愛する人と結婚し、子供を産んで、家庭を築けば人生安泰……とは限らない。ワンオペ育児、嫁姑問題、夫の浮気など、家族ならではの問題に苛まれることもあるからだ。世の中には、そんな家族のごたごたを描いた作品が少なくない。そしてそれらは総じて、主人公がかわいそうな目に遭うのだが、不思議と読みふけってしまうおもしろさがある。

 そこで、パンチ強めの家族問題を題材にした“ごたごた系漫画”をご紹介。タイトルからインパクト抜群のものを集めてみたので、気になる作品があったらさっそくチェックしてみよう。

  • まとめ記事の目次
  • ●3度目の浮気 ゴミカス旦那よ、覚悟しろ
  • ●義母クエスト ~結婚したらいきなりラスボス戦でした~
  • 血の轍
  • ●子育てしたら白目になりました

●サレ妻の葛藤を描いた『3度目の浮気 ゴミカス旦那よ、覚悟しろ』

3度目の浮気 ゴミカス旦那よ、覚悟しろ
『3度目の浮気 ゴミカス旦那よ、覚悟しろ』(しんどうなつこ/KADOKAWA

 夫婦間を取り巻く問題の最たる例として「浮気」が挙げられる。願わくは対岸の火事であってほしいものだが、ある程度の対応策は頭に入れておいて損はないだろう。最初に紹介する『3度目の浮気 ゴミカス旦那よ、覚悟しろ』は、著者・しんどうなつこ氏がInstagramやブログで4年間にわたって綴った実体験を電子コミック化した作品だ。

 なつこは過去に2度、夫の浮気に悩まされていた。いずれも同じ女性が相手だったが、直接電話して金輪際関わらないように約束させている。さらに夫が土下座した上で夫婦関係の再構築を希望したため、悩んだ末に離婚せず改めて彼を信じることにしたのだが――。

 ところが、1年も経たないうちに3回目の浮気が判明。しかも、相手は以前と同じ女性という裏切りに遭ってしまう。いよいよ堪忍袋の緒が切れたなつこは、ボイスレコーダーなどを駆使して証拠集めを開始。ここからサレ妻の制裁劇が動き出す。

 実体験がもとになっているということでサレ妻の怒りと苦しみが生々しく描かれており、リアルな描写にページを進める手が止まらなくなるはず。大掃除の休憩時間に読んだ日には作業が滞ってしまうかもしれないので、注意が必要だ。

●手に汗握る嫁姑闘争が描かれた『義母クエスト ~結婚したらいきなりラスボス戦でした~』

義母クエスト ~結婚したらいきなりラスボス戦でした~
『義母クエスト ~結婚したらいきなりラスボス戦でした~』(漫画:赤星たみこ、原案:かづ/KADOKAWA

 結婚に嫁姑問題はつきものだ。義母による嫁イビリも、ドラマや漫画だけの話かと思ったら大間違い。衝撃の実話漫画『義母クエスト ~結婚したらいきなりラスボス戦でした~』には、我々の想像をはるかに超えるとんでもない義母が登場する。

 同作はAmeba公式トップブロガー・かづが原案を手がけた嫁姑闘争の回顧録。11歳年上の結城明彦から猛アプローチを受けて婚約した主人公・かづだったが、あろうことか明彦の母に結婚を猛反対されてしまう。両家顔合わせの場でも「結婚するなら親子の縁を切る」と冷たい態度を取られ、これが理由で実父からも結婚を反対されるハメに…。

 しかしそうした逆境に反発するかのごとく、ふたりは結婚を押し進めて新婚生活をスタートさせた。もちろん問題が起きないわけもなく、ここから義母の執拗な嫁イビリが幕を開ける。日増しにエスカレートしていくものの、肝心の夫はまるで役に立たない。それでもかづは自分を鼓舞しながら、“ラスボス”と化した義母に果敢に立ち向かっていくのだった。

 ちなみにかづの嫁姑闘争は、38年間も続いたそうだ。今ではふたりの息子も独立し、夫と猫たちと穏やかに暮らしているそうだが、果たしてどういった経緯で平穏な生活を手に入れたのか。家に居場所がない、老後に希望が持てない…。同作は、そんな悩める主婦にとっての“希望”となるはずだ。

●『惡の華』作者が不安定な母子の関係を描いたサイコサスペンス『血の轍』

血の轍
血の轍1巻(押見修造/小学館)

 家族問題を取り上げた作品は、実話をもとに描いたコミックエッセイだけではない。漫画『血の轍』は、母親と息子の運命の歯車を描いたサイコサスペンス。『惡の華』の作者・押見修造氏が手がけた作品で、人間のマイナスな部分を綿密に描いた作風が多くの読者を魅了している。

 同作の主人公・長部静一は、どこにでもいるような中学生。比較的穏やかな毎日を過ごしていたが、過保護な母・静子によって日常が緩やかに崩れていく。歪みきった親からの愛は、子の人生に何をもたらすのだろうか……。

 いわゆる毒親を取り扱った作品は決して珍しくはないが、『血の轍』のようにひとりの人生を描ききった漫画は数少ない印象。2023年9月に最終巻が発売されたばかりなので、年末年始の時間を使って一気読みしてみてもいいかもしれない。

●子育て中のママなら必ず共感してしまう『子育てしたら白目になりました』

子育てしたら白目になりました
『子育てしたら白目になりました(白目みさえ/KADOKAWA

 誰もが年末年始に休めるとは限らない。子供が生まれたばかりのママにとっては、休みなどあってないようなものなのだ。ラストは、そんな子育てママたちの共感を集めるコミックエッセイ『子育てしたら白目になりました』をご紹介しよう。

 作者・白目みさえは日中に精神科で心理カウンセラーとして働き、家に帰ると子育てに勤しむ年子の母。どこか抜けている旦那は頼りにならないため、毎日“白目”を剥きながら仕事、家事、育児に奮闘している。同作にはそうした激動の日々が綴られており、子を持つ親たちの鬱憤を代弁してくれるような内容が盛りだくさんだ。

 また作中では子育てにまつわる自虐ネタを挟みつつ、臨床心理士・公認心理師として働いている作者ならではのアドバイスも収録されている。娯楽として楽しめるだけでなく、子育てママにとっては育児の参考にもなるかもしれない。

 主人公に同情を禁じ得ない部分がありながらも、ついついおもしろさを感じてしまう家族ごたごた系漫画。他人の不幸を蜜の味にして、有意義な年末年始を過ごしてみてはいかがだろうか。

文=ハララ書房

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