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いぎなり東北産のワンマンライブ「いぎなり東北産 2023年大一番ライブ ~いぎなり伝説への幕開け~」が12月29日パシフィコ横浜 国立大ホールで開催された。

【ソロカット含むライブ写真100枚】「いぎなり東北産 2023年大一番ライブ ~いぎなり伝説への幕開け~」の様子。

東北地方を中心に活動しつつ、東京・日本武道館で単独公演を開催することを目標に掲げているいぎなり東北産。橘花怜、律月ひかる、北美梨寧、安杜羽加、吉瀬真珠、桜ひなの、藤谷美海、伊達花彩、葉月結菜の9人は、3月より全国ツアー「いぎなり東北産 全国絶対に負けないツアー」を行い、8月には3rdミニアルバム「THE 東北産」をリリースするなど精力的な活動を行ってきた。昨年11月に東京・中野サンプラザホールで行われた“大一番ライブ”で、今年の大一番ライブの開催および、その会場がパシフィコ横浜 国立大ホールであることを発表していた彼女たち。満を持して幕を開けたパシフィコ横浜公演では、会場に集まった皆産(いぎなり東北産ファンの呼称)に計26曲を歌い届け、ライブのタイトル通り、伝説の幕開けを感じさせるような力強いライブを展開した。

伝説の剣を求めて試練に立ち向かう

ステージ後方のスクリーンに、東北の地から選ばれた9人の“戦士”を紹介するオープニング映像が投影され、スクリーンがゆっくりと左右に開く。スモークが充満したステージの高台に、9人のシルエットが浮かび上がると、場内の観客は期待感に満ちた歓声を上げた。その歓声を浴びながら静かに階段を降り、ステージの中央に立ったメンバーは、キラーチューン「天下一品 ~みちのく革命~」でライブをスタートさせると、そのまま2曲を歌唱。開幕早々に場内を熱気で包み込んだ。マントを肩から羽織った東北産は、衣装も相まって戦士のような出立ち。彼女たちは本公演のために考えたという“戦士バージョン”の自己紹介をし、律月は「今日は最強のアイドルの道へ飛び立つために、世界中に散らばった剣を集めて、伝説の羽を手に入れに来ました」とライブコンセプトを説明した。葉月の「みんなで一緒に剣を集めて、伝説の羽を手に入れるぞー!」という呼びかけから、9人が元気いっぱいにパフォーマンスしたのは「青春修学旅行」。この曲中には、ステージ左右の高台に2本の剣が出現し、藤谷と桜はオーディエンスの声援やヘッドバンギングからパワーをもらいながら、剣を抜き取った。「意外と簡単な所に剣あったね」と顔を見合わせたメンバーだったが、橘に「伝説の剣だぞ! ここからも簡単に見つかるとは限らない。気を引き締めていくんだ!」とたしなめられ、神妙な顔でうなずいた。

続くブロックで、メンバーは残りの剣を探すべく客席へと駆け降りる。1階席後方に設置されたステージや通路で、「HiGHER ,HiGHER!!」「Chim Chim Chim Knee」「re;star」の3曲を届けた東北産は、ホールの入り口前に出現していた剣を発見。しかし剣には電流が流れており、簡単に引き抜くことができない。すると、ステージ後方のスクリーンに突如映像が流れ出し、剣を手に入れるには乗り越えるべき試練たちがあることが告げられる。そして試練の1つ目がラップであることと、その挑戦者が発表された。挑戦者に選ばれた葉月、橘、桜、安杜はユニークなラップをさっそく披露。それぞれが試練を乗り越え、最後は律月が剣を手にした。無事に剣を手に入れた9人は「未成年」を歌いながら客席を歩いてステージへ。戻って早々に新たに出題された“ダンス試練”では、安杜が「年末」、吉瀬が「アイドル」、伊達が「情熱」をダンスで表現してみせた。そのまま東北産はアッパーチューン「伊達サンバ」を勢いよく投下。9人はこの曲で再び客席へと飛び出し、伊達は通路に出現していた剣を手に入れた。

その後サブステージでは、北美、藤谷、律月が“甘い言葉“の試練に挑戦。「みんなの見てたら私もやりたくなっちゃった」と切り出した吉瀬が、近くのカメラに向かって「君の瞳に乾杯……的な?」と語りかけたのを機に、9人は「テキーナ」を歌唱。ラストは再度メインステージへと戻り、吉瀬はステージ下手の高台に出現した剣を引き抜いた。しかし試練はまだまだ続く。安杜、橘、藤谷はお題通りに次々に変顔を披露していくが、試練の判定は厳しくクリアにはいたらない。それを見かねた伊達は「みんなでやればいけるんじゃない?」と提案。彼女の「よし! みんなでやるぞー!」という高らかな宣言とともに「うぢらとおめだづ」がスタートした。

通常運転の東北産も

「うぢらとおめだづ」の熱い余韻が残る中、場内に発車メロディが響く。メンバーは暗転したステージ後方の階段に座り、スクリーンに映し出された星空をバックに「深夜特急」を力強く歌ったのち、今度は2階のステージへ。東北産は「2階のみんなお待たせ!」と叫びながら現れると、「Fly Out」でファンにジャンプするよう煽り、観客のテンションをぐんぐんと引き上げていく。畳みかけるように「シャチョサン」が歌われたのち、新たに出現した剣を北美がゲットした。9人は「残る剣は2本!」と、軽やかに2階のステージを去り、再びメインステージへと戻って行った。

「結び」「メタハンマー」が届けられたあとは“最終試練“へ。最終試練の内容は、東北産が皆産を盛り上げ、ステージ後方のスクリーンに映し出された“ボルテージメーター“をマックスにするというもの。オーディエンスとコール&レスポンスを繰り返し、場内の士気を統一したメンバーは、「どっち?こっち?どうすっぺ!」や、TikTokで話題になった楽曲「わざとあざとエキスパート」など4曲を連続で披露。ハイテンションなステージに、観客は大きな歓声を上げた。ボルテージメーターがマックスとなり、ステージ左右の高台には2本の剣が。最後の2本は橘と葉月が息を合わせて引き抜き、ステージに9本の剣がそろった。それぞれのメンバーカラーの石が埋め込まれた剣に「カッコいい!」と素直な感想を述べた9人は、そのまま剣を片手に、応援してくれたオーディエンスへの感謝を込めて「ワンダフル東北」を歌い上げた。その後、半円状に並んだメンバーは、それぞれの剣を掲げると、1人ずつステージ後方に設置された円形の台座に剣を納める。9本の剣が台座に納められると、後方スクリーンに“伝説の羽”が現れた。伝説の羽を手に入れた彼女たちは、伊達のアカペラから「Whatever」で情感がこもった歌声を響かせた。

横一列に並んだメンバーは、葉月の「戦士の皆さん、お疲れ様でした!」という一声から、「戦士終了だ」「一旦寝よう」とステージに寝そべる。そんなメンバーを横目に葉月は改めてこのライブのテーマを観客に伝え、「こういうエンタメ? ミュージカルみたいなライブは初めてだったのでワクワクでした」と、ここまでのライブパートの感想を語った。すべての試練を完遂し、通常運転へと移行した東北産は、衣装や会場外に用意されたキッチンカー、また2023年最後の単独公演ということで1年間を振り返ったほか、2024年にしたいことなど、にぎやかなトークを展開。会場の皆産と記念写真を撮影したあとは、10月に発表された「ゾンビソサエティー」、11月に発表された「恋愛フィルター」という新曲2曲を続けてパフォーマンスした。

私たちの覚悟を

目標の日本武道館公演に向けて、会場の規模を徐々に拡大しながら活動してきたと切り出した橘は「今までのワンマンライブで1番たくさんの皆産が集まってくれて、東北産のことが大好きな人だけが集まっている。そんな素敵な景色を見れたのがとてもうれしいです。皆さん今日は会いにきてくれて本当にありがとうございます」と客席のファンの顔を見渡し、声を震わせながらも「本来であれば今日この会場を満員にして、来年は日本武道館と考えていました。ですが満員にすることはできませんでした。『満員のパシフィコ横浜に立てたよ。こんなに大きくなれたよ』と皆産に胸を張って言いたかったので、それができなくてすごく悔しいです」とチケットをソールドアウトできなかった思いを吐露する。「でも私たちは、ここでは終わりません。来年はこの思いと景色、今私たちを支えてくれているみんなの笑顔を胸に、活動をがんばっていきます。ちょうど1年後、2024年の12月29日に、ここパシフィコ横浜を満員の皆産で埋め尽くします。なのでこれからも私たちの覚悟を見ていてくれたらうれしいです。私たちは本物のアイドルになって、ここに戻ってきます」と決意を口にした。彼女の「今の気持ちを詰め込んだ曲を歌います」という曲振りから、東北産がラストに披露したのは「旅の途中」。どんなことがあっても進んでいくという思いをつづったメッセージソングを高らかに歌い上げ、羽が舞い落ちる中でライブの幕を下ろした。終演後のスクリーンには、メンバー直筆のメッセージが映し出され、皆産はメンバーに向けて惜しみない拍手を贈った。

なおYouTubeでは、本公演で披露された「ワンダフル東北」のライブ映像を公開中。

セットリスト

いぎなり東北産「いぎなり東北産 2023年大一番ライブ ~いぎなり伝説への幕開け~」2023年12月29日 パシフィコ横浜 国立大ホール

01. 天下一品 ~みちのく革命~
02. トラベル
03. いただきランチャー
04. No Make
05. 青春修学旅行
06. HiGHER ,HiGHER!!
07. Chim Chim Chim Knee
08. re;star
09. 未成年
10. 伊達サンバ
11. テキーナ
12. うぢらとおめだづ
13. 深夜特急
14. Fly Out
15. シャチョサン
16. 結び
17. メタハンマー
18. どっち?こっち?どうすっぺ!
19. 微妙
20. わざとあざとエキスパート
21. 服を着て、恋したい
22. ワンダフル東北
23. Whatever
24. ゾンビソサエティー
25. 恋愛フィルター
26. 旅の途中

ライブ情報

いぎなり東北産 2024年 大一番ライブ

2024年12月29日(日)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール

いぎなり東北産