヵ国で1位になるなど世界的にその実力が認められている。今年は日本ドームツアーも成功させた8人による初めての『紅白』パフォーマンスは見逃せない。

 13人と大所帯のアイドルグループ・SEVENTEENも、今回『紅白』初出場。2018年に日本デビューすると、2nd、3rdアルバムはそれぞれオリコンチャート1位になるなど、その人気は今日まで衰えることがない。今年2023年には香取慎吾とのコラボ楽曲も配信した。

 昨年、3年ぶり4回目の『紅白』出場を果たした9人組多国籍ガールズグループ・TWICE。今年は、そんなTWICEの日本人メンバー、ミナ・サナ・モモで結成したMISAMOが『紅白』に出場。今年2月にCDデビューしたばかりの3人だが、日本では早速テレビ朝日系ドラマ『リエゾン ‐こどものこころ診療所‐』主題歌にも抜てき。『紅白』でもキュートなパフォーマンスに期待したい。

初出場はあと3組! 歌うま俳優に元レジェンドアイドル、実力派バンドも

■『紅白』出場「待ってました!」な面々も

 2020年に白組司会、2021年・22年には総合司会として出演し、近年の『紅白』の顔ともいえる大泉洋は、今年歌手として初めて『紅白』の舞台に。ファンの間では、大泉の歌唱力の高さはよく知られるところであり、個人名義・TEAM NACS名義それぞれで多くの楽曲をリリースしてきた。今年50歳の誕生日を迎え、「生誕50周年記念!! 大泉洋リサイタル」ツアーを12月よりスタート。ラストは武道館で迎える。これに伴い、同じく北海道出身の玉置浩二が作曲・プロデュースを手掛けた「あの空に立つ塔のように」もリリース。ファンにとっては「待ってました!」と「マジで?」が入り混じる初の『紅白』での歌唱が楽しみだ。

 元キャンディーズ・伊藤蘭も、今年ソロ歌手として初めての『紅白』出場となる。キャンディーズ時代を含めると、46年ぶり4回目の出場だ。今年デビュー50周年という節目の年である伊藤。全国7都市を巡る「伊藤 蘭コンサート・ツアー2022 ~Touch this moment & surely Candies!~」も開催し、精力的に音楽活動にいそしんだ1年だった。

 最後に紹介したいのは、ロックバンド・Mrs.GREEN APPLE。もともと6人組として活動していたが、2020年に「フェーズ1完結」を宣言し活動を休止。2022年からは「フェーズ2」として、大森元貴・若井滉斗・藤澤涼架の3人体制となり再始動、今年7月には4年ぶりとなる待望のアルバム『ANTENNA』をリリースした。今年、ドラマ『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系)の主題歌に「ケセラセラ」が起用され、その“エモい”歌詞が刺さったという若者が続出。その人気にもうひと段階ブーストがかかった1年だったのではないだろうか。そんなミセスが満を持して『紅白』に出場。初めてその楽曲を耳にする人にもきっと“刺さる”ことだろう。

 13組の初出場アーティストのパフォーマンスが気になる今年の『紅白』。もちろん、今回は紹介できなかったおなじみの顔や久しぶりの歌唱となる面々も見逃せない。大みそかには、早めに年越しそばを食べてテレビの前で待機したいものだ。

 『第74回NHK紅白歌合戦』は、NHK総合ほかにて12月31日19時20分放送。

(左から)ano、大泉洋、MOMO  クランクイン!