北陸新幹線の金沢~敦賀間の開業に向けた準備が進んでいます。敦賀駅福井駅など、延伸区間の駅は個性的な構造が特徴。並行在来線も大変貌しそうです。

開業に向けた準備が着々と進む北陸新幹線

相鉄・東急直通線宇都宮ライトレールの開業など、多くの動きがあった2023年の鉄道。いよいよ2024年春に金沢~敦賀間の延伸開業を迎える北陸新幹線でも、多くの動きがありました。

北陸新幹線の延伸区間となる金沢~敦賀間の距離は約125km。石川県内に小松駅加賀温泉駅福井県内に芦原温泉駅福井駅越前たけふ駅敦賀駅の計6駅が設けられます。このうち、越前たけふ駅は他路線と接続しない単独駅となります。

敦賀駅は、整備新幹線で最大規模となる要塞のような駅舎が特徴。高さは約37mもあります。新幹線在来線特急の円滑な乗り換えを実現するため、3階の新幹線ホームと1階の特急ホームを結ぶエスカレーターやエレベーター、改札が多数設置される点も注目です。

いっぽう県都の福井駅は、新幹線駅では「国内最小」の類を見ない構造になりました。通過線もなく、1本だけの島式ホームの左右に上下線の列車が発着する非常にシンプルな構造です。そのホームや、ホームにつながる階段は、東京方面・敦賀方面それぞれへ向かう乗客が共用することになります。

一般的に新幹線は、各駅停車しか停まらない駅でも、2面2線の相対式ホームという構造が多数を占めます。上下本線のあいだに通過線や待避線があるためです。純粋に線路が2本だけ、ホームが1本だけという新幹線の駅は、福井駅が初めてとなります。

駅だけでなく、「日本初スポット」や「鉄道ビュースポット」も誕生します。福井市九頭竜川に整備された「新九頭竜橋」は、日本初となる新幹線と道路の併用橋になります。また、北陸新幹線の車両基地「白山総合車両所」の隣接地には、新幹線を間近で見学可能な複合施設が開業します。

開業後のダイヤはどうなる?在来線は大変貌

整備主体の鉄道・運輸機構は2023年9月、全駅の駅舎工事が完了したと発表。同月には、JR東日本新幹線用検測車両「East-i」(イーストアイ)と営業運転で使用されるW7系が初入線し、11月には速度向上試験で最高速度260km/hを達成しています。

12月に入り、延伸区間の施設が鉄道・運輸機構からJR西日本に移管されるなど、開業に向けた準備が着々と進んでいます。JR西日本は、敦賀延伸用としてW7系を11編成増備するとしています。

開業後、東京~敦賀間では「かがやき」9往復、「はくたか」5往復の計14往復が運行されます。このほか「つるぎ」が富山~敦賀間に18往復、金沢~敦賀間に7往復設定される予定です。

かがやき」は9往復のうち、5往復が延伸区間では福井、敦賀のみに停車。東京~福井間の所要時間は最速2時間51分、東京~敦賀間は最速3時間8分となります。芦原温泉や越前たけふに停車する便も設定されます。

現在、大阪~金沢・和倉温泉を結ぶ特急「サンダーバード」や、名古屋~金沢を結ぶ特急「しらさぎ」は、それぞれ敦賀までに運行区間を短縮。北陸新幹線へのアクセス特急に変化し、これらの在来線特急は「つるぎ」と接続する形になります。

新幹線の延伸開業により、並行するJR北陸本線第三セクターに転換されます。金沢~大聖寺間は「IRいしかわ鉄道」に、大聖寺~敦賀間は「ハピラインふくい」として再スタートを切る予定。かつて米原~直江津の全長353.8kmを誇った大幹線の北陸本線も、来春以降は米原~敦賀間のわずか45.9kmだけが残ります。

北陸新幹線の車両(画像:写真AC)。