昨年は東武の新型特急N100系スペーシア X」、Osaka Metro400系」、宇都宮ライトレール「HU300形」など個性的な車両が次々登場しました。2024年はどんな車両が登場するのでしょうか?

山形新幹線用の新型車両「E8系」が登場!

山形新幹線新型車両「E8系」(写真:pk926/PIXTA)

2024年3月のダイヤ改正を機に山形新幹線用の新型車両「E8系」が登場します。

外観のカラーリングは「おしどりパープル」と「蔵王ビアンコ」の2色に「紅花イエロー」の帯を挟み、E3系の地域に根差したイメージを引き継ぎます。

従来のE3系と比較すると、宇都宮―福島間の営業速度が最高300km/hにアップ。東京~新庄間で最大4分の所要時間短縮が実現します。E8系は全席にコンセントを設置しており、車いすスペースなどバリアフリーにもばっちり対応しています。

特急「やくも」に新型振り子車両

特急「やくも」用新型車両「273系

現在は国鉄型の「381系」で運転している特急「やくも」ですが、2024年4月6日から新型の「273系」が投入されます。

273系」は山陰線伯備線を意識した、自然に映える「やくもブロンズ」の車体が目を引く車両。国内初の「車上型の制御付自然振り子方式」を導入することで乗り心地を改善し、岡山からの新幹線乗り換えを違和感なく行えるようシートピッチを広げるなどの工夫も。座席もグループ向けのコンパートメント席など様々なものを揃えており、ビジネスや観光など多様化する需要に対応します。

1982年伯備線電化にともない特急「やくも」に投入された国鉄型の「381系」は順次運行を終了します。JR西日本は「273系」の投入完了後(6月末ごろに全15往復の置き換えが完了予定)も一部列車でゆったりやくも色の「381系」を使用する場合があるとしていますが、現行の国鉄色スーパーやくも色、緑やくも色は見納めです。

阪急電鉄の11年ぶり新型「2000系・2300系」

阪急電鉄の新型車両「2300系」イメージ(画像:阪急電鉄

阪急電鉄京都線の新型特急車両「2300系」、神戸・宝塚線の新型通勤車両「2000系」を新造投入し、2024年夏から順次運用を開始します。車両のモデルチェンジは2013年以来11年ぶり。

車体カラーは伝統のマルーン色、車内も木目調の化粧板やゴールデンオリーブ色の座席といった「阪急電車」のイメージを継承するデザインに。座席については「2300系」はセミクロスシート、「2000系」はロングシートとなります。

「2300系」には阪急初の有料座席指定サービス「PRiVACE」も導入。当面は専用のWEBサイトから列車と座席を選んで予約し、座席指定料金を追加して乗車するかたちです。

近鉄は「新型一般車両」導入

近鉄の「新型一般車両」イメージ(画像:近鉄)

大手関西私鉄の近鉄は昭和40年代に製造した車両約450両の置き換え計画を進めています。

2024年秋には「新型一般車両」(4両×10編成)を導入予定。発表されたのは2022年ですが、当時から大きな話題を呼んでいました。同社における新型の一般車両の導入は、2000年のシリーズ21車両以来のことです。

鮮やかな赤が目を引く車体に、座席はロングシート・クロスシートを切り替えるL/Cシートを採用。車内のデザインは花柄の座席表布や木目調の壁などを使用した明るく優しい雰囲気に。

空港線・箱崎線に新型を投入

福岡市地下鉄の新型車両「4000系」イメージ(画像:福岡市交通局

福岡市地下鉄では空港線箱崎線に2024年秋ごろ新型車両「4000系」を投入。老朽化した「1000N系」を置き換えます。

外観デザインは「1000N系」「2000N系」で採用されている「ブルーのライン」を継承しており、さらに車体中央に「空の玄関口」福岡空港と希望の未来をイメージしたスカイブルーを新たに配置。

座席幅は480mmとなるようで、通勤車としては国内最大となる模様です。また営業列車としては世界で初めて「同期リラクタンスモーター」を採用するということで、技術面でも注目を集めます。

仙台市営地下鉄は「3000系」で既存車両置き換えへ

南北線用新型車両「3000系」(写真:仙台市交通局

仙台市営地下鉄では南北線用に新型の「3000系」をいよいよ投入。秋ごろに運用を開始し、既存の「1000N系」を順次置き換えていきます。

車体の外観は「1000N系」同様に先頭形状を「くの字」型としており、「杜の都」をイメージした「グリーン」をラインカラーとします。内装もホワイトやグリーン系に仕上がっており、デザイン面から「1000N」系の継承車であることも伝わってきます。

既存車両を改造・投入、新たな「03系」ファミリーも

上毛電鉄は2月に元日比谷線車両を投入(画像:上毛電鉄)

上毛電鉄では東京メトロ日比谷線で運用されていた「03系」を改造し、パステルブルーが目を引く「800形」として2024年2月下旬をめどに運行を開始します。

元「03系」ファミリーも増えてきましたが、上毛電鉄では2両編成で運行、元京王電鉄3000系700形を置き換える予定です。

銚子電鉄に元南海の車両

銚子電鉄での新車両として活躍をすることになる 南海電鉄「2200系」車両(写真:銚子電鉄

昨年夏にビッグニュースとなったのが銚子電鉄の「新車両」。元南海電鉄の「2200系」を譲受しており、これを改造して投入する予定です。

改造費用を集めるために「古着 de ワクチン」とコラボした応援パッケージも販売中。購入者限定で貸切車両の招待券などが貰えるそうです。

JRは既存車両を改造し観光列車を投入

既存車両からの改造になりますが、JR東日本JR西日本JR九州がそれぞれ新たな観光列車の運用を予定しています。

JR東日本が投入するのは、ハイブリッド気動車「HB-E300系」の元「リゾートあすなろ」を改造した「SATONO」。同じように「リゾートあすなろ」を改造した「ひなび(陽旅)」は2023年12月にデビューしていますが、「SATONO」は2024年春ごろ登場予定です。

JR西日本は特急「はまかぜ」などに使用される「キハ189系」を改造した観光列車「はなあかり」を2024年10月頃に投入。最初は「北陸デスティネーションキャンペーン」にあわせ、敦賀~城崎温泉駅間を結ぶコースで運行します。第2弾はまた別のコースとなり、「季節ごとに西日本各地のとっておきに出会う旅を提供する」車両となるのだとか。

まだ具体的なデザインイメージは出ていませんがJR九州も2024年春の福岡・大分デスティネーションキャンペーンにあわせ特急「かんぱち・いちろく」を投入。

使用車両はキハ47、125、47の3両編成で、キハ47は「いさぶろう・しんぺい」の車両を改造したものです。これまでのJR九州のD&S列車とは異なり、株式会社IFOOが列車のデザインを手がけます。

このほかにも、まだ運行予定が公表されていないものの、2024年内に走り始めるのではないかという車両も控えています(京都丹後鉄道のKTR8500形など)。今年も鉄道業界から目が離せません。