ビジネスシーンでの新規事業や名称決めなどのアイディア出しに煮詰まってしまうことも多いかと思います。そんなとき、「ChatGPT」を活用することで、作業スピードが格段にアップするだけでなく、よりユニークなアイディアをChatGPTが提案してくれます。『AI仕事革命 ‐ChatGPTで仕事を10倍効率化‐』(リチェンジ)の著者で、AI活用コーチとしても活躍する谷口恵子氏が解説します。
100個のアイディア出しも、「ChatGPT」ならすぐに解決
アイディア出しもChatGPTの得意分野です。仕事においてアイディアが求められることは非常に多いと思います。
課題解決策、新規事業、何かの名称やキャッチフレーズなど。しかし、ゼロからアイディアを考え出すのは多くの人にとって難しいのではないでしょうか。
よく「100本ノック」などと言って100個のアイディアを出すやり方もあります。それをやったことのある方ならわかると思いますが、100個のアイディアを出すこと自体、簡単ではありません。
それなりに質を求めれば、何時間も、ときには数日かかります。それをChatGPTはものの数分で出力してくれるのです。ChatGPTに協力してもらうことで、アイディア出しのハードルをグンと下げることができます。
【プロンプトの型】
国内第4位の消費財メーカーである当社(1)が、現在注力している化粧品・シャンプー・リンス以外の分野で成功する可能性の高い新規事業の候補(2)を100個(3)考えてください。
(1)背景情報、自社の状況を記載しましょう。
(2)どのようなアイディアを出したいのかを記載しましょう。
(3)ここでは100個、としていますが、あまりに多い数を指定すると、「申し訳ありませんが、具体的に300個の事業案をリストアップするのは、あまりにも多くの要素を一度に考慮する必要があり、また一部は同じような案になる可能性があります」のように断られる可能性が高いです。ただ、その場合でも、参考になるように一部の案を提示してくれたり、カテゴリを提示してくれたりします。出力があまりに多いと、そこから検討していくのも一苦労なので、最大でも100個くらいにしておくのがおすすめです。
【ChatGPTとの会話例】
(依頼)
第4位の消費財メーカーである当社が、現在注力している化粧品・シャンプー・リンス以外の分野で成功する可能性の高い新規事業の候補を100個考えてください。
(ChatGPTの回答)あなたの会社が新規事業を開拓する際の候補として、以下の分野を提案します。ただし、各候補が成功するかどうかは、多くの要因によるところが大きいです。それらには、市場のニーズ、競争状況、技術的な課題、あなたの会社の能力とリソースなどが含まれます。
美容・健康ドリンク
フィットネス機器
スキンケアテクノロジー(例:AIを使用したカスタマイズされたスキンケア製品)
高齢者向けのケア製品
スポーツニュートリション
マッサージ用具
ヘルスケアアプリ
オーガニック・ナチュラル製品
ベビーケア製品
ホームクリーニング製品
サステナブルなパッケージング
眠りを助ける製品(例:アロマテラピー製品)
エコフレンドリーな製品
ペット用品
機能性ウェア(例:睡眠を改善するパジャマ)
パーソナライズされたビタミンとサプリメント
メンズビューティー・ケア製品
ヴィーガン・ビューティ製品
カフェインフリーの健康的な飲み物
美容と健康をサポートするテクノロジー(例:スマートミラー)
プラントベースの食品
ホームフィットネス機器
体重管理製品
ボディーケア製品(例:バスボム、シャワージェル等)
ヘアケアテクノロジー(例:AIヘアスキャン)
自然派化粧品
ホームデコレーション
スキンケアデバイス(例:顔のクリーニングブラシ、スチーマー)
有機食品
眼科製品(例:コンタクトレンズソリューション)
レディースヘルス製品(例:月経カップ)
ホームガーデニング製品
ダイエット製品
エコフレンドリーな旅行用品
サステナブルなファッション
アンチエイジング製品
アロマテラピー製品
アートとクラフト用品
防犯製品(例:セキュリティカメラ)
(以下省略)
このように1、2分でChatGPTが100個の新規事業アイディアを考えてくれました。
自社の強みなどをもう少し詳細に入力することで、より実現性の高い新規事業の案を考えてくれますので、プロンプトはぜひ工夫してみてください。
さらに、この100個の中で、現在の主力事業との相乗効果が高い順番に10個選んで、どのように相乗効果を出せるかを表形式でまとめてもらいましょう。
【ChatGPTとの会話例】
(依頼)この100個の中で、現在の主力事業との相乗効果が高い順番に10個選んで、どのように相乗効果を出せるかを表形式でまとめてください。するとこのように10個のアイディアを選んで、どのような相乗効果を出せるのかを説明してくれます。
ただ一覧にしてもらうだけでなく、ChatGPT自身に評価をしてもらい、自信のある順に並べてもらう、といったこともできます。
ユニークなアイディアを出したいときは…
アイディア出しの手法は色々ありますが、何かと何かを掛け合わせる「掛け算発想法」というものがあります。それぞれはありきたりなものでも、掛け合わせることで、ユニークなものになる可能性があります。
例えば、新商品を考えるにあたって、ChatGPTに掛け算発想法を使って案を出してもらいましょう。
【プロンプトの型】
過去のヒット商品のコンセプトと、新しいテクノロジーの組み合わせ(1)で、前代未聞の先進性のあるユニークな商品案(2)を10個作ってください。
(1)何と何を掛け合わせるのかを記載しましょう。
(2)どんな案が欲しいのかを記載しましょう。
【ChatGPTとの会話例】
(依頼)過去のヒット商品のコンセプトと、新しいテクノロジーの組み合わせで、前代未聞の先進性のあるユニークな商品案を10個作ってください。
(ChatGPTの回答)もちろんです。新しいテクノロジーと既存のヒット商品のコンセプトを融合させて、10の新しい製品案を考えてみましょう。
1.ARフィットネス・トラッカー:人気のフィットネス・トラッカーにAR(拡張現実)技術を組み合わせ、リアルタイムで体調や運動パフォーマンスを視覚化します。
2.スマート空気清浄植物:空気清浄機能を持つ植物にセンサーを組み込み、空気の品質をリアルタイムでモニタリングし、必要に応じて浄化を行います。
3.AIバーチャルペット:AI技術を活用して、リアルな反応と行動をするバーチャルペット。ユーザーの気分や行動を学習し、共感的な反応をします。
4.スマートメイクアップキット:ユーザーの肌色、顔の形、好みに基づいて、AIが最適なメイクアップ方法を提案する。
5.3Dプリントフードメーカー:ユーザーが設計したカスタムメニューを作ることができる3Dフードプリンタ。
6.AIレシピクリエイター:あなたの冷蔵庫の中身をスキャンして、利用可能な食材を最大限に活用するためのレシピをAIが提案します。
7.インテリジェントなスリープトラッカー:あなたの寝ている間の心拍数、呼吸、眠りの深さを追跡し、最適な目覚めの時間を提案します。
8.AI搭載家具:ユーザーの生活スタイルや体型に合わせて調節可能な、AI搭載の家具。
9.スマート・ミラー:日々の健康状態、睡眠パターン、栄養状態を分析し、パーソナライズされたビューティーと健康アドバイスを提供する鏡。
10.スマートトイ:子供の成長と学習能力に適応するAI搭載の教育用トイ。
このように、様々な面白いアイディアを出してくれました。ユニークさが足りないと思うときには「もっと奇抜な商品を考えてください」という追加のリクエストを出すこともできます。また、この中でピンと来たカテゴリや方向性のアイディアがあれば、「10のような教育用の新商品をもう10個考えてください」のように追加リクエストを出すこともできます。
【ChatGPTとの会話例】
(依頼)
10のような教育用の新商品をもう10個考えてください。
(ChatGPTの回答)もちろんです。教育に役立つ新たな製品案を10個考えてみましょう。
1.AIチューター:生徒の学習スタイルと進度に合わせてパーソナライズされた教育プログラムを提供するAIチューター。
2.VR実験キット:化学や物理学の実験を仮想環境で安全に体験できるVRキット。
3.AI作文アシスタント:ユーザーの文法、語彙、文体を改善し、より洗練された作文を作成するのを支援するAI技術。
4.AR歴史ツアー:過去の歴史的事件や文化を体験できるARアプリ。
5.スマートマジックペン:書かれた文字や図をデジタルデータに変換し、その場でフィードバックを提供するペン。
6.モバイル言語学習アプリ:AIを利用して、ユーザーの学習進度に基づいたパーソナライズされた語学学習経験を提供するアプリ。
7.AI音楽教師:楽器演奏のテクニックを分析し、改善点を提案するAI教師。
8.インタラクティブ地球儀:地理情報を詳しく視覚化し、リアルタイムで地理情報を更新するスマートな地球儀。
9.スマート絵画キット:絵画のテクニックを学び、自動で改善提案を行う絵画キット。
10.AR生物学学習キット:動物や植物の解剖学、生態系を体験学習できるARキット。
このようにChatGPTによるアイディア出しも一回リクエストして終わりではなく、対話をしながらどんどん自分のピンとくるものに近づけていきましょう。
谷口 恵子
AI活用コミュニティ
代表
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