2024年、いよいよ阪急電鉄で初となる有料座席指定車両「プライベース」が運行開始となります。関西私鉄各社にも徐々に変化が訪れるなか、どのような一手になるのでしょうか。

阪急初の有料座席指定車両

2024年夏、いよいよ阪急電鉄で初となる有料座席指定車両「プライベース」が運行開始となります。阪急京都線の特急・通勤特急・準特急で導入されます。

関西の有料車両といえば、長らく近鉄特急や南海特急、JR特急くらいしかありませんでした。これらは特急列車として、1便そのものが特急料金を払って乗るもの(一部の併結車のぞく)でした。しかし首都圏の通勤電車に連結されているグリーン車のように、「一部車両が有料座席」というスタイルが徐々に関西でも増えています。

まず京阪が2017年に「プレミアムカー」を運行開始。2019年にはJR西日本新快速の一部指定車両「Aシート」を導入。2023年には大和路線快速列車にも「うれシート」をデビューさせています。

阪急阪神グループでは、まず阪神が2022年12月~2023年1月に座席定員制の有料臨時列車「らくやんライナー」を試験運行したほか、阪急もそれに先駆けて有料座席指定サービスの導入を告知。2022年12月のダイヤ改正で「快速急行」を「準特急」へ名称変更し、下準備を整えていました。

「プライベース」料金は? いつ乗れる? 何がすごいの?

「プライベース」は各車両のうち1両に組み込まれます。現在の特急用車両「9300系」と、2024年夏にデビュー予定の新型車両「2300系」が対象。位置はそれぞれ、大阪方面から4両目です。

2024年夏の開始時点では、運転頻度は「1時間あたり2~3本」です。そこから新車の導入や既存車の改造が進んでいき、2025年ごろには「1時間あたり4~6本」となる予定です。

予約は専用ウェブサイトからおこないます。料金はまだ発表されていません。

気になる「特別車両」のビジュアルですが、ドアは左右1か所ずつしかなく、しかも車両の中央に位置するという、かなり異色のデザインです。ドア窓も普通の四角形ではなく、ひし形を縦に割って左右扉に配置するデザインで、やはり目を引きます。

中に入るとデッキがあり、両側に有料座席の区画が配置されている構造です。座席は緑色で、ひじ置きからデッキ、ドア内壁にいたるまで、内装はシックな木目調が採用されています。

京阪、JR、阪急が並行する京阪間では、京阪が「快速特急 洛楽」で京阪間ノンストップという魅力を前面に打ち出し、さらに「プレミアムカー」を連結。JRも新快速で「Aシート」を導入する一方で、阪急は、無料ながら観光列車のような豪華絢爛の内装で度肝を抜く観光特急「京とれいん 雅洛」を投入するなど、競争が激化していました。

座席指定車両による「プレミアムな移動」では、私鉄のライバル京阪に先を越された阪急でしたが、またしてもライバルに対する新機軸の強みを打ち出してくるのでしょうか、楽しみです。

座席指定車両が投入される阪急9300系電車(画像:写真AC)。