球界でも指折りの頭脳派投手として知られる大竹。インタビュー中も言葉を選びながら、自らの考えを丁寧に説明してくれた。(C)CoCoKARAnext

 現役ドラフトでの阪神入りから日本シリーズ制覇まで駆け抜けた大竹耕太郎

 キャリアの転機とも言える1年を技巧派左腕は、どのように過ごしたのか? その時々で感じたこととは? 『CoCoKARA Next』が行った単独インタビューを3回に分けてお送りする。

 最終となる第3回は2024年の目標、オフシーズンの過ごし方について語ってもらった。

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 ブレイクを遂げ、より一層の注目を集める2024年の目標を訊くと、大竹は淀みなく答えた。

「昨年に関しては投球イニングが131回2/3。先発として一つ評価されるのが、規定投球回数以上投げることなので、昨年は体調不良とかで登板が何試合か飛んだりして、それがなかったら行っていた感じではあるんですけど、そこは次に向けての課題」

 昨季のセ・リーグで規定投球回に到達した投手は12人いる。阪神では村上頌樹(144回1/3)、伊藤将司146回2/3)の2人。大竹は彼らに肩を並べ、追い越すべく、イニング数への並々ならぬこだわりを語る。

「やっぱりイニングですね、一番は。イニングを投げられるということは、それなりの結果も出しているということなので、143回と言わずに少しでも多く上積みできるように。自分の中では今年投げた試合でプラス1イニング、というイメージですね。

 だいたい1年で20数試合投げるので、1イニングずつ増えれば、投球回が20回以上増える。そうなれば昨年でも150イニング以上投げた計算になるので、自分の当たり前に投げられる閾値(しきいち)を上げていく。6回投げて『ああよかった、代えられた』ではなくて、8回ぐらいいくのが普通になっていく感じですね。あわよくば完投、悪くても7回。それくらいの基準にしていきたいと思います」

 掲げた目標に達するためには、オフの過ごし方も重要になる。大竹は「1月は和田毅さん(ソフトバンク)の自主トレに参加します。次でもう3回目なんですけど。1回目は参加させてもらって、2回目でより深められて、もう3回目なので。年々和田さんの考え方だったり、トレーニングも理解が深まってきました」と明かした。

「僕のイメージでは勉強もそうだと思うんですけど、こう(ググッとグラフが)上がっていく。そこの頂点につながるような感じです」

「和田さんは変化を恐れない」。尊敬してやまない先輩左腕への憧れ

 大竹にとって、和田は早稲田大の大先輩かつ、ソフトバンク時代のチームメイトでもある。40歳を超えても一線級として活躍を続けるレジェンド左腕への憧れを隠さない。

「和田さんは変化を恐れない。毎年何か新しいものを取り入れる。僕だったらあんな結果出していたら新しいものを取り入れるのを考えちゃうと思うんですけど、現状で勝負せず書き換えていくというか。そういったものはすごく感じますし、20歳になっていないような選手からピッチングの話を聞いたりされていますし、変なプライドもないし。その辺は見ていて向上心というか、すごいなと思いました。自分もそうありたいなって」

 尊敬してやまない先輩の“イズム”を受け継ぎながら、大竹は吸収したものを自分にも落とし込む。

「昨年結果を残したからといって、それを基準に考えるんじゃなくて、今年は今年という意識で行きたいなと思います。自分のピッチングがこうだ、と言うのを全部取っ払って考えたい。野球のトレーニングじゃなくて、他の種目のトレーニングだったり、そういったものも取り入れたいと思いますし、常識から逸脱していくというか。そういうイメージですかね」

 プロ野球選手は一軍で3年やれば「一流」とも言われる。そう考えると、大竹はブレイクの1年目が終わったところだ。2年、3年と実績を積み重ね、これからのプロ野球人生が長くなるためにも、今オフの動きは非常に重要となる。インタビュー中に感じさせた決意を聞くに、今年は、また新たな大竹の姿を見せてくれそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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