台本もリハーサルもないガチなヤツ。農業を営む父と息子が、危険を回避するためにやってのけた映画さながらの救出劇が反響を呼んでいる。
今月半ば、高速道路を走るトラックの運転手が急に意識を失い、制御不能のトラックが走り続ける事故が発生。しかも先には高さ9mの陸橋が待ち受けるという絶体絶命の状況だ。
前を走るトラックの異変に気づいた親子はすぐに行動に出た。息子が車からトラックへと飛び移り、車で並走する父親との協力でトラックを止めたのだ。
意識不明の運転手だけでなく、その場にいたすべての人を安全を守った親子。その大胆なアクション映画さながらの行動に保安官も驚嘆したほどだ。
【画像】 制御を失ったトラックが高速道路を走行。その先には陸橋が
‘True heroes’: Father, son save trucker who passed out behind wheel on I-70
今月19日カンザス州西部のシャーマン郡で、州間高速道路I-70を車で移動していた農業経営者ブレント・ギンサーさんと息子のブレイディさんが、前のトラックの不審な様子に目を留めた。
問題のトラックは、どういうわけだか中央分離帯に進入。その際スピードは落ちたものの、止まることなく走っていく。まるでコントロールを失ったようだ。
・合わせて読みたい→空から車が降ってきた!?驚きの瞬間を目の当たりにした家族
それはどう見ても危険な状況だった。
放っておけばトラックはいずれ分離帯を出て、反対車線を逆走しながら出口に向かいそうだった。しかもその出口は高さ9メートルある陸橋になっている。
たとえ他の車がうまく避けたとしても、運転手もろとも陸橋からの落下はおそらく免れない。
そこで親子は助けが必要な運転手を救うため、慎重にタイミングを見計らい始めた。
意識不明の運転手に代わりトラックを止めた親子
後でわかったことだが、当時トラックの運転手は、体調が急変してハンドルを握ったまま意識を失っていた。
・合わせて読みたい→危機一髪の救出。突然爆発炎上した車の中から隣人を救った男性
一方、追跡を続けていた親子は、分離帯を400メートルほど進んだトラックがより減速したのを機に接近。すかさず息子のブレイディさんが車から出て、トラックの助手席側に飛び乗った。
そこからすぐ車内に入るつもりだったブレイディさんだが、ドアがロックされてて開かない。そこですぐそばで車を運転する父親に声をかけ、ハンマーを投げてもらって受け取ると、窓を割って入り込み、今度こそトラックを止めた。
その位置は陸橋の手前12メートル。車の速度が遅かったのも幸いしたが、あと少しでも手間取っていたらどうなっていたことか。
にしてもこんなことをいきなりできるブレイディさんのハートの強さと身軽さよ。おまけにブレントさんが投げたハンマーをキャッチって親子の息もピッタリなことに驚くわ。
保安官も驚嘆した果敢な救助行動
この地域を管轄するシャーマン郡保安官バートン・ピアナルト氏は本件についてこうコメント。
おかげで高速道路の利用者全員が守られ、かつトラック運転手の命も救われたといえるでしょう。見ず知らずの人のため人々が起こす救助行動には驚嘆させられます。
なおインタビューに「ちょうどいいとこで止まった」と語った父親のブレントさんは、普段からカンザス州北部とコロラド州西部の農地を行き来するため、この道路のことも良く知っていたという。
また問題のトラックについては、初めのうちは何が起きてるのかわからず、同乗していた従業員らに「あれ、どうなってんだ?」と聞いたら「うーん、誰も乗ってなさそうですねえ」という返事があった。
そこで息子が果敢にトラックに乗り込んだが、ブレントさん自身はかなりのんきで、その時になってようやく、トラックを停止するべきことに気づいたそうだ。
アクション映画のように人を救った親子に賞賛の声
最悪の事故を未然に防いだギンサーさん親子は、シャーマン郡保安官事務所のフェイスブックを通じてたちまち地域のヒーローになり、こんなコメントも殺到した。
・映画「ジェームズボンド」ばりのアクション。
・確実に表彰もの。市長、知事、いや大統領からでも何かを受賞すべき。
・いるべき場所にいた人たち。すぐに助けをかって出るとこもヒーローそのもの。
それ以来、賞賛されっぱなしの親子だが、ブレントさんはこのように応じている。
私たちはあらゆることに感謝しつつ農作業に従事しているただの善良な人間です。助けが必要な誰かがいたらどんな状況でも助けます。
一歩間違えば、さらに悲惨な事故にもなり得ただけに決して真似しちゃならないが、やさしく勇気ある親子が急きょやってのけた救出劇はたくさんの人を笑顔にしているようだよ。
References:nypost / facebookなど /written by D/ edited by parumo
コメント