この記事をまとめると
■中国のGAC社製BEVタクシーがバンコク・モーター・エキスポの会場で展示されていた
■タイでは年間6000台近くのタクシー車両をBEVに入れ替えている
タイのタクシー市場に思わぬ刺客が登場した!
タイのタクシーと言えば、その代名詞のようにトヨタ・カローラアルティス(カローラセダン)が圧倒的に多いのだが、「ついにその日がきたか!」というトピックが舞い込んできた。
と言うのも、バンコク・モーターエキスポの会場を歩いていると、トヨタブースの対面にある小さなブースに置かれた1台の展示車に目が留まったからだ。
見慣れないカラーリングながらも、天井にはタイ語の行灯(社名表示灯)が、そして助手席側ダッシュボードにはタイ語のスーパーサイン(空車や回送などの表示を行う)が装着されており、タクシー車両なのは間違いない。そして、そのクルマのボンネットには、中国・広州汽車(GAC)のエンブレムがあった。
そう、これは中国GAC社製のBEV(バッテリー電気自動車)タクシーであった。
ベース車両に使われているのは、タイでは「AION(GACのNEV[新エネルギー車]ブランド)ES」というモデル。このES自体は一般販売を行わず、タクシーやライドシェアなど営業車両として専売するモデルであり、タイでは2023年9月にデビューしている。
カローラアルティスの未来が危うい!
現地の報道によると、タイでは毎年6000台のタクシー車両の入れ換えが行われており、今後はCO2排出量を削減するために、入れ換える車両はBEVとなる予定とのことで、AION ESタクシーもその需要を狙っているのは間違いない。従来のタイのタクシーは天然ガスを燃料としており、トランクに燃料タンクを搭載しているのでトランクの積載性能に難があったのだが、BEVを導入すれば解決する。
バンコク市内では、コロナ禍前より中国BYD(比亜迪汽車)のフリート販売専用ともいえる「e6」というBEVをベースとしたタクシーが走っており、今回、筆者はそのe6の新型をベースとしたタクシー車両をバンコク市内で目撃している。BEVタクシーに切り換えるとしても、AION ESだけとはならないかもしれないが、いずれも中国系ブランドのBEVが、今後バンコク市内ではカローラアルティスの代わりに走ることになりそうである。
「トヨタもこの動きを静観しているわけではなく動いている」との情報もあるが、残念ながら現状では実際に見えるものは中国系ブランドの車両ばかりである。
さらに気になるのはAION ESの価格で、1台85万バーツ(約345万円)からとなっている。カローラアルティスのタクシーベース車の価格は不明だが、一般向けの廉価グレードとなる1.6Gの価格は89.4万バーツ(約363万円)となっているので、BEVにありがちな同クラスICE車との比較での“割高イメージ”はほとんどなさそうである。
バンコク市内では、ここ1~2年以内でエアコン付きバスのほとんどがBEV路線バスとなった。「次はタクシーだなぁ」と考えていたら、今回ショー会場でカローラアルティスのタクシー仕様車の刺客を見るとは夢にも思わなかった。
2024年8月から導入されるのではないかとの情報もある。
コメント