集英社は5日、1981年より『週刊少年ジャンプ』にて連載されている『キャプテン翼』(高橋陽一・著)が、漫画としての連載を今年4月に終了することを発表した。なお、今後については、ネーム等の形で制作を継続していくものの、詳細は決定次第発表すると併せて伝えている。

 今回の発表によると、1981年に『週刊少年ジャンプ』にて連載が開始されて以降、世界中で愛されてきたサッカー漫画の金字塔『キャプテン翼』が、4月初旬発売予定の『キャプテン翼マガジンvol.20』の掲載話をもって最終回とするとのことだ。背景には、体力の衰えや執筆環境の変化により漫画を描くことが困難なっている現状があり、今後はネームのような形で制作を継続することも明らかにしている。

 漫画としての連載終了に伴い、作者の高橋陽一氏は以下のようにコメントを残している。

「いつも『キャプテン翼』を応援していただき、ありがとうございます。1981年に「週刊少年ジャンプ」で『キャプテン翼』の連載を始めてから2024年で43年目になります。ここ数年、この先の物語をいったいどこまで描けるのか、ずっと考えていました。そして今回、最後まで連載にこだわり体力の限界まで“漫画”を描き続けるよりも、連載をやめ『キャプテン翼』の最終回までの“物語”を残す決断をしました。今、頭の中には『キャプテン翼』の一応の目安の最終回までの構想があります。現在、『キャプテン翼マガジン』で連載中のオリンピック編『ライジングサン』の、その先のシリーズまで含めてです。ですが計算すると、この構想をすべて漫画化するにはこの先40年以上かかってしまうかもしれません。それを実現させるのは現実的ではないと感じた一方、たとえばネーム(漫画制作の元となる絵コンテのようなもの)などの形で“物語”を残すことだけに集中すればできるかもしれない、と思いつきました」

「これまで、身体は大きな病気をすることもなく、現在も健康状態は維持できていると思います。ただ年齢も60を超え、「週刊少年ジャンプ」や「週刊ヤングジャンプ」で週刊連載をしていた頃と比べると、老眼やめまいなどに苛まれ、だいぶ身体にガタがきていることもたしかです。そういった体力の衰えと、昨今のデジタル化の波による執筆環境の変化などにより、以前より漫画の執筆ペースは落ちてきました。さらに2020年から猛威を振るった新型コロナウイルスの感染拡大により、スタッフ体制の維持も困難になりました。そして僕が漫画家を目指すきっかけであり、一番の憧れであり、目標だった水島新司先生の訃報が飛び込んできたことも考えさせられる契機になりました」

「簡単にできる決断ではありませんでしたし、いつも『キャプテン翼』を楽しく読んでくださっている読者の皆さんには残念で寂しい思いをさせてしまうかもしれませんが、この決断を理解していただければと思います。ここで伝えきれない正直な思い、決断に至った経緯などの詳細は 1月5日発売の『キャプテン翼マガジンvol.19』に綴らせてもらいました。現在同誌で連載中の『キャプテン翼ライジングサン THE FINAL』、そして『キャプテン翼MEMORIES4 最強!!明和FC 伝説』は、4月初旬発売予定の『キャプテン翼マガジンvol.20』の話をもって最終話とさせていただきます。そして『キャプテン翼マガジン』も、このvol.20をもって最終号となります。今はまず、連載の最終回までの原稿を全力で描き切ろうと思っています。どうか最後までおつきあいください。『キャプテン翼』の今後の物語については、発表の方法や場所が決まり次第お知らせしますので、お待ちいただきたく、よろしくお願いします。 漫画家 高橋陽一

 高橋陽一の著『キャプテン翼』は、サッカーの天才少年・大空翼を主人公に、そのチームメイト、ライバルたちの成長を描くスポーツ漫画。『週刊少年ジャンプ1980年18号に読切作品として掲載されると、同誌81年18号から連載が開始。2020年からは発表の場を『キャプテン翼マガジン』に移している。またコミックスは、全世界でシリーズ累計発行部数9,000万部以上で、テレビアニメーションやゲームなどメディアミックス展開もされ、世界の50以上の国と地域で流通。ネイマールキリアン・エンバペといったスーパースターも、同作品のファンであることを公言している。

漫画としての連載が今年4月に終了することが決定 [写真]=高橋陽一/集英社