2024年最初に注目すべきハリウッド大作は、なんと言っても1月12日(金)公開となる『アクアマン/失われた王国』だ。日本で興行収入16億円超え、観客動員数111万人超をマークした大ヒット作『アクアマン』(18)の続編であることはファンには説明するまでもないだろう。海底の王国に君臨するキングにして、地上では拳でバトルしてしまうアウトロー、アクアマンが再びスクリーン狭しと暴れまわる!

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で、前作に続いて主演を務めるのが、前作のファンにはこれまた言うまでもないジェイソン・モモア。柔らかそうな名前の響きとは裏腹に、筋骨隆々で質実剛健で長髪髭面!いまやドウェイン・ジョンソンジェイソン・ステイサムに勝るとも劣らない、ポストパンデミック時代のアクションスターだ。メガヒット作『ワイルド・スピードファイヤーブースト』(23)で最凶&最狂のヴィランダンテを演じたあの人と言われれば、ピンとくる人は少なくないだろう。

その「ワイルド・スピード」シリーズを、「アクアマン」の世界と比較することが本稿のお題。強引と言われればそれまでだが、どちらも強引なまでにゴーイング・マイウェイなキャラクターが登場する話でもあるから、これもアリ!?しかし、よくよく見比べてみると決して似ていないワケではないのだ。

アクセル全開!スピード感あふれるアクションを体感しよう

例えば、アクションのノリ。「ワイスピ」では車が一種の武器として活躍し、空中から落下したり、ロケット噴射で宇宙にまで到達したりと、やることがとにかく豪快。一方、アクアマンの乗り物は、海洋に棲むあらゆる巨大な魚で、移動だけでなく合戦時にも頼もしい武器と化す。そして、こちらも「ワイスピ」のカスタムカーに負けず劣らず高速で、水の抵抗をモノともせず、海上へと高くジャンプすることも。もちろん、彼が君臨する王国アトランティスには海底専用のメカもあり、こちらもハイスピードだ。

さらに『アクアマン/失われた王国』では海底だけでなく、地上も冒険の舞台となる。砂漠で凶暴な生物たちと戦ったり、ジャングルで弟と必死に奔走したりと、海底合戦を含めてスペクタクルはとにかく規模が大きい。ノンストップの展開に加え、スリリングであるのはもちろん、時にユーモアを感じさせる点も「ワイスピ」との共通点と言えよう。

■昨日の敵は今日の仲間?ファミリーで戦う姿に胸アツ!

ガチバトルに関しても同様で、「ワイスピ」ファミリーは主人公ドミニク(ヴィン・ディーゼル)をはじめ、腕っぷしの強い筋肉質のキャラクターがズラリ。当然、肉弾戦も迫力満点だ。アクアマンマッチョキャラという点では引けを取らず、ルックス面では「ワイスピ」ファミリーにまぎれても、うっかり自然に受け止めてしてしまうほど!?怪力自慢でパンチの破壊力は抜群だが、こちらは主に槍を使ったバトルが凄まじい。「トライデント」と呼ばれる伝説の槍を武器に、同じく槍を駆使する敵との対決は新作でも大きな見どころだ。

ドラマ面での共通点は家族の絆。「ワイスピ」ではドミニクは実の家族はもちろん、仲間もファミリーとして扱い、固い結束を誇っている。ファミリーの誰かの危機も放っておかない家長的なキャラクター。『ワイルド・スピードジェットブレイク』(20)では実の弟ジェイコブ(ジョン・シナ)とは敵対したこともあったが、わだかまりが解ければ絆も強まるというもので、『ワイルド・スピードファイヤーブースト』では共闘するまでに関係が修復されていた。

アクアマンは前作でこそ気ままな自由人だったが、新作では妻メラ(アンバー・ハード)との間にベビーも誕生し、いまや立派なファミリーマン。父トム(テムエラ・モリソン)とは仲が良く、妻を深く愛する一方で、意外な子煩悩ぶりも見せてくれる。そんな彼が、宿敵から家族を狙われるのだから、怒らないワケがない。そして今回は、前作で敵対した弟オーム(パトリックウィルソン)が共闘のパートナーに。この展開も「ワイスピ」のドミニク&ジェイコブのドラマによく似ている。

ジェイソン・モモアが演じるキャラクターにも類似点を発見

最後に“ジェイソン・モモア”というリンクについて触れておこう。『ワイルド・スピードファイヤーブースト』で彼が演じたダンテは「ワイスピ」史上最も手強い敵と呼びたいほどだった。行動はとにかく破天荒で、破壊に爆破、殺人と、まさにやりたい放題。そのうえサイコパス呼ばわりされるキャラクターだから、なにを考え、次になにをするのかまったく読めない。用意周到で、罠を張りめぐらし、プランBやプランCもしっかり用意している切れ者。とにもかくにも、よろしくない意味でヤバいヤツだった。ドミニク・ファミリーに戦いを挑んだ理由の一つは、父の命を奪われたことへの復讐だが、ここにも家族のドラマがある。

それに比べると、モモア扮するアクアマンは頭脳明晰というタイプではなく(?)、よくも悪くもピースな男。お調子者でもあり、お行儀をよくしないといけない場面でも、つい地が出てしまうが、笑ってごまかす術はしっかり心得ている。豪快な性格こそダンテと共通しており、悪党には容赦なく鉄拳制裁を加える。もちろん、ピースな性格だから堅気の衆には手を出さず、むしろ彼らを助ける側。ダンテとは対極のポジションにいるキャラクターだ。

こんな具合に類似点を挙げてきたが、「アクアマン」と「ワイルド・スピード」には、ほかにも重要なリンクがある。それは「アクアマン」の監督ジェームズ・ワンが「ワイスピ」シリーズの演出経験者であること。彼が手掛けた『ワイルド・スピード SKY MISSION』(15)は怒涛のアクション攻勢はもちろん、「ワイスピ」史上、最もエモい作品であることで知られている。そんな彼が『アクアマン/失われた王国』でもメガホンを取るのだから、これがアツい映画にならないワケがない。2024年の初頭を飾る、豪快&熱血エンタテインメントを見逃すな!

文/有馬楽

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