ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!

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2024年最初の今回は、僕たち清掃員が「こうやって捨ててくれるとメチャクチャありがたい」って思う、"神ゴミ"を紹介しようと思います。

まずは僕がよく言っていることですが、「ゴミ袋同士を全部ひもで結んでつなげてあるもの」です。こうしてくれるとバラバラにならずに回収しやすいですね、いっぺんにいくつものゴミ袋を運べるのも助かります。ゴミ袋を一度にたくさん出すときには、捨てる人も楽なんじゃないでしょうか?

あと、「竹串を汚れたペットボトルの中に入れてあるもの」。竹串はゴミ袋を突き破ってしまうので、こうやってまとめてもらえると助かります。汚れたペットボトルはリサイクルにも出せないので、使い方としてもちょうどいいですよね。

他にもあって、画びょうを大量に捨てるときに、そのまま不燃ゴミに出しちゃう人がいるんですけど、これも竹串と一緒でゴミ袋を突き破るので危ないです。そこで、電化製品の梱包材とかに入ってる発泡スチロールに刺して出してくれている人がいます。こういう心遣いがあると本当にありがたいです。

アイスピックや剣山とかもそのまま捨てられていることがありますが、何かしらのカバーやケースに入れて出してほしいです。包丁も危険ですから、刃の部分をダンボールとかで保護してもらえると安全です。

包丁をダンボールでくるむと、燃えるゴミ燃えないゴミが混ざっちゃうから良くないんじゃないか?って思う人がいるかもしれませんが、清掃員がケガをしちゃうほうが大変ですから。ちゃんと保護して出してもらえる方がありがたいんです。

そこまで手間をかけるのはちょっと......という方は、ケガする可能性のあるものが入ってる場合は、ゴミ袋に「○○が入ってます」とか、中身を書いてもらえるだけでも嬉しいです。 

ゴミ清掃員にとって何が怖いかって、袋の中身が分からないことなんです。バラエティ番組でよく見る「箱の中身を当てるゲーム」じゃないですけど、毎回それをやってるような気分になります。小麦粉かな?と思ったら農薬だったり、お茶が入ったままのペットボトルと思ったら中身が尿だったり(苦笑)。

最近はゴミ袋に中身を書いてくれる人も増えています。「コードが入ってます」とか、「壊れた傘が入ってます」とか、この前は英語で「BROKEN GLASS(割れたガラス)」 って書いてあるのもあって、海外の人にも伝わってきてるんだと思って嬉しかったですね。

おそらく海外の方がこんな心遣いを。うれしい!
おそらく海外の方がこんな心遣いを。うれしい!

■誇りをもって働くことができる

清掃員にとってありがたいゴミの出し方って他にもあって。ペットボトルはラベルとキャップを取ってくれるとありがたい。キャップは取っておかないと空気が抜けないので、圧縮したときにつぶれないんですよ。そんなときは僕たちが手動で外さなきゃいけない。キャップは外して、プラスチックとしてゴミに出して下さい。

あとは古紙回収でダンボールや新聞、雑誌を出すときは、それぞれ分けて出してほしいですね。段ボールのなかに新聞や雑誌を詰めて出す人がいるんですけど、それもこっちで分けなきゃいけないんです。

ヒモで縛るときもしっかり縛って下さい。縛りが緩くて中身が飛び出しちゃうことが結構あります。あと、一度にたくさんまとめすぎないこと。ほどほどの量で縛るのが、上手に縛るコツですね。

ごくたまに、ゴミ袋に「いつもありがとうございます」みたいなメッセージを書いてくれる人がいます。この仕事を始めたばかりの人はそうでもないかもしれませんが、昔は職業差別みたいなものが結構あって、僕なんかはそれを経験しているので、優しい言葉は本当にありがたいなと思うんです。

「袋にメッセージを書きましょう」って言い出したのは小泉進次郎さんなんですよ。最初はどこかのインタビュー記事で「それよりもっと給料を上げてくれ」みたいな意見も見かけましたが、やっぱり感謝の言葉が書いてあると僕たちは嬉しいですね。誇りを持って仕事できるというか。給料を上げる話は別の機会に違う場所でしっかりやらないと意味がないと思うんで、言う場所が違うと個人的には思います。

まあ、そこまでしなくても構わないですが、少なくとも中身が分かるように、清掃員がケガをしないように、そして分別してから出してくれれば、それは十分に"神ゴミ"ですよ。

※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。

イラスト/北村ヂン

【画像】これが「神ゴミ」だ!

こうやって捨ててくれる人は神!