織田信長の妹として生まれたお市の方。嫁ぎ先も、難を逃れるために身を寄せた兄も、再婚相手もことごとく先立っていく人生を送った彼女は、傾国の美女なのか、受難の姫君なのか……。

【漫画】苦難に次ぐ苦難…お市の方の生涯を読む

「マンガでわかる 戦国武将のさいご図鑑」(マイナビ出版)や、「マンガ版 教養として学んでおきたい5大宗教」(執筆・監修:中村圭志、マイナビ出版)など、歴史・宗教に関する書籍も手がけるかたわら、歴史上の人物の生涯をYouTube漫画として描き人気を博す漫画家の徳永サトシさん。戦国時代を舞台にした作品では、史実をベースに創作をまじえ歴史に詳しくない人にも楽しめる内容で、戦国のスターのみならずマイナー武将までさまざまな人物を取り上げている。

2023年4月に公開され、22万回を超える再生数の漫画動画「お市の生涯~絶望が続く37年間~」では織田信長の妹で、浅井長政柴田勝家の妻となったお市の方を取り上げている。「天下一の美人」とも謳われたお市の方だが、浅井長政が討たれた後、実家である織田家に身を寄せるも本能寺の変で兄・信長が死去。その遺臣である柴田勝家の正室となるも、秀吉に敗れともに自害するという悲運の人生を辿った人物だ。そんな彼女の数奇な生涯を題材にしたきっかけや、お市の方の人物像について、作者の徳永さんにインタビューした。

■「悲しい」だけが残らないように…作品制作への思い

――大河ドラマをはじめ、気丈な女性、はたまた薄幸の姫君と、さまざまな人物像で描かれる人物です。徳永さんはお市の方をどんな人物として描かれましたか?

【徳永サトシ】戦国の世に振り回されながらも、気丈に生きた「強い女性」という人物として描きました。

――苦難続きの生涯ではありますが、徳永さんらしいユーモアを交えた作品になっています。作品に描く上で演出面ではどのような点を意識しましたか?

【徳永サトシ悲壮感が漂いすぎず、でもふざけすぎず、というバランスを意識しました。見終わったときに「悲しい」という気持ちだけが残るような作品にはしたくないと思っています。

――徳永さんがお市の方を描く中で特に心を惹かれたポイントがあれば教えてください。

【徳永サトシお市の方が実際どのような女性で、どのように振る舞い、選択したかは想像するしかありません。心を惹かれたポイントを強いてあげるなら、その波乱万丈な生涯です。歴史に名を残す武将たちとどのように接したのか想像するのが楽しかったです。

取材協力:徳永サトシ(@tokunaga0621)

身を寄せた先がことごとく落ち目に…薄幸の姫君・お市の方を漫画で紐解く/作:徳永サトシ