太田と佐藤のデッドヒートは話題を呼んだ(C)産経新聞社

 2024年箱根駅伝(1月2、3日)は「駒大1強」の下馬評をくつがえし、青学大が2年ぶり7度目の総合優勝を飾った。4年ぶりに声出し応援が解禁され、沿道に98万人の観衆が詰めかけた第100回大会を振り返り、主な名場面をピックアップした。

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◆ランニングデート
 大会最大のハイライトが3区の首位争い。青学大・太田蒼生(3年)がトップを走る駒大・佐藤圭汰(2年)に7キロ地点で追いつくと、18キロすぎまでデッドヒートが続いた。SNS上では「ランニングデート」がトレンド入り。先着した太田が59分47秒と歴代2位の好タイムで区間賞を獲得し、佐藤も区間2位。ハイレベルな名勝負を繰り広げた。

 「ランニングデート」は、96回大会(20年)2区で東洋大・相沢晃と東京国際大・伊藤達彦が並走して互いに力を発揮したことが由来。社会人入り後も2人の熱戦は続き、箱根前日のニューイヤー駅伝でも並走して話題になっていた。

◆速すぎる青学大
 青学大が大会新の10時間41分25秒で優勝した。とくに3人が区間賞だった往路新記録のタイムは、従来を3分近く更新。2位駒大に2分38秒の差をつけた。復路も一人旅で、駒大との差を6分35秒に広げ、独走した。

 ここ10年で7度目の優勝と大学駅伝界のトップを走る原監督は「5000メートル平均14分00台はギネス級」とスピードと選手層に自信を見せていただけに、史上初の大学駅伝2年連続3冠を狙った駒大をねじ伏せての完勝だった。

◆優勝候補の誤算
 駒大は序盤リードして逃げ切りを図る計算が狂った。1万メートルの持ちタイムが出場選手トップの佐藤が3区で首位交代を許し、4区以降はリードを広げられた。藤田監督は「今季ずっと先頭を走ってきたので、後手に回って動揺した。箱根は他の駅伝とやはり別物」と肩を落とした。

 優勝候補の一角だった前回2位の中大は13位に終わり、シード落ちした。12月下旬の直前合宿で風邪が蔓延し、エントリー16人中14人が体調不良に見舞われていた。3年連続区間賞を狙った吉居大和(4年)の2区15位など、まさかの展開に藤原監督は「棄権も考えた。監督のミスでつらい思いをさせた」と責任を背負った。

◆同タイム珍事
 11位東海大と12位国士館大が「11時間1分52秒」の同タイムになった。同タイムの場合、規定で「順位決定は区間上位者数の多少による」とされ、それぞれの最高順位は東海大が1区「5位」、国士館大は5区「7位」で、東海大が上回った。

 往路優勝の青学大から10分以上離された史上最多タイ16校が復路6区で一斉スタートした。見た目の走る順位と、実際の順位が違うため、選手もテレビ視聴者も混乱。東海大と国士館大は別々にゴールし、繰り上げタイムを加算して同タイムに。シードに1分10秒届かなかったが、もし10位で並んでいた場合は、まさに天国と地獄だっただろう。

◆外国人留学生ブレーキ
  チームの救世主となるべき外国人留学生が軒並み不振だった。大東大エースの8区ワンジル(3年)は2年連続区間最下位と失速した。予選会トップの日大キップケメイ(1年)は区間10位で、順位を4つ落とした。出場全7人で、城西大3区キムタイ(2年)の3位が区間最高順位だった。

 助っ人が初めて箱根路を駆け抜けた65回大会(89年)山梨学院大オツオリの衝撃から35年。「20人抜き」のごぼう抜き記録を持つ日大ダニエル、3区間で区間新をたたき出した東京国際大ヴィンセントなど、異次元の走りを見せる印象が強いが、今大会はブレーキが目立った。

◆安定のフリーザ様
 いまや箱根の風物詩?となった「フリーザ軍団」が復路7区の二宮交差点付近に登場。人気アニメ「ドラゴンボール」のフリーザに扮(ふん)した全身白タイツのコスプレ集団が沿道から声援を送った。魔人ブウザーボンポルンガといった人気キャラクターも従え、「ひき肉です」「ペッパーミル」といった流行ネタを踊り、ランナーにエールをおくった。テレビ中継のカメラに映り込むと、SNSでは大盛り上がりだった。

 箱根10年ぶり出場の東農大は、6区の復路スタート地点付近で応援団が名物の「大根踊り」を披露した。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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