第80回ヴェネチア国際映画祭で最高賞である金獅子賞を受賞し、第81回ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ミュージカルコメディ部門)を含む6部門7ノミネートを果たした映画『哀れなるものたち』(1月26日公開)。このたびエマ・ストーンが演じる前代未聞の主人公に迫る特別映像が解禁となった。

【写真を見る】蘇生したばかりのベラはまるで子どものようだった

第91回アカデミー賞で最多10ノミネートされた『女王陛下のお気に入り』(18)のヨルゴス・ランティモス監督とストーンが再集結した本作。『ラ・ラ・ランド』(16)ではアカデミー賞をはじめとする各映画賞で主演女優賞に輝き、『女王陛下のお気に入り』、『クルエラ』(21)でも様々な映画賞にノミネートされるなど、ストーンはその比類なき活躍で世界中の注目を集め続けてきた。本作では主人公ベラを演じるだけでなく、プロデューサーとして企画の立ち上がりから製作に参加するなど、その幅広い才能でマルチに活躍している。

解禁されたのはランティモス監督に加え、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォーといった名優らがストーンの貢献ぶりを大絶賛すると共に、ストーンが挑んだ主人公ベラを掘り下げた特別映像。人生に絶望し自ら命を絶ったものの、天才外科医ゴッドウィン・バクスターの手によって“生まれたての女性”として奇跡的に蘇ったベラ役について「いままでで一番難しい役だった」と振り返りながらも、俳優とプロデューサーの両面から大胆かつ唯一無二の魅力を放つキャラクターを創り上げたストーンの揺るぎない自信と確かな才能を感じられる映像となっている。

ストーンは「2017年にヨルゴスと構想を練り始めました。“真新しい脳”を持つとどうなるのか」と、この壮大な物語の始まりを振り返る。誰も出会ったことのないキャラクターをストーンと共に掘り下げていったランティモス監督は「ベラという役柄に驚かされました。これまでにない存在です。エマのおかげでより撮影に力が入りました」と、ストーンによって本作に多くのインスピレーションがもたらされたことを明かした。また、ベラというキャラクターについてストーンは「彼女は“あるべき姿”を教えこまれていません。それってすてきなことね」と楽しげに語って見せる。

続けて、ベラを誘惑し外の世界に連れだそうとするものの、徐々に彼女の魅力にのめり込み、翻弄されていく色男の弁護士ダンカンを演じたラファロは「女性が生涯求められるあらゆることに彼女は縛られない。おもしろい展開になります」と彼女の社会の偏見に囚われない純真無垢さが物語を大きく動かしていくことを明かした。

しかし、前代未聞の設定を持つベラを表現することは相当な胆力が必要とされることであり、本作の撮影の裏側について、自宅兼実験室であったゴッドウィンの邸宅でベラを観察していくうちにその魅力に惹かれていくマックスを演じたラミー・ユセフは「エマはすごい。脳の成長はとても微妙なんです。撮影の順番が前後しても彼女は過程を演じ切った。声に加えて体でもね」と、“生まれたての女性”が世界を吸収しながら“自立した女性”へと成長していく様を、ストーンがすさまじい演技力で表現したことを明かし、賞賛の言葉を贈っている。

“女性の自由についての物語“を描く本作では、ダンカンやマックス、そして天才的な外科手術によってベラを蘇生させたバクスター博士といったベラと密接に関係する様々な男性が登場するが、“ベラをコントロールしたいという男性たちの欲望”も1つのテーマとなっている。ベラと男性たちとの関わりについてストーンは「男性たちはそれぞれ独自のやり方でベラをコントロールしようとしますが、彼女はそれを受け入れようともしません。彼女はあまりにも自立しているのです」と語り、ベラは自由のなかで人生に熱意を燃やす存在であることを伝えた。

ストーンと共にプロデューサーとして本作に参加したエド・ギニーは、「エマはストーリーテリングに関してすばらしい素質を持っています。プロデューサーとして、どのように物語を発展させ、どのようにそれをこの世界に生みだすかという点において、彼女は極めて重要な存在です」と、ベラの冒険物語において、役者としてだけでなくプロデューサーとしてストーンの感性や才能が発揮されていることを明かす。

映画界最高峰の才能が集結し、ある女性の大胆な冒険を描いた『哀れなるものたち』。奇跡的に蘇生したベラが、真の自由と平等を見つける旅の果てにどのような結末を迎えるのか。ストーンが惚れ込み、麗しくも大胆に創り上げた本作をぜひ劇場で確かめてほしい。

文/山崎伸子

エマ・ストーンにとって「いままでで一番難しい役」だった『哀れなるものたち』特別映像/[c]2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.