吉川の果たす役割に注目が高まりそうだ(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 阪神が38年ぶりの日本一を決めた2023シーズンが終わり、野球界はすでに各球団がV奪回を目指し、動き始めている。

 注目は阿部慎之助新監督率いる巨人にもある。球団創設90周年の今季、3年連続V逸となっている中、若き指揮官がどんなタクトを振るうのか。G党が胸を躍らせるシーズンとなりそうだ。

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 すでにオフに入ってからはソフトバンクと交換トレードで高橋礼投手、泉圭輔投手、オリックスから金銭トレードで近藤大亮投手と2件のトレードをまとめ、阪神からは現役ドラフト馬場皐輔投手、さらに守護神経験も持つカイル・ケラー投手を獲得と課題のブルペン強化にも励んでいる。

 そんな中で、V奪回に臨む2024バージョンの新打線にも注目が高まっている。まず鍵を握るのは、1、2番打者にもある。近年の巨人ではリードオフマンを固定できず、苦しんできた。チームの顔ともいうべき、1番にはドラ1・浅野翔吾の勢いを買いたい。昨年、東京ドーム初見参となった試合のずっこけぶりも話題に。一方ルーキーイヤーは一軍では24試合に出場、打率・250、1本塁打、2打点。8月18日の広島戦(マツダ)で放った豪快なプロ初アーチも話題を呼んだ。前向きで明るいキャラクターは先輩ナインからも支持されている。

 そして同じく大事な2番打者には昨年大ブレイクを果たした門脇誠に期待したいところ。開幕当初は堅守で存在感を示したが、シーズン後半戦に入ってからは打撃でも対応力を見せた。ルーキーイヤーから126試合に出場し、打率・263、3本塁打、21打点。11盗塁を記録と足が使えることも大きい。若い1、2番が躍動すれば、チームに勢いがつくことは間違いない。

 また下位打線では、8番打者に注目したい。日本一を果たした阪神では、「恐怖の8番」として知られた木浪聖也の存在が他球団を苦しめた。下位に勝負強い打者を置くことで上位打線にもスムーズにつながり、粘りのある打線を構築できたことがリーグ優勝、日本一への大きな要因になったとされる。

 その意味では吉川尚輝に期待したい。鉄壁の守備で知られ、本来は上位打線の人材として毎年、期待を集めているが、なかなか力を発揮しきれていない。ここはプレッシャーを減らす意味でも8番に置き、下位から打線に流れを持ってくる役割を任せるのも一考か。

 もちろん、打線の中軸を務めるのは今季も主砲の岡本和真である。2023シーズンは41本塁打を放ち、自身3度目の本塁打王のタイトルを獲得。岡本和と勝負せざるをえないような強力なクリーンアップ形成も大事となる。3番が想定される坂本勇人とともに、5番に誰を置くかも注目となりそうだ。

 23年はチーム打率(・252)、チーム本塁打164本塁打)ともにリーグトップを誇りながら、2年連続となる4位に沈んだ。「あと1点」を奪えない個々の勝負弱さからの脱却も大きなテーマとなる。現役時代は常勝軍団の4番を務めるなど、「打てる捕手」としてその名を知られた阿部監督がどんなエキスを選手たちに注入していくのか。チーム浮上の手腕に注目が高まる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

巨人でも「恐怖の8番打者」が誕生するか V奪回を目指す2024打線展望