FAカップ3回戦が7日に行われ、アーセナルリヴァプールが対戦した。

 プレミアリーグ勢が登場する3回戦で、早くもビッグマッチが実現した。今季もアーセナルは序盤からプレミアリーグの優勝争いに名を連ねているものの、直近の2試合ではウェストハム、フルアムを相手に連敗。現在は公式戦3試合未勝利が続いている。FAカップでは最多14回の優勝を誇っているものの、直近3シーズンは4回戦を突破できておらず、4年ぶりの優勝に向けて強敵撃破を目指す。

 対するリヴァプールは現在絶好調。プレミアリーグでは昨年9月30日に行われた第7節トッテナム戦(●1-2)を最後に黒星がなく、直近13試合で8勝5分けと好成績を残している。勝ち点「45」を積み上げて首位を走っている状況だ。FAカップでは2021-22シーズンに優勝を飾っており、今季は通算9度目の優勝を目指す戦いとなる。

 アーセナルはウィリアン・サリバ、マルティン・ウーデゴーアブカヨ・サカといった主力がスターティングメンバーに並んだ。ガブリエウ・ジェズスが負傷の影響で不在となるが、最前線にはカイ・ハフェルツを起用。ゴールマウスアーロンラムズデールが守る。AFCアジアカップカタール2023の影響で日本代表に合流している冨安健洋アフリカネイションズカップ2023の影響でエジプト代表に合流しているモハメド・エルネニーはメンバー外となった。

 一方、リヴァプールトレントアレクサンダーアーノルド、アレクシス・マック・アリスター、ダルウィン・ヌニェスといった面々が先発入り。“守備の要”であるフィルジル・ファン・ダイクが体調不良のためメンバーを外れており、センターバックはジャレル・クアンサーとイブライマ・コナテのコンビに。アーセナルと同様、日本代表の遠藤航エジプト代表のモハメド・サラーが不在となっている。

 試合は立ち上がりからアーセナルがエンジン全開で相手ゴールに迫る。3分、アーセナルは最後尾でボールを持ったGKラムズデールからのロングフィードにリースネルソンが反応。リヴァプールの最終ラインを破って飛び出すと、GKアリソンもかわしたが、持ち出した際のボールタッチが大きくなり、角度のない位置から右足で狙ったシュートはサイドネットに嫌われる。

 続く11分には敵陣右サイドでサカがジョーゴメスからボールを奪うと、引き取ったハフェルツがマイナスへ折り返す。飛び込んでいたネルソンはコナテのカバーリングに阻まれて右足を振り抜けなったものの、こぼれ球を拾ったウーデゴーアが左足一閃。ここはクロスバーに嫌われる。こぼれ球を繋いで今度はサカが狙ったが、アレクサンダーアーノルドにブロックされた。

 リヴァプールとしては序盤から押し込まれる時間が続いたが、22分にはセットプレーでゴールを脅かす。ハーヴェイエリオットが左コーナーキックでアウトスイングのボールを供給すると、ボックス内でフリーになったヌニェスが頭で合わせたが、ヘディングシュートは枠を外れた。

 その後は一進一退の攻防戦が繰り広げられたが、チャンスの数はアーセナルの方が多い。38分にはペナルティエリア右でルーズボールを拾ったベン・ホワイトが迷いなく右足を振り抜くも、強烈な一撃はGKアリソンに弾き出される。44分には狙い所を定めたハイプレスでネルソンがクアンサーからの縦パスを奪うと、ボールはウーデゴーアを経由してハフェルツへ。タイミングを見て左足を振るも、ここもGKアリソンが立ちはだかる。

 前半終了間際の45分にはリヴァプールビッグチャンス。敵陣でボールを奪い返したところから、クアンサーからのパスを受けたコーディ・ガクポが巧みな反転で前を向く。自ら持ち運び、相手を引きつけて右へ渡すと、駆け上がってきたアレクサンダーアーノルドがワントラップから右足でミドルシュート。狙い澄ました一撃はアウト回転がかかりながらクロスバーに直撃し、リヴァプールは先制とはならず。前半はこのままスコアレスで終了した。

 後半に入ると、前半と比較してリヴァプールが攻撃に出る時間が目立つようになる。54分、自陣中央で前を向いたアレクサンダーアーノルドが左サイドへ展開すると、大外に開いていたヌニェスがカットインから右足を振り抜くも、シュートは枠の外へ。

 一方、アーセナルは58分にセットプレーでチャンスを作る。敵陣左サイドでジョルジーニョがマック・アリスターとの接触でファウルを貰う。キッカーのウーデゴーアがサインプレーを発動し、スルーパスを送ると、ペナルティエリア左のスペースへ侵入したハフェルツが中央へ折り返す。飛び込んだガブリエウ・マガリャンイスの頭には合わなかったが、後ろで待っていたサカが左足でボレーシュート。ここは枠を外れる。続く60分には左サイドに流れたハフェルツがクロスボールを上げると、相手に当たってディフレクションしたボールがゴール方向へ向かったが、GKアリソンに掻き出された。

 後半は時間の経過とともにリヴァプールが流れを掌握していく。70分にはエリオットからのスルーパスで敵陣背後のスペースへ抜け出したヌニェスが相手を引きつけて横に繋ぐも、並走していたルイス・ディアスにはわずかに合わない。77分にはペナルティエリア内でディオゴ・ジョッタからのパスを引き取ったL・ディアスが強引に左足を振り抜くが、ここはGKラムズデールのビッグセーブに阻まれる。このプレーで得た左コーナーキックをアレクサンダーアーノルドが蹴ると、ファーサイドで競り勝ったジョッタが頭で合わせたが、ヘディングシュートはクロスバーに嫌われた。こぼれ球を拾ったヌニェスの一撃も枠を捉えきれない。

 スコアレスで終盤に入るも、80分に遂に均衡が破れた。リヴァプールは敵陣左サイドでうまくボールをキープしたライアン・フラーフェンベルフがウーデゴーアに倒され、フリーキックを獲得。角度のないところからアレクサンダーアーノルドがスピーディなボールを入れると、これがボックス内でヤクブ・キヴィオルのオウンゴールを誘う。土壇場でリヴァプールが先手を取った。

 1点ビハインドとなったアーセナルは81分にジョルジーニョを下げてエディ・エンケティア、88分にハフェルツとキヴィオルを下げてエミール・スミス・ロウとレアンドロ・トロサールを投入。攻撃的なカードを次々と切り、同点ゴールを目指す。後半アディショナルタイムには前線の人数を増やしてパワープレーに出たが、反対にリヴァプールがカウンターで再びゴールを脅かす。ヌニェス、ジョッタを経由してL・ディアスがペナルティエリア右でボールを受けると、右足でニアサイドを射抜く。リヴァプールが勝利を決定付けた。

 試合はこのままタイムアップ。終盤にアレクサンダーアーノルドの蹴ったセットプレーでスコアを動かすと、ラストプレーでL・ディアスが決定的な一撃を沈め、3回戦最大の注目カードはリヴァプールが制した。アーセナルはこれで公式戦3連敗となっている。

 この後、アーセナルは20日に次節のプレミアリーグクリスタル・パレスをホームに迎える。一方、リヴァプールは10日にカラバオ・カップ(EFLカップ)準決勝第1戦のフルアム戦を消化予定。次節のプレミアリーグは21日に予定されており、敵地でボーンマスと対戦する。

【スコア】
アーセナル 0-2 リヴァプール

【得点者】
0-1 80分 ヤクブ・キヴィオル(OG/リヴァプール
0-2 90+5分 ルイス・ディアスリヴァプール

スターティングメンバー
アーセナル(4-3-3)
GKラムズデール
DF:ホワイト、サリバ、ガブリエウ、キヴィオル(88分 スミス・ロウ)
MF:ジョルジーニョ(81分 エンケティア);ウーデゴーア、ライス
FW:サカ、ネルソン(62分 マルティネッリ);ハフェルツ(88分 トロサール)

リヴァプール(4-3-3)
GKアリソン
DF:A・アーノルド、クアンサー、コナテ、J・ゴメス
MFマック・アリスター(59分 フラーフェンベルフ);C・ジョーンズ(75分 クラーク)、ガクポ(59分 ジョッタ)
FW:エリオット(75分 ブラッドリー)、L・ディアス;ヌニェス

ハイライト動画】リヴァプール、激闘の末にアーセナルを撃破

リヴァプールがアーセナルを撃破 [写真]=Getty Images