日向夏のライトノベルをアニメ化した「薬屋のひとりごと」(毎週土曜深夜0:55-1:25、日本テレビ系/ABEMA・ディズニープラスHuluほかにて配信)の第2クールが幕を開けた。1月6日に放送された第13話では、猫猫の新しい職場が壬氏の家に決定。続々と気になるキャラクターが登場し、波乱の予感を漂わせた。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】おめかしした猫猫(CV.悠木碧)を見つめる壬氏(CV.大塚剛央)

■「薬屋のひとりごと」とは

同作は、日向夏の小説を原作とする後宮謎解きエンターテインメント。小説は「ヒーロー文庫」(イマジカインフォス)より刊行中で、「ビッグガンガン」(スクウェア・エニックス)および「サンデーGX」(小学館)でのコミカライズも展開されており、シリーズ累計2400万部を突破。中世の東洋を舞台に、「毒見役」の少女・猫猫が宮中で起こるさまざまな難事件を次々に解決する姿を描く。

TVアニメは長沼範裕監督(「魔法使いの嫁」や「劇場版 弱虫ペダル(2015)」など)のもと、TOHO animation STUDIOOLM(「オッドタクシー」や「古見さんは、コミュ症です。」など)がタッグを組みアニメーション制作を担当。CVは猫猫役を悠木碧、壬氏役を大塚剛央が務める。

■これまでのストーリーをおさらい

TVアニメ「薬屋のひとりごと」の第2クールが幕を開けた。まずは、これまでのストーリーをざっと振り返っていきたい。花街の裏通りにある薬屋で生まれ育った17歳の少女・猫猫。彼女はある日、人さらいに遭い、皇帝の妃たちが住む女の園・後宮に売り飛ばされた。

さらには下女として働いていたところ、見目麗しい宦官の壬氏に目をつけられ、上級妃の一人である玉葉妃(CV:種崎敦美)の毒味役を任されることに。その中で猫猫は薬学の知識と深い洞察力をもとに後宮で起こる様々な難事件を解決していくこととなる。

同時に描かれてきたのが、猫猫と壬氏のもどかしい関係だ。その整った容姿と魅惑的な声で、男女問わず周りの人間を翻弄してきた壬氏。だが、猫猫はイケメンに一切興味がなく、また壬氏の計算高い一面を見抜いてか、当初は苦手意識を持っていた。ゆえにどんな色仕掛けにも全くなびかず、嫌悪感さえ示す猫猫の反応を面白がって壬氏はからかっていたが、徐々に彼女を大切に思うようになる。

しかし、壬氏は宦官で、猫猫は下女。2人の間には大きな溝があり、猫猫がとある事件で処刑された侍女の関係者であることが明らかになった際にも、壬氏は立場的に彼女を解雇せざるを得なかった。仕方なく花街に帰った猫猫だったが、偶然にも壬氏と再会。そのまま壬氏に身請けされる形で、再び宮廷に戻ることになった。果たして、次はどんな事件が猫猫を待ち受けているのか。また、壬氏との関係はいかに。

■猫猫の再就職先はまさかの壬氏の家!?

壬氏が持ってきた冬虫夏草(虫から生えた奇妙な草)に釣られ、思わず身請け話に乗ってしまった猫猫。年老いた羅門(CV:家中宏)を一人で家に残していくのは気が咎めたものの、「これからはいつでも帰ってこれる」と自分を納得させ、決意を固める。そして翌朝、緑青館の三姫に目一杯おめかしさせられた猫猫は壬氏と共に花街を旅立った。醜女を装うそばかすメイクもしていないため、いつも以上に美しい猫猫は注目の的。それは壬氏が思わずムッとしてしまうほどに……。壬氏は宮廷に戻ったらそばかすをつけろと命じるが、猫猫はその意味に気づいていないようだ。いつもの2人が戻ってきた!と思わず嬉しくなる。

一方、猫猫の再就職先は慣れ親しんだ後宮ではなかった。一度解雇になった手前、そう簡単には後宮に戻ることができず、猫猫は外廷で働くことに。皇帝やその妃たちが生活を営む内廷に対し、外廷は政治や儀式などを行う場所。様々な役所が設けられており、官僚たちが働いている。猫猫も外廷勤務にあたっては官女試験を突破する必要があるが、受かるまではひとまず壬氏の家で働くことになった。

壬氏の家に出入りを許されているのは、武官・高順(CV:小西克幸)と侍女の水蓮(CV:土井美加)のみ。他に侍女はおらず、初老の水蓮が一人で壬氏の食事の準備から掃除まで家のことを全てこなしている。はじめは不思議に思う猫猫だったが、無駄に色気が漂う壬氏の寝起き姿を見て納得。彼を前にしたら変な気を起こしかねないため、そうやすやすと新しい侍女を入れることができないのだ。水蓮曰く、かつて侍女が自分の髪の毛で編んだ下着を壬氏の箪笥に忍ばせたこともあったそう。あまりに強烈なエピソードに身の毛がよだつとともに、そこまで人を狂わす壬氏の魅力に驚くばかりだ。

■官女、謎の男…続々登場する魅力キャラクター

それほどまでにモテる壬氏に身請けされ、さらには家にも上がることを許された猫猫を周りの人間が放っておくはずがない。猫猫は外廷でも官女たちに不興を買い、壬氏との関係を問い詰められる。

とっさに言葉を選べず、「あなたがたは私に嫉妬しているのですか?」と率直な質問をぶつけてしまい、ビンタを食らう猫猫。壬氏ほどの人間が自分のような醜女を相手にするはずがない、もし自分が特別扱いされているのだとすれば壬氏は特殊趣味だと言っても納得してもらえず、猫猫は仕方なく包帯をしていた左腕を見せることに。火傷薬を自分で試した猫猫の左腕は見るも無残な状態となっており、天女のような壬氏が情けで自分を雇ったということでその場を収めた。

それにしても、官女たちの勝気なこと。彼女たちは書記官のようなもので、試験に突破するだけの素養と家柄を兼ね備えているため、「後宮の寄せ集めの女官たちとはわけが違う」というプライドがある。猫猫も文字が読め、薬学の知識もあるが、勉強はあまり好きでないのか試験の結果は不合格。そのため、壬氏直属の下女となった。

官女の中でもとりわけ落ち着いた佇まいの翠苓(CV:名塚佳織)や、軍部から猫猫を眺めながら不敵な笑みを浮かべる謎の男・羅漢(CV:桐本拓哉)など、気になる新キャラが登場した「薬屋のひとりごと」第13話。新たな波乱の兆しが見える走り出しに、視聴者からは「これまでよりも広かった世界…てことはトラブル、人間関係もややこしくなる訳でワクワクしかない」「名塚さん演じる翠苓なかなかの強者のようだ。羅漢はいかに?」「壬氏と猫猫、今後どういう関係になっていくんだろ?展開が楽しみだなぁ」と今後の展開に期待の声が挙がっている。

種崎敦美の崎は、正しくは「たつさき」

◆文=苫とり子

アニメ「薬屋のひとりごと」第13話が放送/(C)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会